“プライベートライアン”は世界最高のスプラッター映画
私は、トム・サビーニという”特殊メイクアップアーティストの神様”とも言われる人物の大ファンである。
彼はベトナム戦争中に、カメラマンとして戦場へ赴く。
帰国後、映画監督のジョージ・ロメロと出会い、”ゾンビ”でブレイクする。
ベトナムでたくさんの死体を目の当たりにしているので、人体破壊などの残酷描写も見事なまでに再現することが可能であった。
因みに、”ウォーキングデッド”の特殊メイク担当の、グレッグ・ニコテロはサビーニの弟子である。
そのトム・サビーニが、”世界最高のスプラッター映画”と言わしめた映画が”プライベートライアン”なのだ。
映画のオープニングのシーンは、ノルマンディー上陸作戦の回想シーンから始まる。
舞台はオマハビーチ。
血のオマハと言われた惨劇を、この映画では生々しく再現している。
オマハに向かう途中、船の中では、大勢の兵士が小刻みに震えている。
兵士は震える手で十字を切って祈り、ある兵士はあまりの恐怖に嘔吐する。
陸に近づき船のゲートを開けた途端、待ち伏せしていたドイツ軍に襲撃され、半分以上の兵士がやられてしまう。
即死ならまだよかったが、銃撃により手足が吹き飛んだ兵士や、一方では、倒れてはらわたが飛び出している兵士は”ママ!ママー!”と絶叫する。
オープニングから素晴らしい出来なのである。
私がこの映画を初めて観た時、再現度の高さに驚愕した。
実際のノルマンディー上陸の写真を見ると、偽りがないくらいの再現力なのだ。
あと、実際に使用されていた銃器や、本物の銃声を使って再現しているのだ。
ここまで再現する映画は、これまで観たことがなかった。
さすがミニタリーオタクといったスピルバーグである。
余談だが、この映画の少し前に公開されたマイケル・マン監督の”ヒート”も、本物の銃声を使用しており、銃撃戦は相当な迫力がある。
スピルバーグは残酷描写が好きなので、この映画でも例外ではなく残酷描写が満載で、オープニングシーンから腹一杯になる。
トム・サビーニの言う通り、”世界最高のスプラッター映画”はプライベートライアンなのかもしれない。
"ヒート”
パチーノVSデニーロによる長時間の銃撃戦は最大の見せ場。
”ゾンビ”
ジョージ・ロメロ監督作
トム・サビーニの特殊メイクは、何年経っても色褪せない。