見出し画像

「 気づき や 疑い を得る現場巡視 」     10の方法

 千原ジュニアは、News Picksの1テイク15分の祝辞で

「 気づきと疑いの中で真実を見つける 」  と語った。


  難波二丁目劇場の前にある、かに道楽。大きなカニが動いてる看板を見て
「あれだけ赤いと言うことは、一回茹でられとるのに、何を動いとんねんっ!」
 そうやって笑える素敵なシーンを探して欲しいと話す。

 この語りを聞いた時に、妙にしっくりきた。

 所長は毎日、現場巡視をする。自分はカメラをポッケにいれ、ノールックばりにシャッターを押し、超スピードで現場のいいところも悪いところも記録していく。とにかく「はっ!」と思ったところをばしゃぱしゃと。直感的に、思いのままに、早歩きでそそくさと撮影していく。そして事務所に戻って写真を印刷し、現場のあれこれをサインペンで手書きする。「野生の勘」で的確にかつスピーディに、現場の問題点を指摘していく。

!=気づき・違和感 ?=なぜ・疑い を得る為に、現場をどう巡視しているのか?10の方法にまとめてみた。

1:目線を変える

 歩きながらの目線は誰もが見ている目線であり、問題はすぐに発見される。だから、監督は職方とは違う目線で、現場をみる必要がある。
「かがんでみたり、端から睨んだり、脚立を使って上から見たり、お客さんの立場になって椅子に座ってみたり、実際に使ってみたり」目線の変え方はいくらでもある。完全に仕上がってから問題が発覚、壊して直すなどはしたくない。下地の段階や施工する前に気づきたい。なに目線でもいい。誰かを思えばいくらでもある。

2:動線を変える

 毎日の現場巡視のなかで、知らず知らずのうちに同じルートを歩いてしまうことがある。歩きやすいからだろうか。そんなふうに片寄った時や何か物足りない時は、逆回りをする、足場だけを歩く、エレベータを使わないで階段で上がるなど動線を変えて歩いてみるといい。そのような片寄った見方は薄れていく。リスクヘッジする上で片寄りは禁物で、問題を早い段階で見つけることが大きな失敗をしないことにつながっていく。

3:変更点を確認する

現場に変更はつきものだ。関わる全ての方面へスピディーに反映する必要がある。よく起こりがちなことに、変更がすぐさま施工図に反映されなかったり、職人の持つ図面が古かったり、製作図が修正されていなかったりする。変更点を最新にすることにすごく手間が掛かる。
 例えば扉の開き勝手を変更した場合、平面詳細図は修正したが、製作図は反映されずそのまま発注、現場も変更前で作ってしまっているなど、一つの変更点でどこまで絡むのかに、気を使わなければならない。現場のほうも変更したところがその通りになっているか、しっかり押さえておきたい。

4:やりにくいところをみる

 人間だれしも楽をしたい。手間が掛かったり、足場が必要であったり、他業種との取合いが多かったりする部分は、現場判断で楽な方に勝手に納まりが変わっていたり、何も進んでいなかったりする。放置の状態に陥りがちである。所長はそういったところを出来るだけ早く見つけ、工程や手順、手配を整理し、現場を前へ進めなければならない。ただ時間だけが過ぎていくことを、みすみす見逃すわけにはいかない。

5:そこだけ違うを探す

イレギュラーがイレギュラーに作られない現場。
例えば他は棚の高さが1.5mでつき、ただ1か所だけ1.3mだとか。柱型900×900だけど2か所だけ850×900だとか。このあたりの間違ったときの言い訳が
「他と同じだと思っていました。」である。
 だから、間違う前に現場を確認してあげる必要がある。図面で「そこだけ違う」イレギュラーを探し、現場で確認をする。このルーティンは現場巡視はもちろん、図面チェックでも意識をしたい。

6:散らかっている理由を考える

ゴミの裏にはダメ(不適合箇所)がある。資材の裏にはダメがある。と思っている。だから現場は常にチェックできるように片付ける。作業の効率を上げ、安全にもつなげていく。もともとそこにはゴミはなかったわけで、誰かがそこに置く。根本原因の張本人がいる。だからその本人にちゃんと注意する。言わないのはやさしさではなく、逆に罪だと思う。また資材については、ちゃんと物の置き場を計画してなかったりする。置き方の工夫やルールがなされていない現場は、散らかったぐちゃぐちゃの現場になっていく。

7:無駄を見つける

 無駄にはいろいろ種類がある。原価や工程などのお金や時間の無駄など「遊び」と言われる無駄を排除する必要がある。なにもしなければ無駄だらけである。無駄の増殖である。
 誰も使わないリース品の放置、誰もいないエリア(作業を進めれば、工程は短縮できる)、不必要な足場(撤去すればスペースが生まれストックヤードに使える) ごみの圧縮化(ごみを圧縮しなければ、空気を捨てるようなもの)頼みすぎる余った資材などもったいないの視点で現場を回れば必ず、1個は発見できる無駄がある。

8:前回の指摘を振り返る

ダメ帳(不適合書)は生ものである。賞味期限は1週間。1週間放置されればダメな状態で、次の工程に進んでいる。どんどん手直しが出来ない状況に陥り、小さな問題が大きな問題に発展し、化けていく。だから、前回の指摘が是正されているかの確認が必要で、リスクヘッジの一環としてちゃんと見直しをしたい。

9:今よりもその先を考える

 次にどうなるのかのイメージをもつ。「次、こういうところが問題になるから、こうしておくこと」と予言する。または「こういう失敗するからここに気をつけなさい」と忠告する。そのように指示しても案の定、間違った方向で進んでいるのが現場である。こういう時に良く思うのが、現場は一人じゃできないとういうこと。チーム力で共通認識が必要である。皆が皆、見聞色や予知色を持っているわけではない。10のうち1でもわかってくれれば良いと気長に言い続けるしかない。

10:最後に

 現場をつくる上で、自分に言い聞かせていることがある。
「自分でお金を出して、この建物買いますか?買いませんか?」
 自ずと、いいものを作りたいと思えるはずである。
 苦しいことや難しいことが現場で起こるが、一つ一つクリアし、その修羅場をくぐり抜け、自分の引き出しを増やし「野性の勘」を磨いていきたい。
 !(気づき)や?(疑い)を持って先入観を排除し「自分の目」だけを信じ、数々の局面に「選択」や「決断」をする準備を、現場で鍛えておきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?