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今までの考え、あり方からの意識改革を含めた部活動地域移行/一般社団法人柏スポーツ文化推進協会(KSCA)|イマチャレコンベンション2024SPRINGイベントレポ#2

※本記事は3月28日に開催されたイマチャレコンベンション2024SPRINGのSESSION1「地域で生まれる新たな文化・スポーツ活動」からご紹介します。

登壇者
藤﨑 紀仁 氏
一般社団法人柏スポーツ文化推進協会(KSCA)副代表

 一般社団法人柏スポーツ文化推進協会(以下KSCA)の藤﨑紀仁氏からは下記の3つのポイント(成果・課題)について取り組み紹介をしていただきました。

  1. 教員の時間外在校等時間の削減 (成果)

  2. これまでにない新たな経験や地域コミュニティの拡大(成果)

  3. 今までの考え、あり方からの意識改革(課題)


■KSCAの柏市における役割と部活動地域移行ロードマップ作成

柏市は約43万人の人口がおり、2025年以降から学校数が減少傾向になるといわれている地域。特に少子化の問題が顕在化するとも言われているため、教員の働き方改革や少子化の問題のみならず、長期的な視点で機能的かつ持続可能な部活動のあり方を追求していることを挙げています。

柏市では教育委員会主体で協議会が設置され部活動ガイドラインの策定を行っていました。当初は部活動指導員を配置することで部活動環境の維持を目指しましたが、財源や指導員の数など持続可能ではないという考えから、部活動の地域移行について具体的な協議がスタートしました。KSCAは令和5年度より地域クラブの運営に携わることになりました。

KSCAが総合窓口となり、教育委員会やガイドライン、学校側との折衝を一括で請け負い、また生徒や保護者、指導者とのつながりを持つ機能も備えています。さらに各種企業が集まった合議体という特性を活かし、地域の企業やスポーツ団体との連携を図りながら部活動改革を進めています。

また、部活動改革における課題としてよく取り上げられる財源については、基本的に受益者負担と補助金を活用しながら財源を確保したこともお話しくださいました。

■柏市における部活動改革の実態と効果

現在の進捗については、21校(3年生・文化部・陸上部を除く)の休日部活動の地域移行が完了し、陸上部や吹奏楽部も令和6年には進められる見通しが立っていると藤﨑氏。

受益者負担による子どもの部活動からの離脱について、事前調査の中では70%の子どもたちが参加意志があると回答する中で、実際に加入している子どもの割合は68%であることから、受益者負担による子どもの部活動からの離脱はあまり起きていないことを主張。

学校の教員における在校等時間も59時間から46時間に削減されているデータを紹介されたり、クラブ化されることで子どもたちがやりたいスポーツに取り組み、地域一体で子どもたちを支える仕組みができたことなど、柏市における部活動改革の成果についても紹介されました。

ポイント①
教員の時間外在校等時間の削減(成果)

千葉県教育庁による調査結果では、千葉県内の中学校では、教員の時間外在校等時間が60%以上の教員で月45時間を超えており、約59時間の残業時間がありました。しかし、9月以降は柏市の教員の時間外在校等時間が約46時間まで削減されたことが紹介されました。これにより、教職員の超過勤務が是正され、授業準備に充てられる時間が増えたという声が挙がっていることが報告されました。

ポイント②
これまでにない新たな経験や地域コミュニティの拡大(成果)

専門性の高い指導員が子どもたちに指導することで子どもたちの活動機会が充実した、と藤﨑氏。これまでの部活動では生徒が希望する部活(スポーツ)がない場合がありましたが、クラブ化によって希望するスポーツや部活動がない場合でも他校のクラブに参加できるようになり、地域全体で子どもたちを支える仕組みが整っています。

ポイント③
今までの考え、あり方からの意識改革(課題)

また今後の課題として学校だけでなく、地域全体で社会問題として解消する意識改革が必要であることが指摘されました。これまでの取り組みを継続し、地域と学校が一体となることで、より良い教育環境が築かれるでしょう。

■地域のインフラ活動を目指し世代を超えた交流活動を創出することを目指す

KSCAの柏市における部活動の地域移行に関する課題意識として、単なる学校の問題ではなく自治体・学校・民間などが地域社会全体で取り組む課題であることを強調。

部活動から地域クラブへ移行することで誰もが気軽に参加できて、さまざまなスポーツ・文化環境のなかで自由に選択できる環境を目指していることをお話しくださいました。

こうした環境を通して、世代を超えた交流活動を創出し、新たな地域活性における経済循環を生み出せる地域の活動インフラとして持続可能な形で発展させていけることを目指していることも。

KSCAが中心となりながら地域にとっての課題を解決するためのきっかけとして、部活動の地域移行があることを改めて認識することができたセッションでした。

■アーカイブ動画はこちら

■参考記事
部活動の地域クラブ活動移行事例紹介~大規模自治体による部活動改革(千葉県柏市)/スポーツ庁Web広報マガジンDEPORTARE

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