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これで自由になれる

◆ 「ダメ」と「素敵な人」の境界線

そのまんまでいったらいいのに。

時々、人に言われる。

友達知人に話すとゲラゲラ笑ってくれたり、興味しんしんで「もっと聞きたい」と言ってもらえたりする話を、こういうところで文章におとしこめると

「え、怪しい人なんじゃ」

と、思われるんじゃないかと不安になり、オブラートに包むことがある。

自分がへんな人だと思われる分にはいい。

一番嫌なのは、人が嫌な思いをすること。

いい人ぶってるんじゃなくて、なんか気まずいじゃん。

人が嫌な思いをすると、自分も嫌な気持ちになってしまうから苦手。

だから、文章となるとわりと笑い話になるようなことすら、先に自分自身を警戒しておくことがある。

例えば、ちょっとした不思議話みたいに聞こえる話ですら

「大丈夫か? 人を不安にさせないか?」

と、心の中で指差し確認をする。

とくにそういう話に過敏な人は多いから。

不思議話と言っても、突然、神を信じるかとか、霊はいるとか、宇宙人がUFOがってことを主張したい気持ちは微塵もないし、正直自分もそれらが存在するかしないかなんて知らない。

今のところ誰にも証明しようがないだろうに、いるかいないかを強く語ろうとする人が時々いる。

なんだろうなあこういうのって。

以前、みんなでうつった写真に不思議なものが写り込んでいて、それをただワイワイ話題にしていたら、写真を細かく分析してかたくなに「これは不思議なものではない」とずっとしつこく言っている人がいた。

それ以外の人間は面白がっていただけなのに、ひとりだけ本気なのだ。

正直に言うと、私は「かたくなに "ない" という人」と「絶対に "ある" という人」は同じだと思っている。

以前、精神科医の名越先生とスピリチュアル系イベントへ取材で出かけた時の先生の分析で絶妙なコメントがある。

「(人間って自分にあうあわないの部分で)この人はダメだとか、この人は素敵ってっていう部分にそれぞれの境界線があると思う。
例えば、誰かと何かスピリチュアルと呼ばれる体験をした時

“体験を共有しているね”

っていう会話をしているのか

“本当に神が降りて来て座っていた”

ということを掴もうとしているというのかでまったく居場所が違う。
もしも後者の場合、ほとんどの人間は脅迫的になってくる。
自分がした体験から、神は必ず存在していて世界はこうなっているということを、表明したくなってくるんですよ」

いやー、さすがですお師匠さんって思ったのを覚えている。

実はこれって、たまたまテーマがスピリチュアルだっただけで、別にスピリチュアルとか関係なく、すべてにおいて言えること。

例えば、自分が使っていいと思ったもの、行っていいと思った場所、好きな人、大事な思い、信じてる言葉、何もかもに通じる。

自分が好きで、体験して「ただそれだけでいい」と思っていることをよかったらシェアでもしようかな興味ないならいいけどって思っているのと、それを「絶対的なものとして人に同意させようとする」ことは違う。

これらの間にあるのは曖昧なラインのように見えて、決定的に違う。

そして人は、このラインにあまりに敏感になりすぎて他人が教えてくれる面白かったものや、好きなものから先回りして離れようとしたりもすることがある。

例えば、マルチ商法みたいなものを始めた友人がいたとする。

こちら側はマルチ商法が苦手だったとして、だからと言ってそのマルチ商法をしている友人からまで離れることはないのだが、距離を置いてしまうことがある。

だって、あれにハマった人って、だいたいすごい情熱でくるし面倒くさいし。

でも以前、知り合いでその手のものを始めた友人は違ったのだ。

「めちゃくちゃへんな人ばっかで面白いの。ホテルで泊まり込みセミナーとかやって泣きわめく人とかいて(笑) 笑うの我慢するのが一番きつかった」

「タダでエステできるからサロン来て。最初はどうしても何人か連れていかないといけないの。でも絶対契約はしないで。私は言われた人数連れていけばいいだけなの。 もし契約したら縁切るよ、絶対だよ!」

「こういう仕事が得意な人もいるんだろうけど、私は違うかな。次の仕事が決まるまでのつなぎなの。だから今がしのげればいいんだ」

そんな言葉付きで、協力を求め、面白話をたくさんしてくれた。

そういう人もいるんだけれど、そうじゃない人が多いので警戒してしまうのが現実。

リアルな人間付き合いですら怪しむのだから、直接顔をあわせることのない文章の世界になると、さらに疑う気持ちも増す。

例えば「霊」とか「神」とか「スピリチュアル」と文字にしただけで、もう「怪しい」という心のアラートが鳴るようにできている人も多い。

なんなら「健康法」とかもそうだ。

「カレー」とか「遊園地」とか「草」みたいなものとは並列にされない。

実は私の中では全部並列だけれど、怪しまれないように、あんまり書かないようにして、たまにちょろっと「ただあったこと」とか「自分のいいと思ったこと」を書いては、柱の陰から様子を伺っている(笑)

文章というのは、直接話す言葉や、直接会って何かを伝える人間関係より事前にあっさり切られることが多い。

伝えるより前にカテゴライズされ、ずっとくっきり線が引かれるもの。

正直、それってつまんないなー、せっかくこういう場所で「ここだけの内緒話ができるのに……」と思うので、今日も普段の自分の人間関係と地続きの感覚で、するんと語れればいいなと思いつつ綴ります。

面白おかしく

人生が今より広く自由になる話

として伝われば嬉しいです。

◆ 人生を握りつぶさない方法

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