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佐藤健寿「奇界/世界」展レポ

佐藤健寿「奇界/世界」展を見てきました。写真集『奇界遺産』で有名な写真家です。この展覧会で初めて知りました。

★展覧会公式サイト。まずはここをご一瞥いただければ。


★今回見てきた会場。高知県立美術館。ページを開くと分かりますが、驚きの関連イベント充実度。


高知での展覧会は9/11で終わりましたが、この先もまだ日本全国を巡回するようです。この手の展覧会は、人気が出たらさらに巡回先が増えていくのかな?

  • 2023.4.14~6.11 @山口県立美術館

  • 2023年夏 @群馬県立館林美術館


今回諸事情で超駆け足で見ただけでしたが、コンセプト/展覧会タイトル通りの内容で、1枚1枚がキャッチーで面白かったです。じっくり見れなかったこともあり、図録は躊躇わず買いました。

写真展の図録なので、主成分は実質写真集ですね。今まで本屋で写真集の類はほとんど買ったことはなかったのですが、写真展で図録として売ってた場合結構手を出してしまいます。上記ショップの解説にもありますが、造本/ブックデザイン的な面白さ、佐藤健寿さんの活動20年の集成的な内容になっている点が、この図録の特徴かなと思います。なお、180度パタッとフラットに開くコデックス装です。最近このタイプの図録がじわじわ増えているような?


図録の話が先行しましたが、肝心の展示鑑賞の方について。

私は写真も写真展もド素人ですが、展示されていた写真のいくつかは実際に見たことがあったり前々から気になってたモノ・コトが被写体になっていたりと、おっと思って足を止めたくなるものが多かったです。特に前半の「奇界」パート。そして各作品にキャプションされた数行程度の解説が、いい味出してました。図録は半分、それを家でゆっくり読むために購入したようなもの。

対して後半の「世界」パートの感想は、佐藤健寿さん説明の通り。それ以上うまく自分の言葉にできませんでしたので、引用。

旅の中で撮影した名もない風景や印象深い人々、いわば雑然とした旅の記憶

「奇界」と「世界」、その「境界」を巡って. 佐藤健寿(図録冒頭テキスト)

一貫した明確なテーマはないが、旅の終わった後でフラッシュバックするのは不思議と、こんな名前もなき風景たち

同 上

なお、「世界」パートには作品解説はなく写真だけの展示。なるほど。

総じて、老若男女、一人で鑑賞しても複数人で一緒に見に行っても楽しめる内容だと思います。

余談ですが、展覧会の入り口でよく配ってる作品リストの裏面が、「撮影地点 MAP」(世界地図)になってました。これは展覧会らしい気の利いた、そして純粋に資料としても嬉しいアイテムだと思います。残念ながら図録には収録されていません。ある種の来場特典ですねw


会場風景を少しだけ。

途中から「会場風景」の撮影がOK。このケース初めて。
写真だけでなく、博物資料の展示も少し。大阪の「みんぱく」から友情出展?も。
後半「世界」パート。こっちは風景撮影はOK。


最後に考察めいたことを。

この記事を書くため展覧会(記憶)と図録、公式サイトを見比べましたが、そこで感じたのは、やはり写真展は写真展ならではの、そこに身を置くことでしか感じ取れない感受性というか、雰囲気があるということ。実寸大・等身大、あるいは実際に現地で目にする光景に近い大きさでプリントされていることからくる惹きつけられやすさ・対話のしやすさ、展覧会ならではの空間デザインやレイアウトなど。この場合図録は、「展覧会のカタログ=記憶を引き出す上でのインデックス的な代替物」に、相対化されるかなと。

とはいえこの図録も相当気に入っており、今度友人と呑むときにでも、持ってって酒のツマミとして活躍させる予定です。相手の「奇界」「世界」の記憶や関心を引き出すツールとして。


以 上

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何となくUNIX(いしい)
誠にありがとうございます。またこんなトピックで書きますね。