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自分らしくいる時 自分らしくいない時

こんにちは。対人コミュニケーションについて研究・教育をしている大学教員の今井達也です。

私のホームページ:https://tatsuyautexas.wixsite.com/mysite

この記事は:

- 自分らしさってなんだろう?と漠然と思っている人

- 自分らしさを活かして生きてたいがどうすればよいか分からない人

- 友達と一緒にいても、なんだか居心地が悪い感じを経験したことがある人

- 人との集まりの中で疎外感を感じたことがある人

に読んでもらうことによって、その気持ちの原因をすっきりとさせることができるのではないかと考えています。

今回の記事では「自分らしくいる時 自分らしくいない時」とはどんな状況を指すのか、について過去の研究を紹介しながら説明していきます。

以前、私は以下のような記事を書きました:

私の記事の中でも一番評価が高かったものであり、私自身一番興味を持っている部分ですので、この記事の内容の精度を高めながら、

- 読者のみなさまが「腑に落ちる」ような情報を

- 分かりやすく、シンプルに

届けたいと思っています。

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今回は以下の論文を主に使って、自分らしさの謎を読み解いていきたいと考えています。

伊藤正哉先生&小玉正博先生の「自分らしくいる・いない生活状況についての探索的検討」(2007)

上記研究者たちは193人の実験参加者に以下のような質問を投げかけました:

「あなたが自分らしくいる・自分らしくいないと感じる状況を教えてください」

その回答をまとめたものが以下のものになります。

自分らしくいる時

- 親密な人たちとリラックスした温かい時間をともに過ごしている時

- 好きなこと、意味があると感じられることをしている時

- 理想の自分と現実の自分が一致していると思える時

- 心身がポジティブな時


自分らしくいない時

- 親密ではない人、苦手な人、よく知らない人と、緊張した状態でともに過ごしている時

- 親密なはずの他者(家族や恋人)なのに、緊張した状態でともに過ごしている時

- 集団の中で社会的に自分を抑制したり、装ったりしないとならない時

- 嫌なこと、うまくいかないこと、慣れないことをしている時

- 心身がネガティブな時


上記の結果に対して「日本らしい対人関係の特徴」と思ってしまいがちですが、伊藤・小玉(2007)は海外で行われた研究(Turner & Billings, 1991)でも同じような結果が出たとしています。

特に、その海外の研究でも自分らしくないと思われる状況として

- 大きな集団や顔見知り程度の人に同調しているような状況

- その同調により自律性が欠落しているような状況

という2つを挙げていて、伊藤・小玉(2007)の研究結果とも似ている点が多く見られます。

このような「自分らしくいられない」状況に陥っている人は、学校や会社などで集団生活をする人の中に、たくさんいるのではないでしょうか。

それでは今現在、人との関わりの中で「自分らしく」生きられていないと感じている人は、どのようにその状況を改善させていけばいいのでしょうか。


自分らしくいられる状況は「作れる」

まず整理すると、

自分らしくない状況というのは

「親密とは感じられない人に囲まれながら、緊張状態の中で自分らしさをうまく出せずにいることにより、ネガティブな感情になっている」

という状態です。

まず、学校や会社の中においてあまり親密ではない人や苦手な人を、すべて仲の良い友人や知人にすり替えることは、不可能です。

つまり、あなたの周りにいるその苦手な人たちは「そのまま」に、あなたがリラックスして、自分らしくいられるような状況に転換する必要があります。

コミュニケーション研究者として、この転換を実現するのは簡単なことではないと感じます。しかし同時に、私はこの転換を実現するための鍵はコミュニケーションにあると信じています。

こういう人もいます。

「親しくなれると思えない人、自分とは合わない人、苦手な人は拒絶してやっていけばいい」

私もそれは一つの手として有効だと思います。

しかし私はコミュニケーションの研究者として、そして日本でも海外でも多様な人達と一緒に働いてきた人間として、

「最初は苦手だった・相容れなかった人達と、お互いに受け入れ合い、尊重し合い、お互いにとって気持ち良い空間を作った上で協働していくこと」

は可能だと思っています。

親しくなれない人や苦手な人と友達になる必要はありません。その人達と、同じ組織の中で、拒絶・敵対することなく、自分らしく・リラックスした状態で共に働いていくことは可能です。

その方法を、コミュニケーション学や心理学の研究結果を応用しながら、今後、検討・紹介していきたいと思います。

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