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第20話 正直は一生の宝

私は正直者だと思う。正直すぎて失敗したことがたくさんある。

小学校4年の時、冬の体育は持久走しかないのか?ってくらい、毎回持久走だった。

私は持久走が大嫌いだった。走るなら短距離を一気に走って終わらせたいタイプだった。

友達が『一緒に走ろうね』って声かけてきた。その頃はなんでも友達と一緒だ。トイレに行くのも一緒。一人でトイレに行ったものなら、『なんで誘ってくれなかったの?』と言われたくらいだ。

私は、持久走はとにかく遅いから、そのことを伝えた。「私も遅いから大丈夫」友達は言う。「ゆっくり走ろう、ね」くらいのことも言ってくる。

実際に走ってみると、その子は1着、2着あたりだ。

なんだったんだ、あの『ゆっくり走ろう』は。


そして私はほぼ勉強しない人間だった。勉強の仕方がわからなかったのだ。

授業中に先生の言ってることをノートに書けば、だいだい試験は点数取れると言われても、授業中にノートに書くことはほとんどなかった。だから、たくさん書いてる人が不思議だった。この授業のどこにそんな書くことがあったのだろうか、謎だったし羨ましかった。

勉強の仕方がわからない人間は、参考書を買おうが、何しようが、わからないものはわからないのだ。

試験が近くなると「もう間に合わないから勉強しない〜!ね、勉強しないよね〜」って言い出す子が必ずいた。私は馬鹿だから、普通に信じた。そして試験勉強もしないまま学校へ行くと、「勉強した?私、してないの〜」って話をしてた。私にも聞いてきた。だから私は本当のことを答えた。「全然勉強してないんだよね」って。

試験結果が張り出されて、私は勉強してないだけあって、かなり下の方だ。勉強してないと言ってた人たちは、平均点よりもしっかり上にいる。

そして驚く発言をされる。

「勉強しなかったの?」って。

この人たち、勉強しないとか言って、しっかり勉強してたのね・・・と、その時気付いた、私は本物の馬鹿だったのだ。


まあ「勉強しようね」と言われても、勉強の仕方が解らないんだからどうしようもない。



初めてスナックで働いた時も、私は馬鹿正直だった。


その頃、その店のママは、お客さんにチップもらったらママに渡すように言ってた。私は言われた通りに渡してた。そうすると、ママは、その日休んでる子とか、元々出勤じゃなかった子の分もきっちり分けた。


バカくさい話だった。他の子はママに渡すことなく自分のものにしてた。私はなんでそこ、バカ正直に渡してしまったのだろう。


馬鹿正直で損してきたことがたくさんありすぎる。


だから私は『正直者が馬鹿を見る』ことがムカつく。


うちのマンションには月々お金を払ってる駐輪場がある。私は自転車を持ってないので関係ない話だ、しかし、気になる。来客なのか、マンションの敷地に勝手に停めてる自転車がある。お金を払ってる人が、あのめんどくさい二段式に駐輪してるのに、タダでその辺に駐輪してるのが気に入らない。少しの時間なら気にもならないが、毎回同じ自転車で夜もずっとだ。『駐輪禁止』の張り紙の前に堂々と停めてる時もある。


許せないのだ。


守ってる人がいるのに、守らない人がラクな生活をするというのが、許せないのだ。


私が毎月駐輪場にお金払ってて、毎回乗るたびに、二段式の上に停めることになってたら、今頃こんな怒りどころではない。


私は、自分以外の、守ってる人のために怒ってしまってるのだ。


けど、世の中多すぎる、並んでるのに横入りとか、いちいち怒ってたらキリがない。だからみんな諦めて言わなくなるんだと思う、そして、守らない人がどんどん図々しくなっていく。正解の方が詰められる時もある。


だから心の中で思うのだ。


毎日タンスの角に足の小指ぶつければいいのに。


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こるおか
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