データ復旧会社にパソコン人質にとられたから、プロの脚本で応戦した。【長編ドキュメンタリーコラム】
☆ パソコンのデータが全飛びした
パソコンのデータのバックアップ、シテマスカ?
ハードディスクは念のため2個完備で同じデータとってますか?
とか訊きながら、私は最近おろそかになっていました。
あんなに怖い思いしたのに、慣れてすっかりテキトーしてます。
なんなら、今、デスクトップもぐっちゃぐちゃ。
でも、身近な人にHDやデータ関連のトラブルが起こると、あの時の恐怖を思い出して、定期的に
「ハッ!」
となります。
ほんと声に出しちゃうくらい、ハッ!
ある日、とつぜんパソコンがまったく動かなくなったことがあるんです。
電源再起動してもダメ。
詳しい人たちに色々きいてやってもダメ。
とにかく何してもダメ。
出版が決まっていた書き下ろしの小説が、ほぼ最後のほうだったのに、なぜか私はバックアップをとってなかった。
すべてはパソコンの中にしかない。
私の頭の中にも正確にはない。
バックアップとらないだなんて……
バカじゃない?
その時に限って、なぜとらなかったのかはわからない。
そう、バカだっただけだ。
それを悔やむ隙もなく、とにかく焦りました。
こういう時って、ほんと人間ガードが甘くなるんだなあと後になって思います。
私、こう見えて、外のものとつながる時、警戒心が強いんです。
かなりの心配性かつ慎重な人間なんですね。
化粧品ひとつ買うのにも、どこかのホテル泊まるにも、レストラン行くにも、病院行くにしても、とにかく何するにしても徹底して調べるし。
なのに、その時はパパッと検索してたいして細かく調べもせず、パソコンを抱えて出かけてしまいました。
バッグにも入れていなかったから、よほど焦っていたんだと思います。
向かった先は、パソコンのデータを復旧してくれる(はずの)会社。
その会社にパソコンを預けた瞬間から、世に出回る前の小説を取り戻すかいなか、の戦いが始まりました。
それにしても、なんでポンと大切なパソコンを預けてしまったのか。
後にも先にもそんな重大なミス、なかなかないよ。
☆ 謎の舞台セットと芝居を展開するデータ復旧会社
私がパソコンを抱えて行ったその会社は、都会のど真ん中にありました。
(わあ、こんなところにあるのだから、よほど「成功」されていて、確かな形で仕事をして下さるんだろうなあ)
一生懸命自分を励ますばかりに、そう思いたくなりました。
でも、本当はビルに入る時、そして、まるで簡易的に作った面接会場みたいな立て札の矢印をさされた入り口で、密かに不安になっていました。
中に入ると突然おしゃれぶったような絨毯や応接家具。
嘘みたいなつやつやした植木。
(中はわりとちゃんとしてるんだな大丈夫なのかも……)
と一瞬思ったり、でもなんかもやもやすると思ったりの気持ちのアップダウンはきっとパソコンが壊れたからだと思い込んでいました。
完全に心のアラートを無視状態。
このあと、作品を取り返すための戦いが始まることを私の勘は教えてくれていたのに……。
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