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〈書評〉若山牧水歌集

Score(0.1~5):3.4
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thoughts :
恋の歌、酒の歌、旅の歌、
息子に旅人とつけるくらいだから、きっと旅は氏にとって思い入れの強い事柄なのだろう。

解説の中で、良い短歌とはなにか?
という問いに対し、誰しもの共通項になり得る共感力の高い歌が良い歌、そしてさらに、
そこに深い洞察、示唆、訓示のようなものがあればなお良し、ということが言われていた。
禿同。
個人的にはそこに加えて、31文字の中に、
・一眼レフで撮った20MBほどのraw規格の写真のような解像度
・時間の経過
・心情の吐露の奥の滋味
・行為の動機の輪郭の鋭く、時代の匂いを袋に閉じ込めて今に放ったような臨場感の想起
とかなんやかやを伝達させる力のあるものが良い短歌である条件であると思う。

センチと享楽と孤独と現実と逃避、自然、
濃淡のタッチ細やかな記憶が、
数バイトのtxtデータに込められて、
現代でも、普遍的意味として残る耐久年数は素朴な真理故かもしれない。

短歌しか勝たんかったし簡単か短歌しかし勝たんか鷹単。

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Title : #若山牧水歌集
Author : #若山牧水
Publication year : 2004年
Genre : #歌集


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