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継続寄付のカギとなる、寄付者との対話的関係とは?

継続寄付につながる3つの要素

マンスリーサポーターなどの継続的な寄付につなげる要素はいろいろありますが特に大事だなと思っているのは以下の3つです。

  1. 継続的な寄付をいただけることが前提の事業を行うこと

  2. 寄付することで寄付者自身の癒やしや救いにつながること

  3. 寄付を継続することによって寄付者自身が変化すること

1.継続的な寄付をいただけることが前提の事業を行うこと

寄付集めをする最初の頃は、活動者の仲が良い人たちからの寄付が大半となりますので、寄付する意味は関係ないですが、さらに寄付を増やしていこうと思うと、これまで知らなかった人たちから寄付をいただく必要がでてきます。

その時に寄付が前提となった事業をしていないと、寄付する意味を感じてもらえず頭打ちになってしまいます。集まるかどうかわからない寄付を前提とした事業を運営することはリスクとうつるかもしれませんが、そこにかける思いが寄付する意味とつながっていきます。

2.寄付することで寄付者自身の癒やしや救いにつながること

寄付者も人です。人は生きていく中で様々後悔することがあります。団体が支援をしている困難を抱えている人だけが苦労しているわけではありません。団体の活動や結果がその後悔している気持ちの癒やしになったり、救いにつながることがあります。

当事者よりもましな生活をしているんだから寄付するのは当然みたいな意識の団体さんをたまに見ます。寄付者がそう思うのは勝手ですが、寄付を集める団体がそう思っては集まりません。なぜなら、そういう団体が提供する情報に沿って寄付をすればするほど施す意識が蓄積されて上下関係につながってしまうからです。上下関係でなりたつお金のやりとりはどこかで行き詰まります。

横の関係で支え合うかたちで寄付を集め続けたいと思われるのであれば、当事者や関係者、地域、寄付者などの多様な関係者の変化や循環のストーリーを伝えていって、寄付者としてその循環への参加を促す情報提供がよいです。

3.寄付を継続することによって寄付者自身が変化すること

3は、寄付を継続することによって考え方や行動の変化につながることですが、これについては団体としてどうしたらいいの?と具体的な対応についてわからないことが多いものです。

扱っている社会問題がなぜ起きるのか構造的な情報提供をしてくださる団体さんは増えてきました。しかし、そればっかりだと「もうわかったよ」となれば寄付する意味を感じられなくなります。知的好奇心を満たすだけでは継続的な支援にはつながらないのです。

今回のnoteは、この3の寄付者自身が変化するために団体として何ができるかについて、書籍:生きることとしてのダイアローグを参考にしていきます。

寄付を通じて寄付者自身に起こる変化とは

そもそも、団体への寄付を通じて寄付者自身に起こる変化とはどのようなものでしょうか?

寄付者自身の存在理由や生きている実感などを対話を通じて感じていくこと

先ほども挙げましたが、社会問題を構造的に理解できることとか、当事者の方の苦労を知れるといった知識の獲得が考えられますが、知的好奇心を満たすだけだと寄付をする意味を早々に感じられなくなってしまいます。

寄付を継続したいと感じる自分自身の変化は、もっと人として根源的な変化なのではないでしょうか。本書では以下のように、人の存在理由や生きていることについて対話を通じて感じていくことが挙げられています。

わたしたちがる=生きているというのは対話をおこなっているということなのである。

(中略)<対話>は、ことばをもちいて「向かいあって話し合う」ばあいのみをさしているわけではありません。ことばをもちいるか否かに関係なく、ひとが相手に呼びかけ、相手がそれに応答するような関係一般をさしています。生きていくにあたっての姿勢のようなものをさしているともいえます。

(中略)そうした関係をつくるのにもっとも役立っているのは、ことばです。

P4から抜粋

対話的関係を寄付者と築く

対話と聞くと向かいあって話し合うことが想定されますが、それに限らず、自分の存在が肯定され、生きている実感が得られる「対話的関係」になることで、人としての根源的な変化につながっていくのです。

ことばがそうした関係に重要な役割を果たしているとありますが、それ以外のものも対話に影響しています。

<対話>がことばによる対話だけではないことが具体的に例示されています。すなわち、声だけでなく、「眼」や「唇」、「手」「魂」「精神」「身体全体」「行為」などによっても、<対話>していることが強調されています。

(中略)ひとは自分の考えだけでなく、自分の運命、自分の個性全体でもっても、対話に参加する。

(中略)対話では人間は外部に自分自身をあきらかにするだけでなく、あるがままの自分にはじめてなるのである

P8-9から抜粋

このように対話には単なることばのやりとりにとどまらず、全人格的な関わり合いが含まれているのです。

困難を抱えていない人であっても、日常生活を重ねていくと、何かしらの生きづらさを感じる局面があります。

寄付者との対話的関係性を築くために

現代社会はどんな人にでも、孤独・孤立を感じる瞬間があります。これは、対話的関係を持つ人がいない・少ない状況が原因となっています。こうしたことから、寄付者と団体との間で対話的関係が築ければ、継続的に寄付してもらえる可能性が高まります。

そうなるためには具体的にどうしたらいいのでしょうか?

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