もしかしてあなたも人が怖いかも
以前勤めていた職場の女性の話。
社長がその場にいる時は親しみ深い口調で、「分らないことがあったら何でも聞いてね」と僕に言う。二人きりのときその女性から、「ちょっと。これってまだ処理が済んでないじゃん。何やってんのよ。早くやってよ」とこれまでやったことのない仕事を指示されたので、その旨伝えて教えを請うと、「はっ? その仕事、私はやったことがないからわかるわけないじゃん」ときた。
こういう女性はどこの職場にもいて、僕が我慢して仕事を覚えてしまえば、尋ねることも少なくなるからその女性とも普通の関係が築けると言う人もいるが、そんなの僕には信じられない。この手の輩は人を見直すなんてことはない。
職場には社長と彼女と僕の三人しかいない。僕の前任者が鬱になって退職しており、その前任者のことを社長とその女性は、「鬱なんて嘘だ。大変な仕事なんてやらせてもないのに」と、二人して笑っていた。
ちなみに社長は最初に提示した額の賃金を僕に払わなかった。
この社長と女性も、結局、人が怖かったのだと思う。
人と付きあうにあたって馬鹿にしたり笑いものにしたり、そんなやり方で仲間意識を深めたりする必要なんてない。人とは適切な距離感で付き合えばいい。その普通ができない。媚びるか威張るかしかない。人が怖いからそうなってしまう。僕も同じだからよくわかる。
僕だってもしこの社長のような経営者と出会い意気投合して、その会社に居場所を与えられ十年くらい勤めてしまったら、自分の抱える問題にも気付かず、件の女性と同じく社長と一緒になって人を小馬鹿にして安心を得ていたかもしれない。
被虐者は世の中に一割いると言う。人との接点の持ち方が攻撃的、否定的であったり、不必要に感じの良い人と出会うと、もしかしてこの人も被虐者かなと疑うのだが、考えすぎとも言い切れない。
マウントを取るって言葉を一時よく耳にしたけど、そういう人はやっぱりなにかしら心に歪んだものがある。普通ができない。本人も苦しいだろうに自分の本当の気持ちに気付けない、見ようとしない。その苦しみに気づけたらいいのになと思う。
ただしその苦しみに気づいて乗り越える作業はより以上の苦しみを伴うから人を馬鹿にするという楽な手段を捨てられないのも理解できる。でも、気付けたらいいのにね。まあ、そういう人からしたら大きなお世話だろうけどね。
ー 終わり ー
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