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人を理解するために

今、「自分らしさの正体」という記事を書き始めていて、論文を色々探している最中ですので、完成するのは1年後になるかと思います笑

今日は、人を理解するために、というタイトルで書きます。心理学やコミュニケーション学の理論がでてきたり、私の意見がでてきたり、とりとめのない内容になるかと思います。

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私は高校や大学で比較的やんちゃしてたので、その当時一緒にいた友人たちに今会う事に抵抗があります。(高校時代、同じ電車で通っていた他校の学生に告白かましたり、大学時代には通っていたカフェの店員に告白したり、急に眉毛にソリ入れたりしてました笑)

なぜ抵抗があるかというと、

ー 今自分が見ている自分と、

ー 当時の私を知っている友人たちの私のイメージ

が合致せず、その当時の私を想定して、私に接してこられるのが怖いからです。

こういう経験ってみなさんはないですか?

以前私が書いたLooking-glass selfに関連することですが、Symbolic Interactionismという考え方では、私たちの自己(自分らしさ、みたいなもの)は他者との相互作用によって構成されています。つまり、付き合う人たちや環境が変われば自分なんてものは案外変わるということです。

そのように私たちは時とともに自己像を変えているのにも関わらず、周りの人間は私たちのイメージをそこまで頻繁に変えてくれません。

ステレオタイプという言葉は聞いたことがあるかと思います。ステレオタイプとは人や物に対して、その人や物が属するグループやカテゴリーを参考に、私たちがその人や物にイメージを持つことです。

例えばみなさんは、中国人、と聞いてどのようなイメージを持ちますか?

ある調査によれば日本人は中国人に対して、以下のようなイメージを持っているようです。

「感情的」「気性が激しい」「愛国心が強い」「集団主義」「考えが古い」

koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AA1121824X-20100300-0067.pdf?file_id=114880

他の調査でも同じような結果が得られています。

このようなイメージは、このイメージに当てはまらない中国人の人と深く関われば変化することが分かっています。(詳しくはContact Hypothesisを読んでみてください。https://en.wikipedia.org/wiki/Contact_hypothesis)

私の中国人の友達は、上記のイメージとは違う人が結構いますので、私は個人的にはそのようなイメージを持っていません。

少し話がずれましたが、このように人は、他者に対して簡単にイメージを持ちがちだということです。なぜでしょうか。

なぜなら私たちは楽がしたいからです笑

すべての人のすべての特徴を事細かに分析する時間も労力も私たちにはありません。なので人を表面的な特徴で分類して、なんとなく分かった気になりたいんです。SNSなんてのはステレオタイプ製造機です笑。こういう楽したいという認知的な傾向をCognitive Miserといいます。https://en.wikipedia.org/wiki/Cognitive_miser

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で、こういう「人にイメージをつけたい気持ち」って、よく知ってる人、例えば友人、恋人、家族にも私たちは持っていると考えられます。

Uncertainty Reduction Theoryというコミュニケーションの理論では、人は他者に対してUncertainty(不確実性)を減らしたいという気持ちがあることを前提としています。つまり、私たちがコミュニケーションをするのは他者に対してUncertainty(不確実性)をReduce(減らす)したいから、という発想です。(何考えているか分からない人(High Uncertainty)よりも、何考えているかなんとなく分かる人(Low Uncertainty)の方が安心しますよね。)

言い換えれば、私たちは他者が自分の期待通りに考えてくれたり、行動してくれれば安心する、とも考えられます。(人は自分にも他者にも一貫性を求める生き物ですから)

この理論は人と人の関係の発展段階において使われるべき理論なのですが、必ずしもそうではないと考えられます。

例えば、よく知っている友人に対して私たちはつい「この人については深く知っている」と思いがちです。それは、私たちはその友人に対してUncertaintyがないと信じ込みたい動機が働いているとも考えられます。(きっとこの友人はこういう人だ。だからこう思っているだろう、という具合です。)

私が考えているのは、この「他者に期待するその人らしさ」というのは、その他者をもっと理解する上で障害になるのではないかということです。

例えば、あなたは高校時代、不真面目なキャラ設定をしていて、周りの友人たちにそう思われていたとします。「勉強なんてカッコ悪いよね!」というキャラ設定は誰しもトライするところだと思います。

しかし、大学に入って心機一転、しっかり勉強したいと思い、真面目に大学の課題に取り組んでいたとします。その時に、不真面目なキャラを知っている高校時代の友人と同じ大学でばったり会って「やっぱり大学もダルいよねー笑 課題とか全然やってないよね!」と話しかけてきたらどう返しますか?

この場合、その友人はあなたに高校時代のあなたらしさを求めてきているわけです。でも当然、あなたは良い気持ちがしないですよね。なぜならあなたは自己像をアップデートしたいわけですから。

この友人とあなたを入れ替えてみてください。あなたは友達に対して、いつまでも同じイメージを持ち続け、そのイメージ通りにその友達が考え行動することを無意識に求めてはいませんか?

人を理解するための準備段階として、まずすでに良く知っている人でさえ、その人に対するイメージを一度リフレッシュさせて、変化させる柔軟な心構えを持っていることが大切かと思います。それが家族や恋人であってもです。

人を正しく理解する、というのはとても大切なことです。

Reisという研究者はResponsivenes、つまり人をしっかりと受容する態度、が親しい人間関係を構築する上で欠かせない要素だと言っています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2891543/

そのResponsivenessの構成要素は3つで

1. Understanding (理解)

2. Validation (肯定)

3. Caring (思いやり)

となっています。つまり、相手の存在をしっかりと受け止め、受容するには、まず相手を正しく理解することから始まるということだと思います。


あなたの周りの友人、恋人、家族、そのような人たちに持っているイメージを一度真っさらにして、その人がどんな自分を演じたいのか、もう一度見極めてみませんか?そんなあなたの真摯な態度はきっとその相手に伝わります。そうすればその相手も、あなたの「ありたい自分」を受け止めてくれようとするはずです。そんな関係ってかけがえのないものだよなあ、と思います。


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