見出し画像

連載(54):人類の夜明|宇宙と人間「人間は神の幇助者」

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

人間は神の幇助者

「前述のことから、人間は宇宙意識から分れた意識の分身であることが理解されたでしょう。

実は人間だけでなく、命を燃やしているすべての生き物は、宇宙心の分身なのです。

すなわち、植物も鉱物も動物も宇宙心の分身であり、生命そのものといえるのです。“神は舞い落ちる葉一枚一枚をご存じである”といわれるのも、その舞い落ちる葉一枚一枚が神ご自身であるからです。

ただその中にあって人間だけは、宇宙を客観視できる唯一の存在者として他の生き物より高貴な存在といえるでしょう。

さきほども触れたように、もし人間のような客観的観察者がいなかったなら、慈愛の真心も、生命の躍動も、美の感動すら感じることなく、宇宙は灰色のまま漂うほかないでしょう。

それこそ、無、無、無、です。

人間という認識者があるからこそ、神意の把捉も、美の感動も、生の喜びも受容でき、そこに素晴らしい物語も展開されてくるのです。

そう考えると、ただ漠然と肉体の一生をまっとうする無目的な人生は、どうやら間違いであることに気づくでしょう。


ではここで人類の目的と使命について、もうすこし掘り下げ考えてみることにしましょう。

① 源初、宇宙心から分れた人間意識は、親と同じような純白で汚れなき慈愛の塊でした。勿論この段階では、大我の断片としての存在であり、まだ個性色はつけていません。したがってそのままでは、所期の目的を達成するには余りにも弱々し過ぎます。そこで宇宙心は、その意識を一旦物質界に落とし、困難な環境の中から力強い忍耐力と不屈の精神を築き上げ、元来もちあわせていた慈愛の中に兼ね備えさせようとしたわけです。
このように目標の第一は、心を強くする精神修行にあったのです。

② 二面性を持つ宇宙の一つが意識界であり、もう一つが物質界であると述べました。この二つの世界は車の両輪のようなものですから、うまく歩調が取れなくては安定な走行は望めません。ですから、物質界を調和させる神の幇助者が必要になってきたわけです。その幇助者が、私たち人間なのです。ですから人間は、自らの心を磨く目的と、この地上界に理想世界を建設するという、二つの使命を持つことになったのです。

③ 地球上で理想世界が完成された暁には、大宇宙の兄弟との交流も、また意識界との交流も盛んになっていくでしょう。人類はそれを契機に、広く宇宙に第二の地球を求めて飛び出していかねばなりません。この宇宙には、まだまだ未熟な魂が満ち溢れています。その魂たちには、どうしても地球のような修行の場が必要なのです。地球人の昔がそうであったように、大人になった地球人も、他の天体に肉を移植する使命を果さなくてはならないのです。

こうして宇宙心の分身である人間は、自身を鍛え上げると同時に、地上界に理想世界を実現させ、それを大宇宙に広げていくという三つの使命を持つことになったのです。」

「それでは、宇宙心の最終目標はどこにあるのでしょうか?。」

そのようにして進化する宇宙は、最終的に何を目指しているのだろうか?。そんな素朴な疑問がふと私の脳裏をかすめた。


「宇宙心がめざす意識の高揚に果てはありません。したがって、果てのないものを理解することは永久にできないでしょう。ただ人間の意識レベルで推量すれば、

『一点の光源から放たれた無数の光が、元の一点に帰る旅』、

といえるかも知れません。その旅での体験は、どれほど多くの実りをもたらしてくれることでしょう。」

(つづく)

いいなと思ったら応援しよう!