短歌もどきまとめ その1
私なら全部を無駄にできるよ価値も善意も蜜柑の果肉も
こもる熱、布団捲れば羽ばたき逃げる剥き出しの素足残して
私には私の孤独ぬるくなるカップ麺の汁テレビの音
足先が冷える顔は熱い迷子は世界の温度がわからない
私のためじゃなく咲いた花を噛み潰して食べたい君は綺麗
薬を飲み込む一瞬きり感じる救いは流れ星のしっぽ
いつか人参育てたいペットボトルの死体いくつ踏む部屋でも
しょっぱいならうんと砂糖足そう二十五を過ぎた体、舌の上
梅はもう果物でしょう、この匂い。バナナもおやつに入れてあげる
揺れてるクラクラ煮こごりの酸素を吸って溺れて寝不足の朝
どこかへ行きたい夜とどこへも行けない朝で編み上げる毎日
火傷した猫舌に滲みる君のくれたホットココア缶と涙
明け方はのっぺりしてるね境なく、空も街も色がねむたい
幸せや正解知らなくてもほんとは言いたい君に、死なないで
果汁まみれ紫の指でぶどう食い、種噛んで思う生きてる
よろしければサポートをお願いします。心身ともに少しでも健やかでいられるような何かに使いたいと思います。