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連載(71):人類の夜明|人類は何処へ行く「器をつくる」

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

器をつくる

「“水は方円の器に従う”、の諺が示す通り水は実に素直です。

同様に、人間の幼子もまた素直です。

この世に生を受けた幼子の心は、みな素直で純白でういういしい。

その純白な心を、赤く、青く、黒く染めてしまうのは誰じゃろう。

誰でもない人間社会です。

当然といえば当然の話ですが、ここに不幸の原因があるのです。

もし幼子を豊かな土壌で育てられたら、決して曲がった人間などできないでしょう。

私が奉仕世界を声を大にして訴えるのは、この世に利害得失の感情をつくらせず、人の心を純白のままにしておきたいからです。

この世の争いは、すべからく欲得に関係しています。

人より優位な地位を、人より多くのお金を、人より有名に、この『人より優位になりたい』の欲得が、さまざまな争いを生み出しているのです。


これまでメシアといわれる偉大な指導者が、幾度となく地上に降り立ち衆生に生きる道を説いてきました。

またそれを受け継ぐ宗教家たちも、人の心さえ豊かになれば必然的に世の中は良くなるだろうと期待し、教化の対象を一人一人の心に置いてきました。

その効果がなかったとはいいませんが、いつも一握りの人たちに及ぶだけで、大衆に浸透するまでには至りませんでした。

なぜ、いつまでたっても人の心は向上しないのでしょうか?。


その理由は、

① 安定の法則にしたがい、生命活動の勢いをコントロールする必要があったこと。

② 地球が持つ使命上、未熟な魂ばかりを受け入れてきたこと。

この2つが、魂を育てる土壌に制御をかけていたのです。


①はこれからも慎重にコントロールされるでしょうが、②はここにきてやっと一段上位の使命を目指せるようになりました。

したがって、それ相応の熟した魂を受け入れることができるでしょう。


このように、地球は混沌としているように見えていても、それはそれで立派に役割を果していたのです。

したがってメシアの使命は、すべての人の心を整えるためではなく、人の世に愛と正義の火種を絶やさないための吹子役に徹していたということです。

いいかえれば、地球を暗黒の世にしてならぬ配慮から、目的を持った少数の人たちだけに真理が受け継がれるよう、荒れ地に種を撒いていかれたということです(真理を受け入れられる段階に至った魂のために)さてそのような段階を迎えた地球は、そろそろ優秀な魂を受け入れる器作りをしておかなければなりますまい。」


「その器とは、奉仕世界のことなのですね?。」


「その通りです。日本には“形から入る”という独特の文化があります。

茶道、華道、武道、すべて形を大切にした文化です。

勿論これに心が加われば鬼に金棒ですが、それを一度に望むのは難しい。

したがってまず形を整え、その形に徐々に魂(心)を吹き込むようにするのです。

そうすれば当初はぎこちなくても、次第にその形に沿った中身ができ上がってくるでしょう。

様々な矛盾を抱えた資本主義社会という器の中でも、みな順応して生きているではありませんか。

ましてや奉仕社会という矛盾のない器に入れてやれば、何の疑問も無くすんなりと順応して行くはずです。

人間はそれほど順応しやすい生き物なのです。」

(つづく)

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