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エンジニアからプロダクトマネージャーになった日の話

「iku さんって何でプロダクトマネージャーに転向したんですか?」とか「もうコード書かないの?」とかたまに聞かれます。
前職の私を知っている人は、2つのモニターを開いて右にVSCode、左に開発中の画面を開きながら毎日深夜までキーボード叩いてる自分のイメージが強いと思います。(ちなみにキーボードは昔から変わらずFilco派)

私が新卒で博報堂アイ・スタジオにエンジニアとして入社したのが2015年。フロントエンドを開発するチームに配属され、簡単なランディングページから始まり、コーポレートサイト、ECサイト、ブラウザゲームまで本当に幅広い案件に携わりましたし、リリースした瞬間のSNSの反響や障害対応まで良い思い出から苦い思い出まで多数あります。

当時はデジタル広告が伸びまくっており、博報堂の営業が取ってくる案件も「デジタルで何かしたい!」や「キャンペーンやりたい!」「コーポレートサイト刷新したい!」と、とにかく仕事が多い時代でした。

そのため深夜タクシーで帰ることは日常、会社に寝泊まりしたり、公開前日に開発が終わっていない案件に追加されたこともありました。ブラック企業と揶揄されやすい広告業界ですが、文化祭気分だったので個人的には楽しかったですよ。(今は労働時間も大分変わったと聞きます)社内ベンチャー立ち上げが4年目からで広告制作から離れましたが、3年間で文字通り死ぬほど開発してきたので技術力はそれなりについたんじゃないかと思います。

そんなエンジニアとして幅広い技術と表現を追っかけてた私が、何故プロダクトマネージャーになろうと思ったのか。エンジニア→PMのキャリアチェンジに向いている人はどういう人なのか書いていこうと思います。

エンジニアのキャリアの限界を感じ始めた

私的ですがエンジニアのキャリアは、ある領域のスペシャリストを目指すか、フルスタックエンジニアのような総合的な技術力をつけたゼネラリストか、マネジメントを目指していくか大きく3つに分かれると思います。広告制作現場で3年フロントエンド技術を追い、その後社内ベンチャー制度を通じてサービス立ち上げをしていました。初期は人もいないのでインフラからサーバーまでやっていたのでゼネラリストに近い歩み方をしていたと思います。

当時はゼネラリストの道を歩みつつ一緒に開発してくれる人を探すために様々なエンジニアの方と話してきました。前提とする知識量が違いすぎる人や、本当に技術が好きな方、プログラムの発想が桁違いな方など、ツヨツヨな方達と話していく中で自分のエンジニアとしてのスキル差を痛感するようになりました。それは先輩に限らず自分より歳下の後輩、大学生でも普通にいます。

社外の方と沢山話していく中で、「この先5年10年エンジニアとしてキャリアを歩んでも80%の開発はできるしそれなりの道を歩めるだろうが、この人達よりも優れたエンジニアになることは難しいだろうな」と漠然と思うようになります。自分の強みやこれまでやってきたことを振り返ると、作る過程やコードを効率化するという所よりも、プロダクトを通じてユーザーが喜んでもらえる、それをお金に変える方が好きだし得意だということに気づきます。

余談ですが社内の方としか関わっていない方は是非外の会社の方と交流していくことをお勧めします。転職やキャリアチェンジは、外の基準に左右されるので現在地を知るという意味でも良いと思います。

「何を作るか」こそが自分が活躍できると思った

先々を見据えてシステムアーキテクチャを考え、事業成長に耐えうる開発基盤を作ることよりも、ユーザーが使ってくれているプロダクトにある課題をどう解決していくか。それを最速で機能に落とし込むには?を考える方が好きなんですよね。自分が活躍できるフィールドは、「何を作るか」であり「どう作るか」は自分より優れたエンジニアの方々と共同でプロダクト開発していくのが合っていると思いました。

思い返せばクライアントワークをしているときもプロデューサーと一緒にクライアントの会社へ同行し、課題と感じていることは技術的にこう解決できるかを一緒に議論するタイプだったので元々作る工程以外も好きだったんだと思います。

社内ベンチャーの事業撤退が決まり、元の会社に戻るタイミングで、プロダクトマネージャーに転向することにしました。(当時の会社にプロダクトマネージャーという職種は無かったですが、それを許してくれた担当役員に感謝)

結果的に自分の強みを活かせるようになりましたし、技術が分かるPMはエンジニアと同じ目線で会話がしやすいというのは転向して良いことの一つでした。デザイナーやCSなど異なるバックグラウンドからプロダクトマネージャーに転向する強みは「相手の言語を理解して議論することができる」ことにあると思います。
最初の頃は開発方針に口を出したくなることもありましたが笑、最前線の人達に過去の経験が勝るはずがないと自分の中で折り合いをつけるようにしています。

エンジニア→プロダクトマネージャーに向いている人

プロダクトマネージャーは、顧客へのインタビューから市場調査、課題抽出に要件定義、デザイナーとのUIUXの設計、営業やCSとの連携に、エンジニアとの開発設計、そしてチーム全体を巻き込み進めるなどやることは多岐にわたります。
特にミーティングの量はエンジニア時代と比べられないくらい増えます。多くの関係者と協力してプロダクトを作っていく職業なので避けることはできません。なので万人にお薦めできる仕事ではないと思っています。

エンジニアからプロダクトマネージャーへ転向するのが向いているかもなと自分が感じる特徴をあげてみました。

  • 「どう作るか」よりも「何を作るか」を考えるのが好きな人

  • ユーザーの課題解決、喜ぶものが何かを突き詰めたい人

  • 関係者と議論を交わすのが好きな人

  • コード以外にもデザインやビジネスモデルなどプロダクトに関することは全部興味がある人

  • 作ったプロダクトをどう使ってもらうか、売るかに関心がある人

多くの人を巻き込み、プロダクトを良くしていきたい人は向いていると思います。ユーザーの課題を突き詰めて、チームを巻き込み作った企画がぶっ刺さるととても気持ちが良いです。

以上、昔のことを思い返して長々と語ってみました。エンジニアの方でプロダクトマネージャーにキャリアチェンジしようと思っている方がいらっしゃったら相談に乗りますのでお気軽にお声がけください。

ご支援ありがとうございます!これからもがんばります!