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日本語テキスト考 ②中級編

数年前、「できる日本語」の次に
どんなテキストを使おうか…と探していた頃に
「日本語中級J301」の改訂版が出版されました。
今はこのテキストを使わせてもらっています。

表紙のこと

「日本語中級J301」は以前から知っていましたが
手に取ったこともありませんでした。
その理由がこれ…

これは改訂前の表紙。
これじゃあ手に取る気持ちにならないですよね。
表紙ってほんとに大切だと思うんです。
今の表紙はこちら…

これでもまだかたいなぁ…と思っていますが、
以前のに比べるとずっとよくなりました。
同僚の先生たちにもあまり同意してもらえないけど
私は表紙や装丁にこだわるタイプです。
学生たちがテキストを好きになれないと
学びに向かう気持ちも半減すると思うからです。
そういう意味では「J301改訂版」もできれば
もっと素敵な表紙になるといいなぁと思っていて、
出版社の営業の方に言ったことがありますが
そんな少数派の意見はもちろん採用されませんね。

どうして「日本語中級J301」?

① 文章の難易度がだんだん上がる
最初はとても短い文から始まり、最後はかなり難しくなります。他のほとんどのテキストはその中で難易度がほとんど変わりません。「できる日本語」で話すこと中心でやってきた学生たちが戸惑わないように緩やかに移行してほしいし、初中級から中級前期は本当に大切な骨太さを身につけていく時期なので、テキストの難易度もどんどん上がっていくのがいいと思っています。

② トピックがさまざま
学生には「日本語のテキストはだいたい内容がつまらない」と言われたことがありますが(反省…)、このテキストは、クジラのこと、東日本大震災のこと、妖怪のこと、金子みすずさんの詩など、いろんな話題なのがいいと思っています。初級の間は自分のことが話題の中心になりますが、中級では「自分のこと」から少し離れて徐々に社会的な話題に転換していく時期です。また、日本語のテキストは日本のことやコミュニケーションの話題が多いですが、そのような偏りがないのも私はいいと思っています。

③ 最後に活動につなげやすい
毎課の最後には学生たちの活動を行います。ディスカッションやプレゼンや調査などなど、広げ方はさまざまですが、ある程度アイディアもテキストに書いてあるので(ただそれをベタっとはつまらないのでアレンジはかなり必要ですが…)広げやすいと思います。活動をきちんとしてこそこのテキストのよさは生きてくるように感じています。

④ 読むことから書くことへ
非漢字圏の学生には漢字語彙に慣れる工夫、漢字圏の学生には漢字だけに頼るのではなくしっかり日本語を読み解いていく工夫がされていて、授業でも意識づけしやすいと思います。また、読むことから学んだ意見の言い方、反論のしかたなどを論理的に書くということにつなげられるようになっています。「読む→ディスカッション→書く」の一連の流れで日本語が骨太になっていくと感じています

テキストの扱い方に工夫を!

もちろんJ301にも、ん〜と思う部分もあります。
本文は表紙同様、だいたいがかたい感じですし
内容も古さを感じるようになってきました。
このテキストをそのままなぞるような授業は
つまらない授業になっちゃうだろうな…
とも思います。
うちの学校では扱い方の工夫を
先に担当先生にお伝えするようにしています。
先生方からのテキストの評判はいいと思います!

お気に入りのテキストは?

初級テキストはよく話題になりますが、
中級以上はあまり話題にもなりませんね。
でも、日本語教師は必ず
思い入れのあるテキストがあるはず。
以前、校内の講師研修で
テキスト愛について語り合ったら
とっても盛り上がりました!
あなたのお気に入りのテキストは何ですか?

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