炎上
「暑いだろうに・・・」
着物を着ている女性に悪いが、どんなに涼しい振る舞いをされても、美しいと感じる前に窮屈でむさ苦しいイメージしかわかない。
先日、そんな想いを払拭する女性に出会った、夏の夜なのに白が光って見える着物に薄い桃色の花、「和」の字が脳裏に浮かんだ、少し会話してその場を後にしたのだが、同時に、また引き込まれたな、と自分に悔しかった。
本当に男って馬鹿だなあ、誘引されて想わされている、気持ちの中で一歩踏み込んで前のめりになってそのまま下りの坂道を惰性で歩んでいた。
気付いた頃には相当に下っていて、振り返って考えるだけでも嫌になる。
視線を取られ、その後の都合の良い未来ストーリーの数パターンを想い巡らせられて、その妄想の使える部分だけ選り好みして掬い取られる。
ああ、また想わされた、ほんのりと思い込まさせようとする何か、相手はどんどん綺麗になっていく。
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