プロジェクトが失敗した時こそ重要な3つのこと
はじめまして。web制作会社ベイジでマネージャー兼ディレクターをしている今西と申します。
普段からTwitterや会社のブログで情報発信をしていますが、noteでは仕事の振り返りや考え事などを中心に、コンパクトかつ定期的に更新をしていこうと思っています。
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一般的に、プロジェクトは失敗しない方がいいと言われている。
ベイジでも、プロジェクトを円滑に進めるためにワークフローを整備しているし、ミスを減らすための仕組み作りにも力を入れている自負がある。
当然だが、ミスはできる限り起こさずに、順調にプロジェクトを完了できるのが理想的だ。ミスの内容によっては顧客にも多大な迷惑をかけてしまうことになるし、自社の信頼を失うことにも繋がってしまう。
一方で、ミスが起きることで潜在的な問題点が浮き彫りとなり、組織として対策を練るチャンスと捉えることもできるのではないか。
ここ数年でパワハラなどへの意識も変わったことで、ミスや失敗をしたからと過剰に個人を追い詰めるような組織は減っていると思うが、それでも、あからさまに落胆したり、次のチャレンジへの機会が減ってしまったりということは、多くの組織でまだ残っている印象だ。
ネットフリックスの創業者であるリード・ヘイスティングスが自社の企業文化について語った『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』という書籍では、プロジェクトが失敗に終わった場合において、推奨する対応について書かれている。
それは以下の3点だ。
①そのプロジェクトから何を学んだのか尋ねる
②失敗について大騒ぎしない
③失敗を「公表する」よう促す
ネットフリックスでは、「プロジェクトが成功したら祝杯をあげる」と表現しているように、チームに対しても、個人に対しても、率直に喜びを伝える社風ではあるが、失敗が起きたときこそ、その後の対応を重視している。
これは、大小関わらず多くのプロジェクトを進めている私たちにおいても、忘れてはいけない視点だ。
①そのプロジェクトから何を学んだのか尋ねる
ベイジでは、プロジェクト終了後の1~2週間以内に、社内のプロジェクトメンバーを集めてクロージングミーティングを実施している。各自がプロジェクトを振り返り、感じた課題や問題点をディスカッションする場だ。
「KPT法(Keep・Problem・Try)」の考え方も取り入れて、まだ記憶が薄れていないうちに振り返りをしているが、個人の反省で終わらずに、具体的な改善アイデアをディスカッションした上で、明確な期限やタスクを設定し、ワークフローに反映するところまでセットにしている。
このディスカッションでやりたいことは、ミスを起こした人を特定したり、責任を追求したりすることではなく、「なぜミスが発生したのか?」「現状の仕組みに問題がないか?」「再発防止のために何をやるべきか?」など、失敗からの学びを話し合い、建設的に対策を考えることにある。
ここ数年では、プロジェクトが大きく炎上するようなケースは起きていないが、プロジェクト期間中には少なからずミスやトラブルはあるものなので、問題点をスルーせずに、改善アイデアを検討することを重視している。
②失敗について大騒ぎしない
主にマネジメント層が意識するべきことだが、トラブルが発生したからと過剰に騒ぎ立てても事態が好転するものではなく、むしろプロジェクトメンバーに不安や恐怖心を与え、さらなるトラブルに繋がってしまう恐れもある。
トラブルが発生した場合、まずやるべきことは「現状の把握」と「影響範囲の確認」だ。やたらと騒ぎ立てると、プロジェクトメンバーも冷静に状況を報告することができないし、「叱責されてしまう...」という心理から、事態を過少に報告してしまうかもしれない。
マネジメント層やプロジェクトを率いるリーダーは、自分の発言や行動がプロジェクトのメンバーにどのような影響を与えるかを理解して、いつも以上に冷静な対応が求められる。
「トラブルが起きても過剰な叱責をしない」「相談することで建設的に対策を考えてくれる」という印象を与えることで、正しい情報が早く入ってくる存在になるのではないか。
その上で、具体的な対策を検討し、優先度・重要度が高いものから粛々と対応していくべきだろう。
③失敗を「公表する」よう促す
失敗に対して個人を攻撃したり、問題だと騒いでいるだけでは、誰しも失敗を起こした際に隠したくなるのが自然な心情だろう。周囲のメンバーも恐怖心が高まり、下手するとミスを隠す隠蔽体質になりかねない。
失敗には痛みが伴うが、新しい経験をしたことにより、社内の「失敗データベース」に登録され、組織に恩恵をもたらしたとも言える。
失敗を隠さず公表できるようになるためには、組織の風土がとても重要だ。失敗を個人の問題として扱わず、失敗が起きてしまった現状の仕組みこそが問題として議論すべきだ。
失敗をしても責められない、隠すことなく全てを公表できる組織であれば、臆せず新しい取り組みにもチャレンジできるだろう。
失敗したことはナレッジに昇華して、ゆくゆくは体系化してブログにまとめるくらいの心持ちで、仕事にあたるのがよいのではないか。
プロフェッショナルは失敗から学ぶ
ベイジの行動指針である『プロフェッショナルの条件』の中では、『プロフェッショナルは失敗から学ぶ』という7つの指針が定義されている。
①失敗は根本的な原因と影響範囲を考えろ。起こった事象を把握するだけの薄っぺらい考察は無意味だ。
②他人の失敗も自分の失敗と考えろ。より多くの失敗体験が成長スピードに影響するからだ。
③失敗には痛みが伴うと考えろ。痛みがあるから、失敗から学べるのだ。
④失敗の改善は、精神論ではなく具体的なプロセスで考えろ。精神論は思考停止を意味している。
⑤失敗したらすぐに原因を考え、すぐに対策を実行しろ。失敗を寝かせておくほど馬鹿な行為はない。
⑥失敗をチャンスに変える努力を怠るな。失敗した時の対応こそ、信頼を得る絶好のチャンスである。
⑦失敗しても、再挑戦しろ。失敗のリスクから逃げていると、失敗は失敗のままで終わる。
行動指針は厳しい言葉で書かれており、ミスや失敗を起こした後に、この行動指針を読むと、正直なところめちゃくちゃ凹む。しかし、痛みがあるからこそ、失敗から学ぶことができるのではないか。
私も駆け出しの頃には、ミスをした後に先輩に怒られるのが怖くて、実際に起こした内容よりも軽微なミスだったと報告したこともある。そのことで残るのは自己嫌悪だけだし、挽回のために時間もかかり、自分にとっても、組織にとってもまるでプラスになっていなかった。
失敗しても気にせずに開き直れと言いたいわけではなく、失敗した事実は重く受け止めつつも、組織の経験値が以前より上がり、今後は同じミスや失敗が起きる確率を減らすことができたと捉えるといいのではないだろうか。
以前にソフトバンクの孫さんが、業績不振について説明した決算会見の中で「反省しすぎて萎縮する必要はない」と話していたのがとても印象的だった。反省して対策を講じる必要はあるが、過剰に萎縮する必要はない。そして周囲は萎縮をさせるのではなく、挽回への行動をサポートするべきだ。
自分自身がミスや失敗した際も意識したいことだが、組織の中でも基本的なマインドとして浸透していければと思う。
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