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【300文字の感想文】<5>額を紡ぐひと|谷瑞恵

執着や葛藤、苦しみだとかそういったものが、ゆっくりと波打つように変化していく過程が見えた。
それらは美しさに変わるものなのだと、初めて気付かされもした。

人の心の奥底に触れるのは怖いものだ。
人の想いを感じ、受け取り、見えないものをかたちにするのは、美しいものをさらに美しくするというのではない。
闇に光が射すことで、美しさに変わるのかもしれない。

戸惑いや気持ちの揺らぎなどが、丁寧に描写されている。
額装された作品は、その持ち主の心を救い、そしてまた誰かのために優しさをつないでいくのかもしれない。
深いところでつながる人と人との想いは、とても美しくて、簡単には見せられなかった弱さや苦しさを包み込むのだろう。(300文字)


図書館イベントに向けて再読。
ざっくりと感じることは1度目も2度目も同じだけど、2度目の今回は、より深い部分を感じることが出来たように思う。
単純な言葉ではなく、どんな表現が好ましい本なのかを常に考えながら読んでいた。

本を読むとは、自分には発想の及ばないものに出会える体験ができる。
映像のように流れていかないことで、その瞬間瞬間の自分の感情をしっかりと受け止められるのは、尊いことなのではないだろうか。

人の奥の奥まで、どうして深く感じ取れるんだろう……
思わず筆者の生年月日を調べてしまった。

読み終わって帰宅途中に見た、きらきら輝く細い三日月の美しさと、この本の雰囲気とが重なった。

谷瑞恵 1967年2月3日生まれ(水瓶座)



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