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「洗練されたクラシック 竜王町からみつめる酒造り」松瀬酒造(滋賀県蒲生郡竜王町)訪問記

2024年3月の訪問
松瀬酒造(まつせしゅぞう) / 滋賀県蒲生郡竜王町(しがけん がもうぐん りゅうおうちょう)

松瀬酒造とは

代表銘柄「松の司(まつのつかさ)」を冠する松瀬酒造は、琵琶湖の南東、滋賀県蒲生郡竜王町に位置し、2024年で創業164年目(1860年創業)の老舗蔵元です。

その経営理念は、竜王町の大地から生まれた歴史や風土、自然の恵みに感謝し、一筋の純粋な真心で酒造に研鑽を積むことを通して、竜王町に息づく文化の向上に貢献することです。
「美味しい以上に大切なこと」を求めて新しい挑戦を続けています。

松瀬酒造から見える田園風景

土地の深堀

松の司を語る上で欠かせないのが「竜王山田錦」。
山田錦と言えば兵庫県が名産地ですが、中々安定して入手することができず、「買えないのであれば栽培しよう」と、町の農家さんを交渉し始めたといいます。

蔵が位置する竜王町は44.52 km²ほどの広さで、これは鎌倉市や那覇市ほど。町の中は約12か所で山田錦が栽培され、土壌は「粘土」「粘土+砂」「赤土+砂礫」「山土+砂礫」「粘土+砂利」と5種類にも及びます。

この土壌こそが、松の司の最大の魅力。
代表銘柄「松の司 竜王山田錦 土壌別仕込」は一度飲んでみていただきたい逸品です。

中央青いラベルが土壌別仕込み。左側が粘土層の駕輿丁(かよちょう)エリア。
右側が砂地の山中エリア。前に置いてあるのは土壌の岩。

お食事と共に

松の司のもう一つの魅力は何といっても、お食事との合わせやすさ。
竜王町山之上エリアは近江牛の発祥地。
近江牛の誕生秘話が面白かったので少しだけご紹介・・・(※諸説あり)

明治時代当時は牛を徒歩で20日間かけて東京まで運んだ
その後、海運が発達し・・・
→神戸の港で判子を押し船で輸送 近江牛だが神戸牛として市場に出される 
→松阪の港で判子を押し船で輸送 近江牛だが松阪牛として市場に出される
→JR開通し近江八幡から東京へ鉄道で搬送可能に。ようやく近江牛として全国へ

近江牛発祥の地 竜王町山之上エリア
「赤土+砂礫」土壌で、夕暮れ時で暗くて分かりづらいですが、ほんのり赤い土です。

また、蔵から北に20分車をはしらせればそこは琵琶湖。
近江牛から淡水魚まで、あらゆるお食事に寄り添うのが松の司の味わいの柔軟性なのです。

また、日本酒はよく冷やして保管し、飲むときも冷たいままのことが多いですが、松の司は通常の冷蔵温度よりちょっと高い8℃での保管が蔵元のおすすめ。
生酛純米や純米酒などは常温くらいが味わいのパフォーマンスが一番発揮されるということもあり、それだけ幅広い温度帯のお食事と合わせることができるのもまた魅力の一つです。

実際にお料理と合わせてみて、さらに美味しい松の司!
琵琶湖産の真近(まぢか)という小魚と白みそを使った吸い物のお料理

環境に寄り添ったお酒造り

松の司には約20ほどのアイテムがありますが、中でも今後注目していきたいのが「AZOLLA(アゾラ)」です。
「AZOLLA」とは水田や湖に浮かぶウキクサの学名。
このウキクサが水面を覆うことで雑草への光を遮断し、農薬に頼らずに雑草の成長を抑えることができます。

2003年から一部の契約圃場にて無農薬・無化学肥料栽培を開始。
それによって、昔のようにこのウキクサが田圃で見られるようになってきました。このことに由来して、蔵はAZOLLAを無農薬山田錦の象徴として商品名に名づけました。

洗練されたクラシックさ

松瀬酒造さんの醸すお酒はまさに「無垢で上質」。
一見シンプルなのですが、その一滴の中にはとてつもない計算とこだわり、手間暇が詰まっています。
いうなれば、とっても上質な白Tシャツという感じです。
蔵も古民家旅館のようで歴史を感じつつ、暖かさと洗練されたモダンな感じもありとても素敵でした。

蔵の様子

「竜王町から発信できるお酒造りは何なのか」
「竜王町に生まれ育った自分が表現できることは何なのか」
地元竜王町のテロワールを見つめ続け実直に酒造りと向き合う、松瀬専務の言葉が印象に残りました。
松瀬酒造の問いはこれからも続きます。

松瀬酒造 松瀬専務

IMADEYA ONLINE STOREでも松瀬酒造の日本酒をお楽しみいただけます。
ぜひ一度お試しいただき、この素晴らしい一滴をご体感ください!

松瀬酒造さんのお酒一覧


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