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【企画参加】忘れられないあの人
つかの間のあいあい傘や秋時雨
中学生になったばかりの頃だったと思います。
下校時間に、ものすごい雨が降っていました。
沖縄では、傘を持つ習慣があまりありません。
土砂降りになっても、すぐ晴れるし、
1日じゅう雨がざあざあ、というほうが、
たとえ梅雨どきでも、めずらしいくらいです。
その日も、もちろん傘なんか持っておらず、大雨でもすぐやむだろうと、楽観視して帰路についたのでしょう。
大粒の雨が、ぼつぼつ身体に当たっていたかと思うと、それが、いきなりやみました。
わたしは、同じクラスの男の子がさしている黒い大きな傘のなかに、いつのまにか、すっぽり収まっていたのです。
……え?
記憶違いでなければ、その子は小学校も一緒で、中学校の近くのマンションに住んでいました。
道を渡ったタイミングで、お礼も言わず
全力で逃げてしまった。
中学まで、ほんとうに学校になじめなくて。
クラスメイトや先生と、とにかく反りが合わず、いつも何かしらやり合っていた気がします。平日は常にイライラしていました💦
懐かしく思い出せるのは、修学旅行と卒業式くらい。とくに卒業式は、人生で嬉しかったことベスト3に入ります。
高校に慣れてくると、中学までの記憶は薄れ、
成人式までに、ほとんど飛んでしまいました。
入学にともない、地元を離れたこともあって、
小・中学校の同級生、仲の良さに関係なく誰が誰やら、さっぱりわからなくなりました。
好きだったマンガや音楽のことは、
しっかり覚えているのですが、
中学までのことは、若いときから
ぜんぜん憶えていないんです。
傘に入れてくれたあの子のことも、
いまだに名前すら思い出せません。
あの日の記憶すら、
忘却のかなただったのですから。
10年ちょい前だったか。
作家の向田邦子先生の実妹・和子さんの著書
「向田邦子の恋文」を読みました。
あとがきにかえて、の項目に書かれていた、ナンキンマメのお話が、あの子のことを少しだけ思い出す、いいきっかけになりました。
まだ幼かった和子さんが、歳の離れた「おねえちゃん」に、「これ、あげる」と、「ひとにぎりのナンキンマメ」を差し出した。
そのときのことを、向田先生は大人になっても憶えていらして、「あんたのこと、あのときから『いいやつ』だと思っているのよ」と、和子さんに言葉をかけるのです。
このエピソードをとおして、
「ほんとうの『いいやつ』は、励まそうとか喜ばそうとか思いながら人と接するんではなく、『言うとはなしに』そばにいる(よりそう?)。そんなひとだ」
と、和子さんは気づくんですが……。
書籍が手元になく、うろ覚えの記憶をただただ
文字にしているので、もうめちゃくちゃ😂
ともかく、「言うとはなし」のあたりで、
「傘の君」が脳裏によみがえってきたのでした。
雨が降るだろうという日に、傘をきちんと持って歩けるほど生真面目な少年は、クラスでトラブルばかり起こすわたしのことを、なにかと気にかけてくれていた、ような気がします。
からかったり、ちやほやしたりでもなく、
ただ「普通に」声をかけてくれていたはず。
卒業アルバムで探してみようと思いつくものの、小学校・中学校のアルバムともに、すでに無い。
しかたなく、子供の頃の写真がたくさん収められたアルバムを片っ端からめくってみると……。
いました。
なぜか残っていた、中1の頃の修了写真に。
おなじクラスだったのか!!
よく遊んでくれた、3年の先輩に似ているぞ!
弟か!!
みたいな感じで、学校の記憶そのものがないわりには、簡単に見つけることができた「傘の君」
名前は、そのとき調べたはずなのですが、
どうにも記憶が定着せず、忘れたままです😅
彼は「言うとはなし」に、わたしを助けてくれていたんだと思います。彼のお姉ちゃんも。
あのとき、誰を信じていいのか、自分の居場所はどこなのか、ずっとわからなくて、
暗闇を彷徨いつづけていたわたしに、
そっと手をさしのべ続けてくれていたんだと。
クラスメイトや先生と喧嘩ばかりの中学時代。
10歳すぎたらもう反抗期だったらしく、
家でも諍いの毎日でした。
ドロップアウトしたって
おかしくなかったはず。
それでも、
彼のようなひとが、きっと、たくさんいて、
どうにか卒業まで学校に通えた。
だとしたら、あのころのわたしだって、
捨てたもんじゃない。
そっと見守ってくれるひとが、いたんだから。
そのことに気づいたときが、嫌いだった自分を、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ
好きになった瞬間でした。
いつかお礼に代えて、
笑顔で、彼に伝えたいです。
向田先生の言葉を、借りてしまうけれど。
『あんたのこと、あのときから、いいやつだと思っているのよ』
こちらの企画に参加します!
10月2日(日) 21時まで。
どなたでも参加できます☺︎
微妙に企画の趣旨とズレてる感じがします💧
そして長い。
ラベンダーさん、遅くなってすみませぬ〜。
いつも楽しい企画、ありがとうございます☺︎
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