大竹伸朗展review. [3/3] catalogue, goods, other souvenirs.
さて、前回で大竹伸朗展の鑑賞を終えた。残るはショップを鑑賞して終わりである。いつもならば。しかし、今回の展覧会はそうではなかった。いい意味で、期待が裏切られ続ける。
まだ終わりじゃなかった。
。。。ここ(東京国立近代美術館/MoMAT)の常設展(正確にはコレクション展)が、大竹伸朗展と地続きで「大竹伸朗のライバル展」(勝手に命名)を開催しているのである。同じフロア(2F)でかなり自然な動線なので、みんなそこそこ流れていく。
確かに、いつも1Fの特別展に合わせ2Fから上の常設展側も相乗効果の高いテーマに調整しているのは、知っている。ほんと、素晴らしい。一緒に見ないのはもったいない。しかし、私の感覚では、以下の理由でなかなか「それじゃ、常設展も」と足を運ぶまでに至らないのである。
特別展だけで、お腹いっぱい。お土産いっぱい。足も痛い。
動線として、1Fから上層階へ自然な流れにならない。
この機を逃しても、そっちの作品はいずれまた会える/また顔を出すだろう、と言い訳しやすい。
毎度頑張って蔵出しされていることを思うと、いつも後ろめたい気持ちで常設展をパスして帰路につき、良心の呵責に苦しめられる。
ところが!
今回は特別展が2階の半分にまでせり出しているせいで、2階の残りの常設展エリアに地続きで比較的自然に誘導されてしまうのである。
大竹展を見たあと、また別のいかにも現代アートな作品/空間に接することで、双方の鑑賞の印象が高まったり、意外な共通点に自分で気づいたり、頭がリフレッシュされ現代アートの広さを哲学する気にさせられたりするのである。大竹的空間から非大竹的空間に身を移すことで、「大竹作品/空間とは何か」とか、エラそうな新書タイトルのようなことが、自然と頭に浮かんできたりする。
アーティスト本人のこだわりの一品、図録
ようやく本当に最後。締めのショップ・グッズコーナー。まずは特設売り場の方から。
(ミュージアムというより)展覧会のお土産の代表格は、私は図録(展覧会カタログ)だと思う。買う買わないは別にして、展覧会の内容を一冊の本にまとめたものだから。
以下が今回の図録の販売風景。なお、図録の正面画像は、この記事の見出しに使っている。気になる方はそちらもどうぞ。再掲は省略する。
この図録そのものにも、作家大竹のアーティスト魂が発揮されており、他で類を見ないマテリアリティ。メインコンテンツはもちろん作品の写真図版だが、メディアは要するに新聞紙。オシャレに言えばタブロイド判。広くて軽いが脆弱な素材。しかしこのお陰で、値段を抑えつつ、今回展示した大竹の膨大な作品の写真図版をカラーで余さず掲載してくれている。
余談だが、ダブロイド版の図録は、私の知る限りでは昨年の夏東京ミッドタウンで開催された『北斎づくし』展も、そうだった。
紙の新聞の発行部数が減り(輪転機が遊んでる?)、また紙やインクの価格も全般的に上昇している中、図録をタブロイド判にするという選択肢は、しばらく存在感を増していくような気がする。図録を取り扱う図書館は、こういうの、どうするんでしょうね。
さて、そんな特製の図録だが、今回会場で、ご丁寧に「図録パックの中身」を展開図風に「開陳」までしてくれている。図録愛好家にとっては神対応。それが以下の光景。
100枚2万円!大竹's セレクト・アートカード
※これの写真はありません。
図録の次に目を惹いたのは、アーティスト本人セレクトのアートカード集。要は絵葉書サイズの作品写真集。写真アルバム形式。これが100枚セットで2万円。今まで結構ミュージアムショップは巡ってきたが、額縁に入れ本物そっくりに恭しく飾るような名画の超高精細複製画のケースを除いて、ここまで高額な売り物は記憶にない。1枚あたりは200円なので単価?として飛び抜けて高いわけではないが(それでもこうした展覧会で売ってる絵葉書の平均よりもやや高いとは思う)。
この中からお気に入りのだけを選んで買わせてくれればいいのに、いけずぅ。分かっててわざとやってる。そういうコンセプト商品だから。おそらく。やられた。
16年前の特集雑誌!
次に常設ショップ。こっちもきちんと鑑賞。ここで見つけたのは、美術手帖の2006年12月号。こんな古い雑誌が手に入るとは。。。こんなに古いバックナンバー、今まで買ったことがない。即買いした。
なぜこんなものが売られていたかというと、2006年に東京都現代美術館(MOT)で開催された「大竹伸朗 全景 1955-2006」の特集号だから。
※もう売り切れてるかもしれません。そうでしたら、すみません。
最後の最後に。これも作品?
帰り際、出口付近で気づく『ガチャ景』。これ、動線的にわざと帰りに気づくように仕組まれてる。最後まで油断ならない。既にしまったカメラをもう一度取り出す^^;
閉幕
美術館を出る。目の前に広がるコンテンツボードの裏面。自然と目にすることになる次回予告。
次回は自館の所蔵品だけで組んだ企画展。ここ(東京国立近代美術館/MoMAT)の豊富なコレクションと人的資源(学芸員)だからこそうまく成り立つ企画。MoMATファンなら、普通の特別展(変な言い方だが)より楽しみなことだろう。私もその一人である。
膨大な写真と資料、お土産、情報で帰宅後の整理が一筋縄にはいかないことを覚悟しつつ、足取り軽く家路に着く。帰宅後も、なかなか興奮が治まらなかった。
注)今回の図録は巨大サイズ。空いてる時間でないと、電車で持ち帰るには厄介。せめて満員電車は、避けましょう。
以 上
誠にありがとうございます。またこんなトピックで書きますね。