rakugaki_73「美術館へ行こう!【兵庫編】兵庫県立美術館(前編)」
私には「美術鑑賞」という唯一の趣味があります。
その「趣味」にもブームがありまして、第一次ブームが1985年〜1987年。
第二次ブームが2009年〜2018年。
第一次ブームの1987年から第二次ブームがはじまる2009年まで20年以上の月日が経っていますが、その間にも何回かは美術観賞をしています。
ただ「ブーム」の期間は、集中的に「美術館」に出かけているので「ブーム」なんですね。
このブログでは、私の大好きな「美術館」に出かけて、観賞した「美術展」の感想とともに、「美術館」の魅力が一緒に伝えられればなぁと思っています。
兵庫県立美術館は兵庫県神戸市「HAT神戸」に2002年に開館しました。
美術館の前身である「兵庫県立近代美術館」は1970年に開館しており、現在は「兵庫県立美術館分館」及び「横尾忠則現代美術館」として利用されています。
私の現存する記録の中で、現在まで「兵庫県立美術館(前身である兵庫県立近代美術館含む)」の企画展に出かけたのは10回です。
これは今まで鑑賞してきた「兵庫県立美術館(前身である兵庫県立近代美術館含む)」の感想ブログ(前編)となります。
1)1986年10/10-11/9「セザンヌ展」
兵庫県立近代美術館時代ですね。
半券とチラシが残っていますので、以下チラシより抜粋します。
近代美術の流れの中で「セザンヌ以前」と「セザンヌ以後」という言葉がしばしば使われるように、ポール・セザンヌ(1839-1906)の画業は、印象主義から始まり20世紀美術へと続いていく近代美術史の中で、ひときわ巨大な分水嶺としてそびえ立っています。
セザンヌは彼の友人でもあったモネやルノワール、シスレーらと同世代の画家ですが、その業績は時代の新しい表現であった印象主義に共鳴しつつ、それをのりこえて、古典絵画に匹敵しうる「堅固で持続的」な絵画を築きあげたことにあります。
その構築的、平面的な作品は、キュービズムをはじめとする20世紀絵画の新しい運動の誕生に大きな影響を及ぼしており、まさに「近代絵画の父」と呼ぶにふさわしい存在です。
南フランスの旧都エクス=アン=プロヴァンスに生まれたセザンヌは、22歳の年にパリに出てアカデミー・スュイスで学びました。
初期の約10年間は、暗いバロック風ないしロマンティックな主題を力強い筆致で描いた作品を残しています。
1870年代はじめに、ピサロを通して印象主義の影響を受け、色彩も徐々に明るくなり、第一回(1874)と第三回(1877)の印象派展に参加しました。
1880年頃からは、おもに南フランスで政策を続け、1884年パリのサロンに落選してからはサロンへの応募もとり止め、風景画、静物画、多くの人物を含む水浴図などに独自の境地を切り開く孤高の生涯をおくっています。
今回のセザンヌ展は、世界各地の美術館やコレクターから集められた油彩画、水彩画、デッサン約70点によって構成されています。
初期から晩年までの代表的作品を含むこの展覧会では、セザンヌ芸術の展開を時間をおってたどることができます。
それは、ピカソやマチスなどによって切り開かれた20世紀美術の源流にセザンヌが位置していることを確認させるだけでなく、セザンヌ芸術とセザンヌ個人の生活史との関連にも新たな照明をあててくれることでしょう。
印象派ではなく、セザンヌ単体を取り上げた珍しい気合の入った美術展だったようです。
2)1987年1/15-2/15「小磯良平展」
こちらも兵庫県立近代美術館時代ですね。
半券とチラシと、こちらは図録も購入しています。
以下、チラシより抜粋します。
今日のライフスタイルの原型は1920年、30年代に築かれました。
西欧風の生活感覚の雰囲気を満たすように、ここにモダンな都市文化が誕生したのです。
洋画家小磯良平の登場は、まさにこのモダン昭和の到来を告げています。
1920年、30年代に花開く都市文化の新しい魅力を小磯良平がとらえます。
多様な表現活動が繰り広げられる現代の美術界にあって、小磯芸術は揺るぎない支持を得ています。
それは彼の作品に手仕事としての油彩画技法の粋が集められているばかりでなく、わたしたちの眼にはまぎれもなく、同時代人によって表現された絵画世界のひとつの原点と映るからでもあるのでしょう。
そして、常に時代を反映する鏡となって歴史的変遷を重ねてきた西洋絵画の伝統を、いかにしてわが国に移入し、息づかせようとしたのかといった問題と取り組む小磯画伯のひたむきな制作姿勢が共感を呼びます。
モダン昭和の表現としての初期の数々の女性像。
その後、1950年代から繰り返された実験を経て、現代の具象絵画のひとつの到達点へと至る小磯芸術60年を超える歩みを、未公開作品を含め、150余点でふり返ります。
昭和63年に、兵庫県立近代美術館に待望の「小磯良平記念室」が開設されます。
従って、代表作を網羅した大規模な「小磯良平展」開催の最後の機会となるでしょう。
図録を見直しても小磯良平、単体の美術展としてなかなかの作品が揃った美術展だったことが伺えます。
3)2014年4/12-6/1「夢見るフランス絵画 印象派からエコール・ド・パリ」
気がつけば今日で5月も最後。
月日はあっと言う間に過ぎて行きますよね。
毎日毎日、バタバタしていて本当、あっと言う間です。
それでも何とか、明日で終わってしまう美術展に行くことが出来ました。
兵庫県立美術館です。
この美術展、ある収集家によるフランス近代絵画のコレクションから名品71点をご紹介したもの。
モネ、セザンヌ、シスレー、ルノワール、モディリアーニ、キスリング、藤田嗣治、ヴラマンク、ユトリロ、ルオー、シャガール・・・。
フランスに抱く夢と憧れがつまった絵画コレクションということらしいです。。。
正直、どの辺が「夢見る」のか分かりませんでしたが(笑)
まあ、目玉作品不足ではありますが、久し振りの美術鑑賞は心のサプリメントになりました。
今回は音声ガイドで鑑賞をしたので、作品自体の理解度も高まった気がします。
草刈正雄さんの声が独特過ぎて、ちょっと絵画の世界と言うよりドラマの世界みたいでしたが(笑)
いや~、それにしても今日は暑かったですね。
すっかり夏日!
これからどんどん、暑い日が増えていくんでしょうね。
覚悟せねば。
この後美術展はBunkamuraザ・ミュージアム、北海道立近代美術館、宇都宮美術館と来年末まで国内を巡回するそうです。
4)2015年1/24-4/5「日本・スイス国交樹立150周年記念 フェルディナント・ホドラー展」
この美術展は、今年の1月12日まで国立西洋美術館で開催していたものです。
同月24日にこちらに巡回してきました。
素早いと嬉しくなりますね。
そう言えば昨年末からバタバタと、気づけば年も明けてもう1月も最後の日。
雪がチラホラと舞い風が冷たい中、行ってきました。
美術鑑賞も、今年はじめてとなりました。
兵庫県立美術館です。
フェルディナント・ホドラーは、19世紀末から20世紀初頭のスイスを代表する画家です。
後続するスイス人芸術家とは異なり生涯を通じて母国にとどまって活躍したそうです。
大規模な室内装飾を数多く手がけ、身近なアルプスの風景を描きつづけたホドラーは、スイスでは今なお「国民画家」と呼ばれているそうです。
本展は、ベルン美術館をはじめとするスイスの主要美術館と個人が所蔵する油彩・素描など約100点によって、ホドラー芸術の全貌に迫ります。
日本ではおよそ40年ぶりとなる国内最大規模の回顧展だそうです。
若い頃は割と写実主義。
嫌いじゃない感じです。
それがどんどん装飾的かつ象徴主義的な作風に変わっていきます。
何かを意図するかのような、何を象徴しているのか不思議なポーズをきめる肖像たち。
それらは人々の身体の動きが織りなす、生きた「リズム」を描きだすことだったみたいです。
確かに面白いのですが、イマイチ私には心にグッとくるものはありませんでした。
この方、スイスの画家を代表するだけあって、スイスの紙幣のデザインもされていたんですね。
あと、壁画のような大作もされていたそうで、そのための幾つもの習作が飾られていました。
晩年は巨匠にありがちな、フォルムも色も大胆で簡略化された作風に。
ちょっと、日本人画家でいえば梅原龍三郎とかを思い出しちゃいました。
5)2015年9/19-11/23「パウル・クレー だれにも ないしょ。」
こちらの美術展、栃木県の宇都宮美術館を巡回して兵庫県立美術館にやって来たものです。
パウル・クレーは2011年5月に京都国立近代美術館に観に行った、「パウル・クレー展 おわらないアトリエ」以来です。
私はずっと抽象画とかを観るのが苦手で、そのときの感想は「やはりよく分からなかったですが、面白味があったり色彩が綺麗だなぁ」というものでした。
スイス出身のパウル・クレーは「秘密」を愛した近現代の画家。
パズルのピースを思わせる断片的な作品の姿は、それらがつながったときに現れるであろう全体や、どこかたわいない遊びを感じさせるものだそうです。
近年の研究により、例えば作品の下塗りの層や裏側に、もうひとつ別のメージを意図的に“埋蔵” するなど、この画家が仕掛けた密やかな暗号の全貌が、明らかになりつつあるそうです。
クレーは日本でも高い人気があり、これまでも充実した個展が開催されてきました。
それらの成果を踏まえ、本展ではクレーが何を描き、どうスタイルを展開させ、どのような手順で作品を作ったかという紹介をするとともに、クレーの謎を正面から考えるそうです。
キーワードは「秘密」。
謎解きだけではなく、常にミステリアスな気配をまとうクレーの思考と感性に分け入ることも目指すそうです。
そのため本展では、時系列ではなく、6 つのテーマで構成されているそうです。
質・量ともに、クレー作品の重要なコレクションを擁するベルンのパウル・クレー・センターおよび遺族コレクションの全面的な協力を得て、日本初公開31 点、国内のコレクションを含む110 点あまりの展示だそうです。
今回は音声ガイドを聞きながら回りました。
最初は音符の記号を絵画に盛り込んだ、音楽と絵画の融合を目指したような作品の謎解きを音声ガイドで説明を聞きながら進みます。
そのうち、いや音声ガイドを聞かないと、そんな謎解き気付かんわ~!と、突っ込みたくなるような内容で、例えそれをクレーが意図して描いたとしても、途中からやっぱり好き嫌い、感性で素直に観るのがいいのだと思いました。
素直に楽しいのは、やっぱり多少想像しやすいやっぱり形のあるものになってしまいますね。
私はコケティッシュな「こどもの胸像」と「彼女は吠え、僕らは遊ぶ」が好きな作品でした。
でもクレーの絵、割と自由奔放に色々変わるので、それはそれで好きなクレーの絵に出逢えればいいのかも知れませんね。
・・・後編へ続く