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五感の中で一番残る感覚

最初に浮かんだのは匂い。
何処かの家の夜ご飯の匂い。
カレー?焼き魚?美味しそうな味。
体温が高くなって制服が肌に張り付いてる感覚。
夏の暑い日の帰り道だ、学校から家まで片道1時間かけて歩いたあの道。
毎日通るあの橋、丁度太陽が沈みかけて光のすじが私の顔にダイレクトにあたるあの橋。
一瞬でその場所に立ってた、車の音、踏切の音、子どもたちの楽しそうな声。
記憶が蘇ってくる。

懐かしくて夕暮れ時この曲を聴きながら外を歩いてみた
ぬるい風が気持ちよくて
『遠くへ流れて風が頬を撫でる あなたの涙に何もかも全部』
そういえばあの橋、太陽の光が川に反射してた
キラキラして風が吹くとより一層綺麗に思えた立ち止まって眺めてた
ただ何で涙が出ていたのか覚えてない。

きっと何かがあって心を打たれてしまったんだろう
『見慣れた景色何度でもほら滲んでいくよあなたの涙きっと思い出せないまま』
同じ道、同じ景色、同じ時間、1つ違うことは自分自身だ。
当たり前だけどその時の感情は分からない。でも恥ずかしげも無くそんな所で大泣きしたのは覚えてる。通り過ぎる他人に振り返られるくらい。

あぶないあぶない、歩きながらニヤついてしまった。
今もまだ未熟だけどあの頃は誰よりも未熟な子だった。感情を押し殺し過ぎて自分が今どの感情なのか分からなくなって制御出来なくなるそんな子ども。そんな子がワクワクするものをみつけた。

夢を見た、この場所から離れたい。
そう、上京すること。
先生に反対された。現実を考えなさい。友人に芸人を目指して上京したけどボロボロになってるって怖い話もされた。気にしなくていいのに、気にしてしまう。諦めようと思った。
『遠くでただ待って迷ってばかりで僕らの鼓動が止まってしまう前に』
背中を押してくれた人がいる。自分の人生を他人に決められてもいいのか。
私が初めて見た夢、自分で終わらせたくなかった。

これは少しだけ私が強くなった日だ。毎日毎日泣きながら家に帰って自分に自信がない女の子が夢をもって希望に満ち溢れた瞬間を思い出す。
巡り巡って今私は新しい道を歩んでる。
『遠い日もがいたあなたの証は』
あの頃の私を乗り越えたから今の私は存在してる。当時は嫌いだったけど、今なら少しだけ愛着が湧いてくる。
何より新しい夢だってできた
『こんな僕らだけど届けに行きたいからきっと』
色んな事があったけど、私なんて全然ちっぽけな人間で、理解してくれるなんて無理だとは思う。だけど、一つ一つ自分が感じてきたものを他人に届けていきたい、伝えたい、なんて思う。

毎日の感情は自然と忘れていくけど風景は覚えてる。その風景から大切な物を思い出す事もある。
未来はどんな風景が待ってるのかどんな自分がいるのか正直分からないし想像もできないけど
『あなたの風景になりたい』
いま貴方と私が共有してるこの時間、いつかお互いの風景になれたらいいよね。

なんて、思いながらライブしてます。
「光芒」きいてみてください。

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