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なぜ人は他者と共にいたいと思うか

こんにちは。対人コミュニケーションについて研究・教育をしている大学教員の今井達也です。

私のホームページ:https://tatsuyautexas.wixsite.com/mysite

この記事は:

- ある相手と一緒にいるが、なぜだかその関係に満足できないと思っている人

- 理想的な友人関係、恋愛関係、夫婦関係ってなんだろうと思っている人

- 一人の方が気楽だが、やっぱり寂しいと思って悩んでいる人

- 人間関係に煩わしさを感じ、なんでそう思うのか知りたいと思っている人

に読んでもらうことによって、その気持ちの原因をすっきりとさせることができるのではないかと考えています。

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友達、恋人、配偶者など、私達はもともとは他人だった人と、仲良くなり、一緒に過ごしたいと思います。私達はなぜ他者と一緒に生きたいと思うのでしょうか。

一人で生きるというのは、ある意味、楽なはずです。自分の好きなように生きられるし、他人の意見を気にすることもありません。しかし私達は、他者と一緒にいたいと思っています。

この前、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組を見ました。(大好きな番組で、なぜか泣きながら見ます笑)。ひきこもりを支援する男性の活動を追いかけたドキュメンタリーです。ひきこもっている人は、ある意味、他者からのプレッシャーや期待から開放されている人のはずです。話を聞いていると、彼らがひきこもりを始めた理由の1つも「他者に傷つけられた」という経験だったりしたようです。

そんな、人との関係に疲れ切った彼らが求めているもの、それはやはり「人とのつながり」のようでした。私はひきこもりという現象を分析するプロではないので、詳細は分かりかねますが、「人とのつながり」というものは、生きる上で欠かせない喜びになりうる、ということが考えられます(と、同時に、人とのつながりが、人を深く傷つけることも往々にしてあります)。


それでは、私達はなぜ人と繋がり、人と共にに生きたいと思うのでしょうか。コミュニケーション理論の1つ「Social Exchange Theory」が、私たちにヒントを示してくれています。

(詳細(英語):https://en.wikipedia.org/wiki/Social_exchange_theory)

私達がある人と繋がりたいか、離れたいか、それを決定するのは、その人への価値であると、Social Exchange Theoryは示唆しています。

はい、シンプルです。

冷たい言い方をすれば、人間関係も「損得勘定」で動いていきます。

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それではこんな例はどうでしょうか。

大学生である達也は、あるボランティア活動をしていた。大きな病院で、患者さんをサポートするボランティアだ。迷っている患者さんを目的地まで連れて行ってあげたり、車椅子をサポートしたりするのが業務内容だ。ボラティアなので、もちろん無償。交通費だって出ない。でも、達也は、その活動がなぜか気に入っていて、すでに3年も続けている。

この例を見ると、達也は病院の患者さんたちと「損得勘定」では繋がっていないように思えます。お金ももらっていないし、別に患者さんと友達になることもない。患者さんから有益な情報をもらえるわけでもないし、もちろん患者さんと恋愛関係になることもない。

実は上の例、実話です笑 私は病院でのボランティアを3年続けていました。実はボランティアをしている当時、なぜ自分でもボランティアをしているか、よく分かっていませんでした。でも、ボランティアをしたあと、なぜか元気になっていたことを覚えています。(ちなみにヤンチャかましてたときだったので、眉毛を剃って片方ありませんでした笑 そんなやつが病院の受付にいるとか、迷惑なボランティアでした。。。)

私がボランティア活動を通して、そして患者さんとのやりとりを通して「もらっていたもの」、それは「自分が誰かの役に立っているという気持ち」だったように今は思います。大学生だった当時、自分の生きる意味や、社会というもの対する漠然とした不安、そういったものを解消するヒントをボランティアを通して得ていたのかも知れません。

上記のように、一見損得勘定のように思えない人間関係も、無意識に損得勘定で成り立っていることが多くあります。

Social Exchange Theoryをもう少しだけ説明させてください。

人と繋がりたい・離れたい、それを決めるのは私達の頭の中の「その人への価値」、と言いました(英語ではRelational Valueとも言えます)。その価値は以下の方程式で決まります:

その人と一緒にいることによるメリット ー その人と一緒にいることによるデメリット

です。

つまり、自分にとってどんなに価値をもたらしてくれる人でも、その人が自分に多くのネガティブなものも一緒にくれるのであれば、その人とは離れたいと思うわけです。

以下の例を見てみましょう:

- とても優しい彼・彼女だが、暴力を振るう

- 一緒にいると楽しい友達だが、自分の話ばかりするので疲れる

- 別に一緒にいても楽しくはない友達だが、なぜか心が落ち着く

- とても信頼できる彼・彼女だが、仕事が不安定でお金がない

こうやって書いてみると、ピンとくるのではないでしょうか。意識的、無意識的かどうかによらず、私達は結構人間関係を損得勘定で考えていると思いませんか?

例えばこれはどうですか?

あなたはLineで、誰といつも連絡を取りますか?その連絡を取る相手って、結構決まった人だっりしませんか?

つまり、その裏で「あなたいつも選ばれない」人がいる訳です。

その選ばれない人は、なぜ選ばれないのでしょう。実はその人に対して無意識にデメリットを感じていたりします。

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まとめると、私達はある人に対して、

その人と一緒にいることによるメリット ー その人と一緒にいることによるデメリット

を瞬時に計算して、その人との仲を深めたい、と思ったり、離れたい、と思ったりしている、というのがSocial Exchange Theoryの主な提言です。

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ちょっと長くなってきたので、ここらで終わりにしますが、では:

- 私達が価値を感じる人ってどんな人?(お金や性的満足感、などではなく、心理的に)

- 私が誰かに選ばれるためには自分にどんな価値があればいいの?

そんな風に思うのも自然かと思います。研究では人が価値を見出してくれる性格があることを示しています(やさしい・従順である、など)

つまりこういうことでしょうか:

「他者にとって価値がある人間を「演じれば」、誰にでも価値を感じてもらえて、幸せになれるはずである」

そう言われると、しっくり来ませんよね。

様々な人間関係の研究結果や理論を鑑みて、究極のことを言えば

「あなたが、ありのままのあなたでいることに、(あなたにとって大切な)相手が最高の価値を感じてくれる状態」

が、理想的な人間関係だと、私は個人的に思っています。

ただ、それを達成するのは、非常に難しいと私は思います。しかしそれを達成している人がいるのも確かです。

それを達成するためには、やはり人間関係やコミュニケーションの研究から得られた知識や考え方といったものが非常に役に立ちます。まわりくどい記事が続いていますが、実はつながっていますので、これからの伏線回収までお付き合いいただけますと幸いです笑

ここまで読んでもらって嬉しいです!どうもありがとうございます!

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