第7話 それを私に言いますか?
私は2回結婚し、2回失敗している。
最初の結婚相手は好きではなかった。なぜそんな人と結婚したのかという話は、またの機会にしようと思う。
その人との生活で、許せないことはたくさんあったが、その中でも、印象に残ってる出来事がある。
その頃、旦那Nは、4日仕事で2日休み、という感じだった。4日いなくて4日連休の時もあった。温泉旅行とかハマってた私にはちょうど良かった。
Nが仕事でいない時、有珠山が噴火した。私はテレビの前に布団を敷き、夜中も中継されている噴火を見ていた。画面で赤い光が見えると150キロくらい離れてるのに地響きがする。何日も続いた。
ずっと見ていた私は、その場に行ってみたくなった。噴火したのが2000年の3月だから、私が行ったのは2ヶ月後くらいだろう。
登別にある、ペットも一緒に泊まれる旅館を予約したはずだ。
家をでて2時間ちょっと走った頃だろうか、噴煙が見えてきた。こんなに家の近くで噴火したんだと驚いた、そして、なんだか今更だが、野次馬みたいでというか、野次馬か。よくないなと、すぐにその場を離れた。
そして登別に向かい始めた、その時
「ストーブ消してきたよね?」
Nが言った。
Nは独身の時に一軒家を建ててた。見た目も間取りも私の好みではなかったが、22歳だった私にとって、一軒家での結婚生活は憧れでもあったから我慢した。
一軒家は寒い。だからストーブ付けっぱなしなことが多い。しかし、私はそんな生活をしたことがない。なので、すぐ近くのスーパーに行くのにもストーブを消した。
付けてても大丈夫だとNは言ったが、私はダメだった。
それくらい私はストーブにはうるさかった。ストーブだけではない、子供の頃から寝る前には家の戸締り(母はよく勝手口の鍵を閉め忘れてた)火の元点検、それを自分の目で確認しないと寝れなかった。神経質だったのだ。
その私に向かって、ストーブ消してきたよね?となぜ聞くのだ???
私は一瞬で怒った。
それって、あんたが付けたってことでしょ?と。
だいだい、6月だ、そもそもストーブをつけてなんか私はいなかったのだ。
「え?なに?つけてたの?どーゆーこと?付いてたってこと?」
私は聞いたよ、なにしてくれたんだ、この男は、と思いながら。
そしたら、Nは
「いや、違う、そうじゃなくて、災害現場にきたら、なんか心配になっちゃって」と言う。
いやいやいや、だから、違う、そうじゃない
そもそも、この時期にストーブ付けるわけもないし、出かける時に点検うるさい私に対して、ストーブ消してきたよね?とはなんだんだ。
その後も、あーでもない、こーでもない言ってる。
私の頭が噴火したわ
助手席にいた私は、ダッシュボードを蹴り、
「だったらいいから戻れ!」
今の私ならそんなことは言わないが、若かった。そしてなにより、そいつが嫌いだった。
この人とのことは、他にもたくさんあるが、かなり記憶から捨てたので、思い出した時に書いていこうと思う。