はらい、がすき
久しぶりの感覚
もう、何年振りだろう
週に一度、びくびくしながら教室に通っていた
何枚も何枚も書き直しと言われ
帰りたくて泣いたこともあったな
習い事か
これがしたいと自分から口にしたことはない
どうして、書道だったんだろう
兄が習っていたからなのか
気付いたらそれは当然のようにいて
きっかけなんて、聞いた事も無かった
教室の静かな、沈黙の時間が
追い込まれてるみたいでいつも緊張していた
無駄に会話をすると、怒られるだろう
でも声を出してみたくなる
そして、案の定怒られる
そうだ、月の課題みたいなので初めて見る字は
先生が私の右手を握りながら、一緒に書き
こんな風に、と指導されていた
あの時間は好きだったな、何も手を動かさなくても、先生のおかげで綺麗な字が書けるし
たまに指に力を入れて、先生を困らせるのも楽しかった
すぐ怒られるけど
何度もお腹が痛いと休もうとしたけど
それは叶わず
七年程通えたのは、私にしてはよくやった方だ
習い事に行くまでの時間は憂鬱だけど、帰りの時間は妙に達成感はあるのかもしれない
母親がご褒美にお菓子を買ってくれたのも同時に思い出した
良いこともあったな
久しぶりに触れて懐かしくて一人こっそり
感動していた
お菓子、買って帰ればよかったな