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知られていない腸腰筋の秘密!大腰筋の浅頭と深頭の違い

私が解剖学に興味をもったのは、腸腰筋がキッカケでした。

どういう理由でかは忘れたけど、「腸腰筋が重要!」と思いたって調べ始めたのです。

どうしたら腸腰筋を上手にストレッチできるんだろう?

どうしたら腸腰筋を上手に鍛えられるんだろう?

と日々考えてました。

そしてWikipediaの「大腰筋」の記事に、こんな記述を見つけました。

起始は浅部と深部に分けられる。
浅部(浅頭)は第12 胸椎と第1~4 腰椎の側面およびそれらの間に介在する椎間円板から起こり、深部(深頭)は第1~5腰椎の肋骨突起から起始し、腸骨筋と合流して腸腰筋となり腸骨筋膜に包まれ、腸恥隆起を越えて走り筋裂孔を通って小転子で終わる。

大腰筋の浅頭?深頭?何それ?

どう違うの?何でわかれてるの?

……ところが、調べてみても浅頭と深頭の違いについては、ほとんどわかりません。

大腰筋自体の注目度は高いのに。

浅頭と深頭については、なぜほとんど注目されてないの?

と思いました。不思議です。

仕方なく、自分の身体を実験台にして調べることにしました。

そのときにわかったことをここに書きます。

以前にも一度まとめたことのあるものです。



簡単に言うと、

・大腰筋浅頭は腹筋のようなものである。

腰椎の屈曲作用と、股関節の屈曲作用がある。

・大腰筋深頭は背筋のようなものである。

腰椎の伸展作用がある。

股関節の屈曲作用はない。

です。

腰椎の横突起についてるのが大腰筋の深頭。

そして腰椎の椎体についてるのが大腰筋の浅頭です。

前側が浅頭。

後ろ側が深頭です。


大腰筋浅頭については、大腰筋の作用でよく説明されてる通りです。

もも上げや腹筋運動で鍛えられます。

(ただし、腹直筋や前ももを抜かないとダメです。)

一方で、「腸腰筋は片足立ちで鍛えられる。背骨を安定させる作用がある。」とも言われてたりします。

(ただし、姿勢に気をつけてお尻や腰を固めすぎてはダメです。)

そっちが大腰筋深頭、および腸骨筋の作用になります。


過去に私が調べた、大腰筋浅頭、深頭、腸骨筋の作用です。

大腰筋浅頭

腹筋と似た動き。背骨を前に引く。

前屈する。

背骨の上の方をつよく引くことで、背骨を丸めて前屈する。

背骨の下の方をつよく引くことで、背骨を反らして前屈する。

片側だけ引くことで背骨をひねる。

ももをあげる。


大腰筋深頭

背筋と似た動き。背骨を下に引く。

背骨を反らせる。

筋肉の上の方をつよく引くことで、背骨をあげる。

筋肉の下の方をつよく引くことで、背骨をさげる。

片側だけ引くことで背骨を横に曲げる

片側だけ引くことで骨盤をかたむかせる。


腸骨筋

後面 骨盤を前にたおす。ももを上げる。

側面 骨盤をさげる。片方だけさげると、左右にかたむける。ももを微妙に外にまわす。


大腰筋浅頭と腸骨筋は、ももを上げる作用があります。

大腰筋浅頭のほうは背骨にひきつけるようにももを高く上げれるのに対して、

腸骨筋は70度くらいまでしか上がりません。


しかし、ももを上げるとかわかりやすい作用は、私にとってそこまで重要ではありませんでした。

驚いたのは、大腰筋深頭の重心をコントロールする能力です。

私の中で明確に、

大腰筋深頭>腸骨筋>>>大腰筋浅頭

くらいの序列ができてしまいました。


基本、大腰筋深頭は腸骨筋とセットで使います。

腸骨筋が骨盤を前傾させて、ニューテーションさせて、大腿骨を固定して、下半身を安定させます。

その上で、大腰筋深頭が腰椎を安定させます。

足腰というくらいなので、骨盤と腰が一体にならないといけません。


重心をコントロールする能力とは。

大腰筋浅頭にも、重心をコントロールする能力があります。

主に円運動です。

逆上がりのとき。

倒立をするとき。

運動が苦手なひとが、一生懸命地面を蹴っても、足をバタバタさせても、

逆上がりや倒立は上手くできませんよね。

一瞬、背骨をくんっと動かすことで勢いをつけます。

重心をコントロールするから、わずかな動きで良いのです。

このときに使うのが大腰筋浅頭です。


あるいは立った状態で、

膝をスッと抜きます。

一瞬、身体が落ちます。

その瞬間にクルっと回って後ろを向いてください。

ジャンプしてはいけません。

スッと膝を落として、身体を浮かせることなくキレよく回ります。

このときに使うのが大腰筋浅頭です。


では大腰筋深頭の重心コントロールとは何でしょう。

それは上下の動きです。

ひとの身体はつねに重力を受けてます。

立ってるだけで上から押されてます。

このとき、身体の中心にある力感みたいのが重心です。

通常、おなかのへんにあります。


大腰筋浅頭を使って、重心を移動させたらどうなりますか。

その場でクルクル回るだけです。

ところが、大腰筋深頭は、重心を上下に動かせます。

腹重心はドッシリ重たい感じ。

胸重心は軽くて足が良く動きます。

この2つを瞬時に切り替えると、身体が上下に揺れます。


こう言うと、あんま大したことないみたいですけど…

重心というのは大事です。

どんなに手足をバタバタさせても大したことにはならないです。

重心をコントロールしたら、ちょっとの動きで大きな変化があります。


大腰筋深頭はどのようにして重心を変化させるか。

大腰筋深頭を下方向にひっぱると、腰椎がつぶれて重心が下がります。

大腰筋深頭を上方向にひっぱると、腰椎が伸びて重心が上がります。

おおざっぱに言うと、そうです。

腰椎の何番がどうとか、細かい機敏がありますが。


大腰筋浅頭と深頭のちがいについて、とりあえず概略は言えたと思います。

腸腰筋のトレーニングをするとき、意識してみると面白いと思います。



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