読んで暮れる
資料集めのために入ったkindleUnlimitedがなかなか面白くて使っている。
『珍夜特急』がお気に入り。一昔前なら旅の同人誌で出されていたんだろうが、こうして手軽に読めるのはよい。こういうプラットフォームは商業ベースには乗らないけど情熱あるニッチな文化をピックアップする機能があると思う。例えば前に戦時中のドイツ軍の給食についてひたすら調べた本をKindleを読んだことがある。
またUnlimitedは購読ページ数が収益になるので個人でやってる書き手が直で儲かるのが面白い。たくさん読もう。
紙媒体。
沼田和也氏の新刊を購入。
図書館で釈徹宗氏の本を何冊か借りる。
先日本屋で見かけた『フィリピンパブ嬢の社会学』を読みたいけどお小遣いと相談。
しかし図書館で借りた本はよほど読む理由がないと読まずに返すことになる割合が高い。金払ってるっていう動機付けが必要なのは私がケチだからか。
逆に買った本はいつか読むだろうと放置することも多い。
結局は気が向くか向かないかだ。
怠惰
日曜日は安息日。安息日とはなにもしない日。さりとて交友関係は寂しいほうなので放っておくなにしない。だから日がな一日本を読むかスマホをいじるかする日。安息日も曜日も関係なくだらだらするのが好き。
動いていないから飯を食うのも億劫になる。空腹感と食欲が上手くリンクしなくなる。食欲よりも億劫がまさる。するとさらに動くのが億劫になり思考も停滞しぞわぞわとする不安感に襲われる。
空腹が痛いレベルになってきたので仕方なしに食料調達に出る。腹を満たしてリスパダールを飲む。
満腹感と薬効で気分はだいぶマシになる。
外付けの経験
本ばかり読んでいた。
特に旅行記やルポルタージュが好きだ。獄中記や闘病記もよく読む。伝記や評伝も読む。つまりノンフィクションが好きだ。
本の良さはその情報量だ。たった一行の文章でも、読み手の想像力や補完知識があれば8K映像より多くのイメージを伝えられる。
能力のある書き手がいればどこへでも連れて行ってくれる。外部化された経験とも言う。
面白い本に出会うと頭の中が拡張されていくように感じる。まあ頭でっかちとも言う。
しかし個人が実際に得られる経験の量なんてたかが知れてるわけで、それを補うためには多少頭でっかちのほうがちょうどいい。
演劇青年
久々に芝居の稽古のようなことをしてきた。元妻と演劇ワークショップに参加してきたのだ。
私は18歳頃から24歳頃まで断続的に、一時はそれなりに熱中して芝居をやっていた。役者もやったし脚本を書いたりアマチュア映画にも出たりもした。
しかしぷつりと縁が切れてそれっきりだったが、これがなかなか楽しかった。
体や発声のコントロールなどの技術面ははぼろぼろだったが、セリフを読むことには案外すっと馴染めた。
演じることは対話だ。それには三つの階層がある。自分、共演者、観客。
自分の役やセリフの解釈を自問する。
その解釈を共演者を含む舞台に投げる、返ってくる。
それが観客に見られる、返ってくる(あるいはこない)。
こうした複合的な対話が噛み合った時の快感は他にない。これは私が元来人と噛み合わない性質だからだと思う。ただし噛み合わない時は穴掘って潜りたくなる。
また役を通して感情を味わえるし想像できるのも良い。そしてそれをコントロールする楽しさがある。
つまりコミュニケーションは芝居を通して学んだところが多い。
ワークショップ後に講師の方に「すぐにでもやったらいいじゃないですか」と言ってもらえたのはお世辞だったとしても嬉しかった。
ただ先々のことがわからないので如何ともし難い。しかしまた参加したいと思った。
暴食
某ホテルの朝食バイキングが私のささやかな楽しみだ。値段はなんと800円。
中の下くらいのホテルの朝食をイメージしてほしい。ご飯、味噌汁、ベーコンとソーセージと卵料理と焼き魚一種、漬物、味のり、サラダバー、ヨーグルト、お茶とオレンジジュース。
これなんだよ。これでいいんだよ。いや、これがいいんだよ。
巡礼者と旅人
貪るように『珍夜特急』を読み終えたのでそのまま本家の『深夜特急』を取り寄せて読み始める。確か16歳の時に近所の古本屋で買って読んだ記憶がある。
当時は少年らしく旅の興奮にあてられて「いつは自分も」と胸を熱くしたが、今では興奮と同時に旅を求めることは空虚さが元にあるのではないかと考えるようになった。
そんなことも考えつつ旅(旅人)とはなにかについて考える。
巡礼者(お遍路さんなど)が色々な文化圏でも保護されるように、旅人というのも日常から離れて一銭の得にもならない苦行をするという点では同じ分類な気がする。
通常の日常から遊離して、共同体を相対化する存在だから巡礼者も旅人もある種の特権が認められるのではないか。私の姉も兄も自転車でかなり長距離旅行をしていたことがあるが、道中土地の人に大変な親切を受けたという。私も旅行者や外国人にはなんとなく親切にせねばならんという感覚があるし、機会があればできるだけのことはしてきたつもりだ。
こうした心情がどこからくるのかを考えてみるのは楽しい。
ちなみに日本では8世紀の律令で旅行者の保護のルールがあったり、同様のルールはヨーロッパや各地にもある。これには単純に保護しないと死んだり悪いことをしでかすからという理由もあるだろう。
またこうした保護をするルールや文化が薄い土地もあるわけで、どういう違いから差が出るのかなど。
本を読むといい暇潰しになる。
待つことの苦しさ
大学の書類選考が気になって気になって気が気でない。元来不安に弱く気を抜くと胸が押し潰されるような苦しさに堪えられず頓服を飲むはめになる。
手を離れている以上はなにもできないのだからドンと構えて二次試験の用意をしていればいいのだけど。読書漬けも対策の一環でありつつ不安から逃れるためでもある。
現役で入試を受けた頃はこんなに不安ではなかった。地方都市ではそこそこの偏差値の大学だったが若者らしい全能感から合格して当たり前だと思っていたし、実際に合格した。
しかしその後はそれなりの挫折もあり全能感はもうない。つまり大人になったのだ。
そして三十路を超えてようやく受験生の苦しみを味わうハメになる。
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