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地域企業でもできる!部活動改革|茨城町教育委員会&トヨタモビリティパーツ茨城支社|イマチャレコンベンション2024SPRINGイベントレポ #5

※本記事は2024年3月28日に開催されたイベントのレポートです。登壇者の所属・役職はイベント当時のものです。

本セッションでは、茨城県茨城町にある地域企業との協働における部活動地域移行の取り組みについて紹介がありました。部活動の地域移行において、教育やスポーツに関連している企業が連携している場合が多いなか、茨城町の取り組みでは一般の企業が関わっているということがポイントです。

ここでは、茨城町教育委員会とトヨタモビリティパーツ株式会社茨城支社の協働について紹介します。


■ 限られた地域資源を活用しながら部活動改革を進める|茨城町教育委員会

茨城町教育委員会の林真敏氏からは「人・物・金がない状況の中で何ができるかを模索したときに、トヨタモビリティパーツのみなさんとまちの子どもたちとともに何かをしたいという想いが共通し、信頼関係が生まれたことが大きなターニングポイントでした。」とこれまでの部活動地域移行の取り組みを振り返りました。

茨城町は中学校が2校あり、農業が基盤産業となっている小さな町。部活動の地域移行については、茨城町FCジュニアユースクラブと連携しながらサッカーの地域移行が実施されています。

茨城町教育委員会とトヨタモビリティパーツの連携は2021年から。中学1年生を対象とした自動車業界を通して働くことの意義を考える(キャリア教育)授業プログラムを共同開発する取り組みからスタートしました。

2022年には授業プログラムを実施した上で、まちの子どもたちとともに何かをしたいという思いでトヨタモビリティパーツとともにテニス教室を設立したのが、今回の取り組みにおける背景です。「学校教育では今後地元企業とともに子どもを育てるという観点が大切なのではないかと考えています。」と教育委員会として考えている地域企業との連携における姿勢について林氏は述べます。

小さな町ほど地域資源に限りがあり、他の先進事例が参考にならないケースも多いですが、自分たちの地域の限られた資源の中でできることを模索することも部活動の地域移行を進める上で大切な視点となるのではないでしょうか。

■ 既存事業の強化と新領域へのトライの2軸を通してチャレンジ人材の育成を図る|トヨタモビリティパーツ

2020年4月1日に全国各地に所在していたトヨタ車の部品を扱う会社33支社を統合して新設した会社がトヨタモビリティパーツです。茨城支社は従業員300名弱の企業体制で運営しており、メインの事業としては下記の4つの事業があります。

  1. ロジスティックス

  2. マーケティング

  3. 移動・生活サービス

  4. クルマファンづくり活動

国内で7800万台保有されている自動車の部品を全国所在支社から必要なものを必要なときに供給しているロジスティックサービス事業と、トヨタの車両販売店・街の自動車整備工場に部品を卸売販売しているマーケティング事業を基幹事業としていると久松氏。

こうした事業を通して「従業員の幸せ・成長」と「お客様の幸せ・企業の成長」の両立を目指し既存事業の強化と新領域へのトライを通じて改善・チャレンジ人材の育成を図る取り組みをしていることも紹介されました。

特に部活動の地域移行の取り組みに関しては、新領域のトライを通じたチャレンジ人材の育成を図る取り組みとして位置付けているとも紹介。トヨタモビリティパーツの重点方針の3つのうちの1つに「地域と連携して豊かな社会づくりに貢献する」ということも社内で大切にしている行動理念であることを紹介した上で、地域課題に寄り添う施策として小中学生のバスケクリニックや中学校・高校の出張授業などにも取り組んでいると報告。

今回のイマチャレコンベンション2024SPRINGにて紹介された事例については、出張授業がきっかけになっています。

■ トヨタモビリティパーツ茨城支社における部活動地域移行への取り組み

トヨタモビリティパーツ茨城支社では、部活動の地域移行について教育委員会へ実態を調査し、先進的取り組みをしている企業や有識者に対するヒアリングを実施した上で、中学校と社内への調査を経てテニス教室の取り組みを実施しています。

特にトヨタモビリティパーツ茨城支社では、テニス経験者が社内に多くおり自社のリソースを用いながら地域移行に対する協働をスタートさせたと疋田氏。

テニス教室における取り組みでは、中学1年~2年の男女31名に対して、コーチ(社員4名)と事務局(社員4名)が担当。実施したトライアル開催のテニス教室では下記の3つのクラスに分けて取り組んだことが報告されました。

  • 入門(ボールに慣れる・トス打ちなど)

  • 初級(バックハンド練習・ゲームなど)

  • 中級(ボレー・スマッシュ・ゲームなど)

1回目のトライアル開催から、毎回振り返りと改善を重ね、合計4回の開催で延べ157名の中学生が参加しました。

基礎技術や練習方法などワンポイントアドバイスでも高い満足度だっとことや、拠点を一か所で開催したり、2校同時開催することで事務局の移動負担やコーチの体力負担が改善されていったことがテニス教室を継続開催したことで得られた気づきだったと疋田氏。

部活動の地域移行の完全な受け皿になることはハードルは高いものの、月1回程度であれば運営できることやチームワーク・コミュニケーション力向上など、社員教育という側面や将来のトヨタファンづくり活動にもつながるのでは?といった示唆が得られたといいます。

■トヨタモビリティパーツ茨城支社における部活動地域移行への取り組みにおける課題

トヨタモビリティパーツ茨城支社における取り組みの課題として持続的に活動するためには、事務局工数の簡素化やトラブルがあった際の責任の所在を明確化すること、コーチの安定的な人員確保や運営にかかる実費用を捻出する必要があることなども挙げられました。

『みんなで社会を支え合い活動する。そこにみんなの成長がある』という地域貢献の在り方を模索しながら、国・行政・民間企業・個人が社会をよりよくする活動に参加する意義を説きました。

地域が一体となって部活動地域移行の課題解決に取り組む大切さ

イマチャレ製作委員会の櫻井から「学校や自治体の問題だけではないと思っています。企業・保護者・地域のみなさんで役割分担をしながら進めていくことが大切だと考えています。もちろん全ての地域移行の課題がクリアすることはないと思っていますが、企業の方も参考にすることで地域移行の課題解決の一助になるのではないでしょうか。」

とコメントをして本セッションにおける事例紹介を締めくくりました。

スモールスタートで、やらない・できない理由から、やりたい・できることから見つけて取り組みを始めることが、トヨタモビリティパーツ茨城支社と茨城町教育委員会の協働において部活動の地域移行が一歩進んだターニングポイントだったのではないでしょうか。

◇テニス教室の様子◇

2024年2月に実施された第4回目のテニス教室をイマチャレ・櫻井が取材。
学校の垣根を超えて仲良く活動する姿や、久松支社長も含めたトヨタモビリティパーツ社の指導者の生き生きとした指導に、今後の地域クラブ活動への希望を感じた。

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