【上野】クリムト展に行った話
先週の金曜、夫が休みだったので子供達のお迎えを頼んで一人クリムト展に出かけた。
(以下長文注意)
見どころは全長34メートルのベートーベンフリーズ(複製。ベートーベンに焦点を当てた14回ウィーン分離派展示会のために作られた作品)と
ユディトI(この絵で初めて金箔を用い、クリムト黄金様式の幕開けとなる)
言わずと知れた名画、女の三世代。
ベートーベンフリーズは音声ガイドで第九の一節を聴きながら鑑賞。まさに荘厳。
しかし、一番魅了されたのはユディトⅠ!
対峙した途端のユディトの吸引力といったら!
金箔の絢爛さえ蹴散らすかのような妖艶さ。
同じ女性ながら、青白い肌を上気させて恍惚の表情を浮かべる彼女から目が離せず、退館が惜しくて彼女の展示まで三度も戻ってしまった。
この作品は旧約聖書外展『ユディト記』の一場面。
蛇足、ユディト記--
ユディトはユダヤの町ベトゥリアに住む未亡人。
しかしある日ベトゥリアはアッシリアのネブカドネザル王(本当の歴史では新バビロニア王だがユディト記ではアッシリア王とされている)に仕える司令官ホロフェルネスに包囲されてしまう。
ユディトは包囲を解くため、夜に忍び込んでホロフェルネスを誘惑して酔い潰し寝首を掻く、というか斬り落とす。
(というわけでこのユディトも右下に生首を持っている)
指揮官をなくしたアッシリア兵は混乱、それに乗じてユダヤの住民たちはアッシリア兵を全滅させたという。
(そしてユディトは105歳で亡くなるまでベトゥリアで平和に暮らしたという!なんとまぁ長寿!)
ユディト記は人気の題材で、様々な画家がユディトを描き、多くは貞淑な夫人として表現されているが、クリムトの描いたユディトは胸元もあらわで極めてセクシー。
たくさんのモデルと愛人関係を結び、14人も子供をもうけたクリムト。(なのに生涯未婚)
彼自身が女性の魅力に抗えず苦悩したので、自戒を込めて描いたためこんなに妖艶なのでは・・・。
そんなわけでユディトに魅了され、ユディトグッズを買い込んで帰宅。
クリムトの黄金様式にちなみ、23k金箔入りワインもあったので買いました。キラキラしててあがるー。
あと、箱入りのキャラメルポップコーンが美味でした。
クリムト展、クリムトの人生からウィーン分離派について、ウィーンと日本の関係など頭パンクするくらい内容モリッモリだし、図録もボリュミーな割にお手頃だし(2500円)稲垣吾郎の音声ガイドも良い感じだし、一言で言うと最高なのでおススメ!!
そして母の美術館土産にインスパイアされたのか、息子が壁に粘土作品を制作。
どうやら『カニ』だそう。
ユディトばりに頬を上気させ、得意げに作品の報告をする息子を叱ることができなかった。
とりあえず壁や床に芸術を施すのは我が家の中だけと固く約束を交わし、カニはまだ壁に張り付いています。
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