【300文字の感想文】<7>あなたは、誰かの大切な人~緑陰のマナ~|原田マハ
旅に行かずして、旅に出たような気持ちになる。
心地よい温度感や風も感じる一章だ。
その場所がどんなところなのか、どんなものなのか、そう気になって調べてみた。
そうすると、本の中身の鮮明さが、より増したようだ。
・ボスフォラス大橋
行ったことはない。
3つもあるのか。
じゃあそのどの橋を渡ったのだろうか。
3つとも渡ったのだろうか。
そんなつまらないことが頭をよぎる。
・シガラボレイ
日本にはない料理を知れるのは楽しい。
それに、完全に同じにはならなくても、作れないわけではないくらいの手軽なもの、というのもまたいい。
・ミフリマー・スルタン・ジャーミィ
日本建築にはない豪華さ。
建築様式はどうしてこんな風に、国によってなのか、人種によってなのか、変わるのだろう。
どんな背景があって、建造物はデザインされるのか。
これは見てみたからこそ感じたこと。
本の中だけでは気付けなかったかもしれない。
母が毎年当たり前のように作ってくれた梅干し。
母の味にはできなかったシガラボレイ。
どちらも大切なマナだった。
私にとってのマナは思い出せないままだけれど、母の様子がおかしいことを聞き、そして様子がおかしいそぶりを見せない母と通話した後だったから、なぜだかとても母が愛おしくて、苦しくなった。
当たり前なことなんて存在しなくて、勝手に自分が当たり前にしているだけなんだ。
誰もが当たり前だと思って日常を過ごしているはずだ。
旅に出て、それがちょっと日常からそれ、非日常になったとき、当たり前のものと感じてたものに光が差すこともある。
旅をすることは、特に海外へ、それは心揺さぶるなにかに出会いたくて行くものなのかもしれない。
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