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#75【介護雑記】私が知らなかった「葬儀の世界」~戒名のお話~

母が亡くなった後、葬儀の準備をする上で、最も重要なのが「戒名」を頂くことであった。

「戒名」というのは、人が仏門に入り、仏様の弟子になった証として与えられる仏教独自の”お名前”。 したがって、キリスト教や神道など仏教以外の宗教を信仰している方や、無宗教の方には必要ない。

だがしかし、既に菩提寺があって、そのお墓に納骨する場合、「戒名なし」だと、納骨を断られる場合がある。

そして、この「戒名料」は、「家族葬」であっても「一般葬」であっても、料金は同じ。「戒名料」は、後記の「位号」に連動している。

葬儀告別式の見積もりには、この「戒名料」や「お布施」は、含まれていない場合が多いので要注意。

「戒名」についての諸々の事例は、「小さなお葬式」さんの記事を参照して欲しい。⬇️

◼️「戒名」には、各宗派でレイアウトの違いはあるものの、「位号」と呼ばれる「位」があるのは共通。

「位号」というのは、「お位牌」に彫られている、「○○○信士」とか「△△△居士」という部分。

これは、下世話な例えをすれば、お寿司屋さんの「松・竹・梅・上・特上」みたいな感じ。 (実際は、「竹」ランクから始まる。)従って、「位号」が上に行くほど、お値段も高くなる。

・ランク「竹」・・・「信士(しんし)信女(しんにょ)」
一般的な位号で、敬称の「様」という意味。
男性は「信士」、女性は「信女」が使われる。
※ご予算は、10万~50万円。

・ランク「松」・・・「居士(こじ)大姉(だいし)」
貴族や武士が使用していた位号。現在では、社会貢献度や仏教信が強い方に対して用いられる。男性は「居士」、女性は「大姉」が使われる。
※ご予算は、50万~80万円。

・ランク「上」・・・「院信士(いんしんし)院信女(いんしんにょ)」
社会的な地位の高い方や、社会に大きく貢献した方が使用する位号。男性は「院信士」、女性は「院信女」が使われる。
※ご予算は、80万円~100万円

・ランク「特上」・・・「院居士(いんこじ)院大姉(いんだいし)」
最高ランクの位号。寺院への貢献度が高い方や、社会的地位の高い方、社会貢献度が高い方に対して使用される。男性は「院居士」女性は「院大姉」。
※ご予算は、100万円以上。

小さなお葬式/戒名はいらない?つけないリスクと費用を抑える方法より抜粋

「読経料」よりも、この「戒名料」こそが、お寺さんのギャランティー。お寿司屋さんで言えば、「大将の腕の見せ処」なわけですw

お寺の”経営”を考えれば、お寿司屋さんと同じ様に「上」とか「特上」が、バンバン売れる方が良いわけで。「葬家」が「経済的に豊かだな」、と判断すれば、意図的に「高い位号」を発動されるお寺さんも、結構、あるとかないとか・・・。(気をつけたい所。)

逆に、この「位号」、親族が「如何様にでもお金を積むから、"上"か"特上"が欲しい!!」と言っても、その通りにはならない。(場合もある。)

前途の引用にもあるように、【 寺院への貢献度が高い方や、社会的地位の高い方、社会貢献度が高い方】つまり、「位号」というものは、生前に積み上げた”徳”を鑑みて、適切に与えられるもの。というのが、「大前提なのですよ。」(当家、菩提寺ご住職/談)

なるほど・・・。ご住職のお話は最もではあるが・・・、

”そうは言っても、仏の世界へ行っても、「位号」という”カースト制度”に縛られるというのは、何か、おかしくねっ?!仏の下で、誰でも平等に、全員、「信士・信女」で良くね?!”

生前に「徳」を積んだとか、積まないとか・・・

「徳」を積みたくとも、様々な事情で積めない人だっているし、それでも、足掻きながら、迷いながら、それぞれが懸命に走り抜けてきた「命」であり「人生」なわけで。。。

それだけで良いじゃない。それだけで立派に価値があるじゃない。。。

亡くなった後まで、それを「位号」という”評価システム”にかけられるのは、私は、不条理だと思う・・・。

「そうですね。私も、実は、そう思っています。僧侶として、大きい声では言えないけどねぇw なのでウチは、よほどでない限り、”信士・信女”が多いですよ。みんな、同じ”仏様”。皆さんに等しく、全身全霊を込めて、私も日々のお勤めとご供養をさせて頂いてます。だから、大丈夫なんですよ、”信士・信女”で、何の問題もないんですよ。」

菩提寺のご住職談

その界隈では、”レジェンド”と畏怖され、名門の大変に厳しい僧侶で有名なご住職だったが、「位号」の件で、私的には”好感度爆上がり”だったw

「”戒名”を考える際に、参考にさせて欲しい。」と、ご住職は、生前の母の事をよく聞いてくれた。グループホームへ入所する時に「母の取説」をまとめていたのが、ここでも役に立った。

私は、「もし、可能であるならば、”華”という文字を1文字、入れて頂きたいのですが・・・。」と、ご住職にお願いしてみた。

いつも人目と世間体を気にして、おとなしく、しとやかな人だったけれど、本当は、とても情熱的で、自分の思うさま、「華々しい人生」を送りたいと願っていた人だったから・・・。

―― せめて、あの世では、全ての苦悩から解放されて、自由に、華やかに、”生きていて欲しい” ――

ご住職は、「そうですか。なるほど。考えておきましょう。」と、苦笑いだったが、葬儀当日、「白木の位牌」に書かれた母の戒名には「華」のひと文字が、しっかりと入っていた。

”あ・・・!! ご住職・・・、ありがとうございます・・・あの・・・。”

そう言おうとする私に、ご住職は、ニヤリと微笑み、口元に指を立て、”シッ。(内緒だよw)”と、してみせた。

認知症の母の介護に苦しみ奮闘して来た私への、ご住職の粋な計らいだったようだ。これは本当に、嬉しかった・・・。

”これで、母も私も、救われる・・・。”

そんな思いがした。

しかし、その後、葬儀会社の若いスタッフ達が、ちょっとした手違いで、ご住職の逆鱗に触れてしまい、「はい、今日、担当する子達、全員、私の控え室へ来なさい。💢」と、スタッフ全員、もれなく”説教部屋行き”となったw

葬儀会社にとっては、とっても厳しいご住職。でも、それは、私達”遺族ファースト”というご住職の、深い優しさ故と知る。


因みに、母に頂いた「位号」は、「信女」。

「戒名料」+「読経料」+「通夜供養」+「初七日供養」+「お布施」その他、込み込みで、「40万円」だった。

気になる葬儀の総費用については、次回、【 私が知らなかった「葬儀の世界」~お会計編~ 】で、総括してみようと思う。

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