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なぜ本みりんが好きになったの?①

私が「本みりんを集めています」と言うと、多くの人に、「なぜ、本みりんなの? 味噌や醤油はわかるけど、全然聞いたことがない!理由が気になる!」と言われます。
私自身、たくさんの理由が重なって今に至りました。自分の身の上話ばかりですが、お話できたら、と思います。


初めは義母への対抗心と、夫婦間での食の好みの不一致だった

結婚というのは、やはり人の食生活を大きく変えるきっかけのひとつだと思います。私もそうでした。

元々、独身時代は食べ歩きばかりしていて、特にインド料理が大好きだった私。もともとは、辛党で、酸っぱいものが好き。
しかし、結婚した主人は、予想をはるかに超える甘党でした。ケーキ5つをペロリと平らげるのは知っています。しかし、食事まで甘くないと箸をつけなくなるなんて、予想していなかったのです。

私が住むのは、富山県。日本の東西の食文化の境界線があり、かつ、山側と海側ではまた食文化が違います。私は、東部の山側の食文化で、砂糖を一切使用しない祖母の料理で育ちました。しかし、主人は、西側の海側。元花街の漁師町で濃い味甘い味がとくにもてはやされる土地柄です。その、富山県内を斜めにクロスするような形で結婚してしまった私たちは、同じ県内で育ったにもかかわらず、食文化の違いに苦しめられてしまった訳です。

それを救ったのが、おいしい本みりんでした。

私はグラニュー糖の甘さがもともと嫌いでしたし、三温糖は上白糖にカラメル入れただけだと思っていますし、黒砂糖はちょっと雑味が多すぎる。とはいえ甜菜糖だと軽すぎる気もする。

その悩みがピークに達したのが、
義母直伝のそうめんつゆづくりをしたときです。

主人にとって、「母の味」=そうめんつゆ。だから、結婚したときに、「夏にそうめんつゆだけは手作りしてね」と言われました。もともと料理も好きでしたし、問題ないと思って引き受けました。でも、もらった義母からのレシピはこうでした。

砂糖 1カップ
みりん 1/2カップ
しょうゆ 1/2カップ
干し椎茸と昆布の出汁  5カップ
塩  適量

甘い!!! 甘すぎる!!!!
みたらし団子のみたらし餡やないか!!!

案の定、食事で甘党でない私は食べられません。そこで、ちょっと調味料にこだわって旨味を増やして、砂糖を減らすことにしました。そこで調べたのが、醤油と本みりんのことでした。醤油のことはすぐわかりました。職人醤油さんの素敵な解説がたくさんあったし、地元の直売所でもたくさんおいしいのを試すことができました。でもみりんは?? 本当に大変だったんです。
義母への対抗心を以てして、「おかんのめんつゆよりうまい」と、砂糖の量を減らして言わせようと頑張りました。それがすべての始まりです。


大事なふるさとの里山が獣害でめちゃくちゃに…

先ほどちらりと言いましたが、私は富山県の山側の出身で、小さいころは猿やニホンカモシカを間近にみれるようなところに住んでいました。祖父母の家は、大正4年建築。まさに、日本のふるさとそのものの景色です。

しかし、2005年頃から地球温暖化の影響で、イノシシやシカの居住地域が北上し、本来生息していなかったイノシシやシカの被害がみられるようになりました。私がおばあちゃんと一緒に夕焼け空のもと、夕飯の野菜をとっていた畑は電気柵のバリケードだらけになっています。


そんな状況に抵抗するため、私のいとこが猟師になりました。もともと気が優しくて、動物を殺すなんて、今でも嫌で仕方ないと言っています。
本来ならば、私がそこに身をおけばいいのですが、自分の奔放な幸せを選んでしまっていて、常に協力はできません。でも、せめてと思って始めたのが、「いとこが獲ったイノシシやシカをおいしく食べる」ということでした。
その時期がちょうど、先述の“めんつゆにこだわった時期”に重なり、ある日、イノシシ肉をある本みりんで炊いたところ、とてつもなくおいしくなり、「本みりんってむちゃくちゃ面白い!!」と思ったと同時に、「よし!
!いとこの力になれるように、もっともっとジビエ肉に合うみりんを探してみよう!」と決意し、徹底的に探すようになりました。


元々お酒は量が飲めない。でも、本みりんなら…

本みりんは、アルコールが14%前後含まれる「お酒」です。ですから、飲めば酔います。
ある日、味見で飲んだ本みりんがおいしくておいしくて。感動しました。そこで私はひらめいたんです。

“あ! 私、お酒弱いけど、味が大好きだし、本みりんならちょっと飲んで、あとはお料理に使えばいいじゃん!”

ワインでもビールでも日本酒でも焼酎でも、味はなんでも好きなのですが、当方、むちゃくちゃお酒に弱いです。親も350mlの缶ビールを2人で半分こして二人ともフラフラになるレベルです。私もワイン100ccで失神リバースしたことがありますし、居酒屋バイトは焼酎のお湯割りを20杯つくると立ち上がる湯気で酔ってしまうので辞めました。それに、家族が脂肪肝からの肝臓ガンになりやすい家系です。だから、お酒は自ら遠ざけて興味を持たないようにあえてしてきたエリアでした。
しかし、みりんは蔵元の数も少なく、おいしいし、ちゃんと酔えるし、そんなに悪酔いをすることはない。だから、自分は自分の身体のためにも、お酒は本みりんメインで飲むことにしよう、と思ったんです。


出産からの離乳食づくり。ハチミツのボツリヌス菌が怖かった。


結婚してすぐに子どもに恵まれ、離乳食が始まると、私もどんどん料理にこだわるようになりました。

子どもが1歳ころには、ホットケーキを食べさせようとしたとき。子どもが「しろくまちゃんのホットケーキ」やかがみのえほん「きょうのおやつは」の絵本を見て、シロップをかけたがりました。でも、母子手帳にもハチミツはボツリヌス菌がいる可能性があるからダメ、と書いてあるから、家の中に置いているわけがありません。メープルシロップだってものによってリスクがないわけじゃない。それに何より、買ってもほぼ使いません。
でも、子どもにシロップをかける体験をさせて、「わあー!えほんといっちょ!」と言わせたい!!

その時、「みりんシロップ」というものを知りました。本みりんが半量になるまで火にかけて煮詰めるだけのもの。アルコールは微量であれば醤油などにも含まれるし、ボツリヌス菌よりマシ!とみりんをよーく煮詰めて出すことにしました。

出すと、
「わあー!おかしゃん、しゅごい!えほんといっちょ!」
と子どもは感動して、パクパク食べていました。

甘さも軽いし、いろんな使い方ができるし、ハチミツやメープルシロップってなんだかんだで使える幅が少ない気がするから、みりんで代用するのっていいのかも。そんな風に思って、もっとみりんを使いこなそうと決めたきっかけになりました。


そして、みりんを買いあさり始める

これらのきっかけがあって、ネットでいろいろ買いあさりはじめました。でも、これは、インスタアカウントを始める前の話。

②では、全部のみりんを制覇すると決心して、さらに今に至るまでを紹介させていただきます。

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