法人格問わず・最大1000万円×最長3年が助成されるアウトカムファンド for IMMの募集が始まりました
2023年5月16日に、アウトカムファンド for IMM 発表フォーラム・記者発表会が開催され、オンライン・会場で304名の方が参加されました。
詳細はこちらごらんください。
アウトカムファンド for IMMの特徴
1.助成額が変動すること
採択されると、固定額でまず300万円が助成されます。その後、成果に応じて最大1000万円まで助成されて、最大3年間それが続きます。ただし、1年更新なので、成果が出ていないとなると更新されない場合があります。
2.活動分野が問われないこと
「分野・対象などを問わず、人々の肉体的、精神的、社会的状態の向上、つまり「Well-being」に資すること」と幅広く定義されています。
既に社会的インパクト評価の仕組みが実装されている休眠預金事業の場合は「子ども・若者」「困難を有する者への支援」「活力が低下している地域への支援」と大きく3つの公益活動に絞られているのと比べると、自由度が高いです。
3.法人格が問われないこと
日本国内に登記のある組織であれば法人格の種類は問われません。株式会社であっても申請することができます。
4.既存事業のスケールを目指す事業に助成されること
「すでに事業の実施実績があり、事業を通じて何らかの社会的・環境的な変化(アウトカム)が生まれていること」とあるので、新規事業ではなく、既存事業で効果があることをスケールアウトしたり、スケールアップする事業が対象のようです。
5.助成を通じてインパクト測定・マネジメント(IMM:Impact Measurement & Management)の実装ができること
この助成金を得るには、創出されたインパクトの測定が欠かせません、そのため、事業の前半は測定のための、ニーズ調査や事業設計、成果指標や目標づくりといったことについて伴走支援として専門家が派遣されます。
インパクト測定・マネジメント(IMM:Impact Measurement & Management)の概念図は以下です。
この仕組みは、長年、日本の社会的インパクト投資を推進する人たちから政府に要望されていたものですが、なかなか実施までには行きつきませんでした。そうした膠着していたところに、韓国SKグループの企業財団Center for Social value Enhancement Studies(CSES)が実施していた、測定結果にもとづくインセンティブを支給するSocial Progress Credit(SPC)の仕組みが日本にもあうのではないかとなり、日本ファンドレイジング協会とCSESの協働によりこの度の取り組み開始となりました。国内外の民間の力でこうした仕組みができたことは大きな一歩です。
フォーラムの様子がアーカイブとして掲載されていますので、関心ある方は是非ごらんください。
募集期間
募集期間は2023年5月16日~6月25日です。以下URLから申請ができます。
申請書の中にはロジックモデルだけではなく、事業計画書に以下を記載する必要があります。そのため、ある程度の社会的インパクト評価の知識が必要になります。
・中期アウトカム
・短期アウトカム
・短期アウトカム毎の指標/測定方法/活動内容/活動時期
今給黎からのコメント
固定で助成される300万円は、組織内にIMMを実装するための費用となります。多くは担当者の人件費や育成費になるのではないでしょうか。
組織の中に社会的インパクトマネジメントを実践する人を確保できる意味は大きいです。自団体の事業によって生み出される社会的インパクトが可視化され、それを最大化するアクションは何か?を自組織で常に問うことは、より多くの受益者に支援やサービスを届けることや、真の原因解決に向けた活動につながるからです。
そうした社会的インパクトがある事業をすることで、組織のファンドレイジング力も高まっていきます。寄付、助成金、自主事業、委託など様々な財源獲得の力となるのはその団体がいかに「いい活動」をしているかだからです。
この「いい活動」を自分達の思い込みではなく、より多くの人に届けるかたちにしていくことこそがアウトカムファンド for IMMが目指すところなんだと思います。
社会課題解決のソリューションを他地域に横展開するスケールアウトや、自団体が活動できる活動地域を増やすスケールアップを目指す組織には、向いている助成金だと思います。
一方、地域のシステムチェンジをめざした活動は評価が難しいのではないかなと思いつつ、そこの成果を可視化できる事業が出てくれば、それはすごいことだと思います。
フォーラムに登壇されたSIIF(社会変革推進財団)常務理事工藤七子さんが「日本が海外から仕組みを輸入する時代は終わった。今は各現場で頭をしぼりながら実践することが世界の先端的な取り組みになる時代となった」と述べて、社会のモードが変わったことをコメントされていたのが印象的でした。
様々なプレイヤーから社会課題解決のための資金が提供されるようになりましたが、それはあまねく公平に活動団体に分配されるものではなく、社会的インパクトがある活動にしようと日夜悩みながら活動している組織に集中的に投入されていきます。
東日本大震災→コロナ禍を経てお金の流れが変わってきています。今回紹介したアウトカムファンド for IMMに申請する・しないに関わらず、インパクト測定・マネジメント(IMM:Impact Measurement & Management)を組織で取り入れていくことは、今後のファンドレイジングに大きく関わってきます。
コロナ禍を経てもなお、社会的インパクトについてあまり意識していない団体さんは、今が変化する最後のチャンスだと思います。
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