台風は風ではない。 風に支配された台だ。 ふれるものを傷つけながら、ただその身が消えゆくのを待つ存在。 台風の目の中で、傷だらけになった僕はようやく君を見つけた。 「何故、そんな目で私を」 痛みも知らない癖に、僕達を想う君は優しいと思ったのだ。 「君にも傷をつけてやろうと思って」