選挙
台風だからか、襖を風が押している、閉めきっていてもどうしても隙間があるのだろう、何かの気配がする。
「身代わりを探しているのだが」
小学生の遠足の時に偶然に出くわした、満開の桜が散る瞬間、
潔く鮮やかで、一瞬スローな”間”、グランド並の広さなのでスケールもあった。
クラスメイトはみんな一斉に「わあ、すごいなあ」と空を見上げたが、私だけは両肩に手をかけられたように、振り返るのが遅れた。
何かが違う、みんなと同じ気持ち、素直に「きれいだね」とはなれなかった、
桜舞う上空には自分が見えるし、こちらを見つめている、
地上の自分はしかめ面している。
好きだからに気に入らねえと分別する大人の社会にもうすぐなんだ。
人々の視線をかき集め、いろいろと想いをはせさせる。
感動して夢を描いている人々の背後にこっそり宿ろうとする何か。
荒れた社会に季節を間違えたのかな、
さらには30年もの時空を旅してきたの?
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