特集:米国の原産国判断 (農水産品・同加工品)
事例1:中国産のニンニクを日本で漬物とし、米国に輸出した場合の原産国
N335545事案 (参照番号等:2024年4月11日、CLA-2-20:OT:RR:NC:N5:228)
生産工程:本事例の対象であるニンニクの漬物は、様々なアジアスタイルの食事を補完するサイドディッシュとして説明されている。ニンニクの漬物は454グラムの乾燥状態で輸入され、1カートン20袋入りで、主に外食産業向けに販売される。ニンニクの漬物は、ニンニク67%、果糖ブドウ糖液糖8%、蛋白加水分解物8%、醤油6%、水6%、塩2%、L-グルタミン酸ナトリウム2%、醸造酢1%、微量のカラメル色素、乳酸、ソルビン酸カリウム、クエン酸、赤唐辛子を含むと説明されている。米国税関による分析報告 (NY20231500) によると、サンプルにはそのままの状態で0.46±0.02% の総酸と0.49±0.02% の不揮発性酸が含まれていた。不揮発性酸は存在する唯一の酸の種類であり、酢酸や酢は検出されなかった。
この製品は、中国で栽培され、収穫されたニンニクを調製したものとされている。その他の原材料、製造、加工はすべて日本で行われるという。製造フローチャートによると、原料となるニンニクが洗浄、脱塩、煮沸/冷却、選別、漬け込み、混合、固液分離、計量、袋詰め、検査、殺菌され、米国への輸出用に包装される。漬け込み/混合とは、酢、アルコール、醤油、その他の成分を含む塩水にニンニクを入れる工程を指す。熟成とは、ニンニクが軟らかくなるまで、塩水にニンニクを4日間以上完全に浸す工程を指す。固液分離とは、塩水ごとニンニクを網の上に載せ、塩水を切ることである。その結果、ニンニクは網の中に残り、塩水は瓶に集められる。殺菌は、食品を90℃の高温加圧殺菌機に25~30分間入れる工程と説明されている。
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