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TICAD(アフリカ開発会議)の記事で気になったNGOのこと

明日8/27からTICAD(アフリカ開発会議)がチュニジアで開催されます。

今までは日本国内の団体さんが多かったので関心が薄かったのですが、昨年から国際協力活動をされている団体さんも伴走支援をしているので、関心が高いです。

8/26の日経新聞の特集でTICADについて7頁にわたっての記事があったので、そこから気になったところをnoteでまとめてみました。

最近関心が高まったので、知らないことが多くて的外れの内容になっているかもしれませんが、その場合はご容赦下さい。

TICADはティカッドと呼ぶ

え?そこ?と笑われるかもしれませんが、最初は読めませんでした「TICAD」を。ティーキャドとか、ティッカドとかティーアイシーエーディー、ティックアドなど頭に浮かびましたが、間違って読んだら素人扱いされてしまうので、口に出さず様子を伺っていました。ニュースで「岸田総理がティカッドにオンライン参加します」と聞いて、自信をもってティカッドと書けるようになりました(笑)

でも一般の人はこれくらいの認識です。

TICADのTは東京のT

「アフリカ開発会議」という名前ですから、国際的な集まりで、全世界から集まるんだろうなー、しかも今回はチュニジアで開催ということは、なんか国連が主催しているすごい会議なんだろうなーと思っていました。

しかし、TICADは何の略だっけ?と調べると、Tokyo International Conference on African Developmentの略でした。

あれ?何、Tokyoって?国際的な集まりの頭文字にTokyoが付くってどういうこと?と疑問に思って新聞をよく読んでみると、世界各地でアフリカ支援の枠組みがあるようです。

・中国:中国・アフリカ協力フォーラム
・ロシア:ロシア・アフリカ・サミット
・アメリカ:米・アフリカ・リーダーズ・サミット
・EU:EU・AUサミット

TICADはその日本政府が主導で行っている会議ということらしいです。「日本発!アフリカの発展を日本政府の視点で語り合おう!」俗っぽいタイトルにするとこんな感じなのかな?と思いました。

これも今まで国際協力について知らなかった一般の人の感覚だと思います。

どんなことを目指しているの?

TICADはどんなことを目指した会議なんだろう?と思い記事を読み進めていくと、7/13に日本経済新聞社が「人間の安全保障とアフリカの挑戦」-TICAD8に向けて」というタイトルでシンポジウムを行ったそうです。

”多様な脅威に「連帯」で備えるには?”を論点に、パネルメンバーから以下のキーメッセージがありました。

・林芳正 外務大臣:アフリカ主導の発展を後押し
・アヒム・シュタイナー 国連開発計画(UNDP)総裁:人の安全の基礎見据えた開発を
・ペドロ・コンセイソン 国連開発計画(UNDP)人間開発報告書室長:尊厳を持って生きられる社会を
・近藤哲生 国連開発計画(UNDP)駐日代表:人と地球の共存のために
・武見敬三 人間の安全保障に関する特別報告書ハイレベル諮問パネル共同議長:国家に加え人間の安全保障を
・田中明彦 国際協力機構(JICA)理事長:TICAD8を連携の契機に

これらを読むと、「環境負荷や人権侵害などに配慮した感じで、政府・企業・NGOが協力しながら、アフリカで開発がされていくことを目指しているんだろうなぁ」といった印象をもちました。

開発って何を?

TICADはアフリカ開発会議ということで開発に関して話し合う会議です。その「開発」ってなによ?と思いました。

日本で開発というと、デベロッパーが東京駅前の丸の内に高層ビルを建て、その一帯をいい感じにすることだったり、大企業がこぞって地域で複合型商業施設をつくりまくったりとか、地域資源開発というと地域で特定の福祉サービスを提供する担い手がいないので、団体の立ち上げ支援や資金支援して育成をすることなどが頭に浮かんできました。

そこからアフリカにおいてなんらかの課題を解決するために、古いものを新しいものに変えたり、なかったら支援しながら新たにつくりだすことなのかなと思いました。

8/26の日経新聞の特集ではアフリカの3つの課題について挙げられていました。

・医療や社会のインフラの未整備

・非効率な農業生産や食料不足

・脱炭素社会の実現

どれも、「なるほどねー、それがアフリカの課題なんだー」という感じでした。

こうした課題に対して、「スマホやで胎児の超音波診断」、「バイクでの応急治療」、「ドローンを使った農地のデータ収集や生産指導」、「バイクタクシーの電動化と充電システムの整備」といった対応が書かれていました。

「ICTや新しい技術をもちいてアフリカの課題解決につながっているんだな」と感じ、新聞に太字で書かれた起業家が「跳躍」成長導くという言葉をみて、ビジネスでそうした社会問題が解決されるんだなと思いました。

なぜ国や企業がそこまでやるの?

いいことやろうとしているんだろうなと一瞬思いましたが、なぜ国や企業がそこまでやるの?でした。開発をする実利はなんだろうということです。

先程挙げた例だと以下のような感じです。

デベロッパーが東京駅前の丸の内に高層ビルを建てる・・・その一帯をいい感じにして地価を上げ、高値で大企業に賃借したい。

地域で複合型商業施設をつくりまくる・・・物流や保管などのインフラ整備をすることで、都心で提供しているのと同じモノやサービスを地域で提供することで売上を上げたい。

地域で特定の福祉サービスを提供する担い手を増やす・・・特定の福祉サービスが欠けるとその地域住民の医療費や介護費がのちのち高くなってしまい自治体や国の財源を圧迫してしまうので、それを避けたい。

そうした観点でみると、以下の大きなながれがあることがわかりました。

これから国際社会の均衡や人口、環境問題等にアフリカの影響力が高まっていく

4月に行われた国連の特別会合で、ロシアのの人権理事会の理事国の資格停止する決議において、93カ国が賛成、24カ国が反対、58カ国が棄権しましたが、アフリカは反対9と棄権24という結果。会合に参加しなかった11カ国を含めるとアフリカ54カ国のうちで44カ国が賛成を見送りました。

中国は2013年から2018年に年平均30億ドルの支援をしました。日本は2021年のODAは15億円超でしたので、倍ですので影響力は大きいです。中国がどこかに侵攻しても同じことが起きるかもしれません。

そして人口増加です。世界の多くの国が人口が減少していきますが、アフリカは人口爆発していきます。推定では2050年には1.7倍の24億人超、2075年には2.4倍の33億人超となります。

2075年人口が世界で一番多い都市は、コンゴ民主共和国のキンシャサで5840万人、3位ナイジェリアのラゴスで5720万人、9位エジプトのカイロで3300万人、12位スーダンのハルツームで3070万人、13位で東京2890万人と予測されています。

これだけ人が増えると、環境負荷も高まりますから、今から環境負荷のないやりかたを進めていく必要があります。また企業がグローバルで稼ごうと思ったらアフリカとの関わりが重要になります。戦争をしないこと・されないことが一番の国益ですから、そうならないように様々の地域の国々とよい関係を持っておくことも大切です。

もちろん世界全体の環境問題や貧困の解消などの目的はありつつも、国や企業の実利としてはこうした側面があります。

NGOが含まれていないことがおかしいなと思いました

今回日経新聞の7ページの記事を読み進めていきながら、いつ知っているNGOの名前がでてくるかなーと思いながら読み進めていったのですが、どこにもでてきませんでした。JICAの理事長さんも「TICAD8を連携の契機に」ってコメントされていたんだからまさかーと思って、3回読み直しましたが出てきませんでした。

政府・企業・NPOの3セクターがあって、それらが連携してことを進めることが重要と思っていたのですが、この記事だと政府・企業・JICAです。

政府は国益を優先しますし、企業は利益を優先します。いくら配慮したとしても優先はします。それを監視したり、見落としているところを指摘したり補うのがNGOの役割かなと思っています。そして、開発をした後の現地の人たちの暮らしを支えたり、市民活動を支えるのもNGOです。

開発で変えたあとの社会で、現地の人がメリットを享受しつづけて生活できることが信頼につながります。社会を変えることだけに注目した開発は、また別の問題をはらんでしまうのではないでしょうか。出店した大型複合施設の影響でシャッター街になって、人のつながりが無くなったたくさんの地方の市町のように。

日経新聞というビジネスよりの新聞だからだとは思うのですが、一般の人がよく読む記事において、まったくNGO側の発言やコメンテーターとして含まれていないのは、少しバランスがおかしいなと思いました。


今回のnoteはいかがだったでしょうか。私はファンドレイジングの伴走支援をしています。公式LINEとホームページがありますので、関心がある方はご連絡ください。


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今給黎 辰郎(いまきゅうれい たつお)
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