【300文字の感想文】<5>額を紡ぐひと|谷瑞恵
執着や葛藤、苦しみだとかそういったものが、ゆっくりと波打つように変化していく過程が見えた。
それらは美しさに変わるものなのだと、初めて気付かされもした。
人の心の奥底に触れるのは怖いものだ。
人の想いを感じ、受け取り、見えないものをかたちにするのは、美しいものをさらに美しくするというのではない。
闇に光が射すことで、美しさに変わるのかもしれない。
戸惑いや気持ちの揺らぎなどが、丁寧に描写されている。
額装された作品は、その持ち主の心を救い、そしてまた誰かのために優しさをつないでいくのかもしれない。
深いところでつながる人と人との想いは、とても美しくて、簡単には見せられなかった弱さや苦しさを包み込むのだろう。(300文字)