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ワールズエンドクラブを一度プレイしてみてほしいって話。


極限脱出シリーズ、ever17などインフィニティシリーズの打越鋼太郎と、
ダンガンロンパシリーズの小高和剛がタッグを組んだアドベンチャーゲーム。

インフィニティシリーズ、特にever17にやられた人間にとって、このゲームの冒頭の舞台である海底遊園地を見ると、期待せずにはいられない。あの時の衝撃の追体験を。

そんな消費者心理を突くように、そしてその思惑の斜め上にストーリー展開する肩透かしからの引き込みに、結局またぐんぐんドツボにハマる。

リリース当初、小学生がデスゲームするという触れ込みからの、それは結局出オチだった(厳密に言うとちゃんと伏線になってる)。思ってたんと違うというので軽く炎上したらしい。

この2人のゲームが初見であれば仕方のないリアクションかもしれないが、それにしたって情報を鵜呑みにしすぎ感は否めない。

その印象操作こそが撒き餌であり、
この2人の作風特有の裏切りだ。

ダンガンロンパもever17もパッケージングの印象をことごとく裏切ってきた赤ずきん作品であり、それが結末までのリドル追いの導火線である。

ミステリーの文脈で見るのが正しい向き合い方で、エンタメコンテンツは須くリドル追いを楽しむものだと思う。

とは言え、過去作品に比べるとやや小ぢんまりとまとまってはおり、それはリソースからの結果であり、Apple arcadeでのリリース、Switchでの販売価格から見ても低予算だったのは明らか。

打越鋼太郎とひぐらしシリーズの竜騎士07のwebでの対談記事で、打越氏は作品をつくる上でリソースとマーケティングに併せてシナリオを練る商業主義的スタイルだと語っていたので、ワールズエンドクラブの出来栄えが腑に落ちた。

ever17しかプレイした事がないので比較対象が乏しいとはいえ、ワールズエンドクラブは分かり易さをかなり意識してるように思ったし、抽象表現の度合いは序盤はかなり控えめになっている。

ターゲットは小学生〜高校生くらいだろうか。

デフォルメされたキャラデザに記号的、偶像的、ステレオタイプ的キャラは見た目通りで、
基本的にはベタを貫いている。

主ジャンルはラブコメと異能と冒険ファンタジー。
テーマ性はそれぞれのトラウマ克服や啓発的テーマ性(自己犠牲的利他の精神、相互理解)か。

後半の打越ワールドの表出具合はかなりゴリゴリで、これぞ打越鋼太郎というような高次存在ネタを用いたゲームでしか出来ないメタ表現はわりと理解度を必要とする。

ノベルゲーに簡素なアクション要素を加味する事で、テキストの選択だけでは得られない没入感をプレイヤーに及ぼす。

ノベルゲーの基本は選択によるストーリー分岐によってbad or goodへと至り、別ルートを周回してtrueエンドへと至る場合が多い。

打越作品はそのノベルゲーのシステム、プレイヤーの選択というものにメスを入れているところがミソで、これは映画やアニメという受動コンテンツでは成立し得ないし、プレイヤーが行動と選択を行うゲームというコンテンツでしか成立しない体験だ。

ノベルゲーの世界を三次元とし、その外のゲームの時空を行き来出来る四次元存在であるプレイヤーがゲーム世界に干渉する事によるストーリーの変化を体験する事で、現実と虚構の接合、溶解を果たしている点は、ever17でやったことと同じで、これを一度食らうとゲームの捉え方は一変する。

とまれ、Apple Arcade課金組、Switch持ちは一度プレイしてみてほしい。

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