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料理の話とジェンダー的葛藤と料理してなかった人の変化
昨今、女で料理が出来るなどと言うと角が立つ気がしてならない。
キャリアを積んで働く女性が料理自体を負担に感じていること、あるいは料理自体が趣味になっている男性が増えていること。関連性がありそうに見えるかもしれないが、それは錯覚でしかなく別々の事象である。
しかしこれほど分かりやすく同性に嫌われ異性に好かれる話題もない、なんとも不本意だ。同性にこの話を振るにはかなり神経を使う気がするし、出来るような子であっても始めから嬉々として話してくれる子の方が少ないように思う。やはり警戒しているのだと。
分かりやすく地雷を踏んだのは自身の姉だった。姉は学生時代から優秀な人で法律系の堅い業種の仕事に就いていたが、八年程前に結婚してその式に自分も参加した時の話だ。式の途中の自己紹介のスライドが映し出される場面があったのだが、趣味の欄に「料理」と書いてあって自分は少し動揺した。そんなの初めて聞いたからだ。
後日、どんなもの作っているのだろうと話を振ってみたものの、無言の圧で睨み返された。なるほど、あれは体裁のいい無難な文言だったのだろう。しかしそうやって世間体的に聞こえが良い「料理」というものは、こうしてする者しない者どちらにも簡単には触れずらい「重さ」がある。
何故こんな重みが生じてきたかと言えば、やはり家の中では女の仕事だったという歴史があるからなのだろう。
昔は昔は、という言葉もよくよく考えてみれば大家族が当たり前の女手が複数あった時代と、自分の母親世代のように格家族化して女手がひとつしか無い時代とでも事情が違う。
次の世代には良い思いをして欲しいと口では言いつつ、昔はこうだったからと押し付けるのはやはり違う。過去の歴史の良いところは取り入れつつも、自分の現状にあった効率を模索する作業には、確実に苦労が生じている。
マグロのアラ
色々と言ってきたが、私自身もなんでも出来るか、また喜んで料理しているかと言えばそうでも無い。『得意料理』を人伝に聞かれた際、上手く答えられなかった。
得意とは何なのだろう。よく作っていて、レシピも見ずに作れて美味さに自信がある、と言ったところか。突然面接みたいな気分にさせられ、野菜炒めとかつまらない答えを言ってしまったような気がする。
今度聞かれたら「包丁研げる」と言えるようにしておきたいと思う。実際、数年前に買った研ぎ石が眠っている。
自分がぼんやりとしている時はやり残した事ばかり考えているようだ。文字的に可視化すると色々見えてしまう。
台風来そうだったからコロッケ作ろうとしたのに来なかった
衣がしっかり付いていない所から爆ぜる
最近は同居人も料理をするようになった。引っ越してキッチンもかなり広くなったし、作業がしやすくなった。
以前はあれ作って欲しいだとか、店みたいに野菜切って欲しいとか、気軽に言ってくれるなあという感じだったが、作る側になって色々と見えるものがあるだろうし、割と楽しそうにしているので見守っているつもりである。
ただ、そうして作業者が二人になるとそれはそれで面倒が生じる。
まず最初に、ストックしておいた玉ねぎだとか缶詰、肉なんかが無くなっている時がある。生物は腐るので、使って良いとは言うものの自分が使いたい時に一つも無いとそれはそれで悲しい。最近はそういう事も伝えたりするので、本人も小まめに買い物に行くようになった。
次に、男に任せて料理させると、肉味噌炒めに麻婆豆腐という味の濃いおかずのみが出てくる事がある。私が塩分高いのが苦手なので、これもまた自分が野菜系のあっさりした作り置き副菜を作っておくことでバランスを図る。またそのことも伝えると、ブロッコリーと豆のサラダのような野菜の副菜も作るようになった。
もう一つ言えば、同じものをよく作ると言ったところか。まあこれはそこまで苦では無いし、米なんかおかずなくても食べられるので、あるだけ有難い、有難い。とは言え以前は作り置きしただけで、飽きたとか出来立てがいいとか言ってくれもんだなあという所も水に流さなくてはならない。
こうして比較的に料理できる方が、健康バランスや作業的改善法を提示している。脳のCPU使ってんだから、こちらにも分からない事もあれば怒ってしまうことさえしばしばある。今はだいぶ考えてくれたり行動してくれたりもしているので、そこまでいけばこちらの許容力が試されるのみだ。■にてえな。
月見だったので団子。和の色と言えばそうだけど毒々しくなって笑う
料理は飽きても飯は食わねば生きていけない。料理したくないと言った時にコンビニ飯ばかり買ってこられた時よりは、ずっとマシな生活になっているだろうか。
最近は米を炊飯器以外で炊くことにハマっているようだ。特にトランギアのメスティンがお気に入りで。そうしてここの所やたら美味いものばかり食べている気がするので、またじわりと太ってきてしまった。そろそろとフィットボクシングをやってみたりしているが、以前に比べればだいぶ回数が減ってしまった。
美味いものを食べるから太る。自分も太りやすい体質だ。それを考慮すると十年以上前のソイジョイは優秀だった。程々にまずかったからだ。最近食べてみたら少し美味くなっていた。これは良くない。
その頃、キッチンでひたすら肉体労働なバイトしていたけれど、そんなソイジョイ一本で昼食を済ませられた燃費の良さよ。
若さ怖すぎる。
ケンタッキーで炊いた米。生姜とネギ入れたら美味い。塩少し欲しい