ペルーでの日々の記録_2

活動のこと(農業編):ピンチはチャンスなのか

任地304日目。金曜日。

今日は朝7時半に集合してお家一軒一軒を周ってリサイクル推進運動をしてきました。このリサイクル推進運動については書けたらまた後日。

12時前にオフィスに戻り、今度行う農家向けのワークショップの準備をしていました。

このnoteではあまり活動のことは書いていないですね。最近は特に。書きたいことはたくさんあってもなかなか長期的なものでまとまらなかったり、途上すぎてまとまらなかったり。

でも、ちょっと重い腰を上げて今日は書こうと思います。活動のこと。農業面でのこと。


1、この町のこと、について

任地に着いてから10か月。ようやく、私がこの町でできることが何となく見えてきました。JICAからは収入向上、輸出の促進、などと大きなテーマを与えられていますが、その大きな目標を前に立てた活動計画は、農業と観光と教育の3方向からの町おこしです。

農業については、香川県の7割の面積を占める私の町、全てのエリアに広がる形で12万人が住んでおり、そのほとんどが農業従事者。言わずもがなの農業の大地です。

その大地に配属されて収入向上と言われれば、まあ農業面での収入向上は避けられず、まずはどんな農業を行っているのか、調査から入りました。

バイクが乗れず、三輪バイクでは遠くまで行けず、知らない畑は一人では歩けず、でも同僚はそこまでやる気なく。今まで全然「役場の職員として」は畑でフィールドワークができなかった。

でも、何とか抜け道をつくろうと、友達を作ったり知り合いをつくったりして、勤務時間などは関係なく行ける時は畑に行ったりしてきました。それでも、私としては全然まだまだ足りないです。もっと知りたかった。


ペルーは、資源大国。

日本の面積の3倍から4倍を占める広大な大地に、ミネラルや農作物が豊富にあり、また漁業も盛んです。そんな資源大国ペルーは、外部に資源を輸出することで経済を発展させてきました。

ペルーの第一位の主要産業は、鉱山。今でも鉱山業で働く人はたくさんいるし、それが今までも支えてきた産業なんだなとつくづく感じます。

資源大国ペルーですが、一方で住民はその資源の恵みを有効活用出来てはいません。

どっかのアフリカの国で、カカオの生産が盛んなのにチョコレートを食べたことがない人がたくさんいるような、

そんな状況は、ペルーでもそこら中にあります。


私の町は、マンゴーやレモンを生産する、一大産地です。そして、多くの外国籍企業や、リマなどのお金持ちが、その資源を利用して輸出などをしています。

そこら中に大きな工場がありますが、全て他の土地の人のもの。任地の住民がそこのオーナーとなって主導権を握って輸出しているという例は1つもありません。

そして住民はどうしているのかというと、黙っていてもたくさんの資源を生む大地なので、そこまで頭を使うことなくこの大地で生産されたたくさんの農作物を外部に安い値段で売っています。

そして自分たちにお金を貯めて投資をして外部の会社みたいに機械を買って付加価値を付けて販売するというモチベーションは特になく、

そういうお金がないからやらない。そういう感じです。やるとしたらまずお金頂戴!って感じ。


2、自分には何ができるんだろう、について

そういう背景の中で、では自分は何ができるのかなっていろんなことを考えた10か月でした。まだ答えが出たとはおもえないけれど、きっとこういう感じなら私にもできるかなというのが次から述べる内容です。


・まず、町の人たちに、自分の町にあるものが、タンボグランデが育むものがどれだけ価値があるのかを知ってもらう

・今のままでとても幸せそうで、私にはその幸せを否定してさらにいい未来を!という気持ちはないので、今の状況が良いならその人はほっておく

・でも今の状況がでは10年も20年も先まで保証されているかと言ったらきっとそれは難しくて、今後外から来た人からの搾取が増えることは容易に想像つく。今の状況を変えるのではなく、今の状況を未来までキープするために、やったほうがいいことがあるかもしれない、という考えを伝える

・そのやったほうがいいことは、私が答えを持っているものではなくて、一緒に探してやり方を見つけていきたい、と伝える

・また、行政に何もかも依存する形は良くなくて、自分たちの生活は自分たちで守るという意識を持った方が良くて、主導権を持つことの大切さと、一歩踏み出した人には周りもサポートできるけれど、踏み出してもいないプランも謎な人にサポートもできないよってことを理解してもらう

⇨上に書いたことをワークショップをしながら、がんばってファシリテーションをして私が言う前に認識してもらったり、そこで発見をしてもらう。

⇨またワークショップを通して、自分たちのビジョンを何となく思い描けそうだったら思い描いて、それに向かって一緒にトライアンドエラーをして、最終的に彼らへのエンパワーメントを目指す。


ベタ打ちでまとまりなく書きましたが、そんな感じです。

私に残された時間はあと1年で、そもそも任期2年のボランティアに、任地に見える変化が出るまでに変革を起こせるかと言ったら私はそれって難しいしリスクもあるなあと思う派ですが、

でもじゃあ何ができるのかと言ったら、少しでも主体的に過ごせるようにお手伝いしたり、未来を先読みできるならそのリスクを減らせるようにアイデアを出したりとか、そういう感じかなと。


でも、私が行おうとしているワークショップはもちろん1回で終わるようなものではなく、少しずつはじめてPDCAを繰り返しながら反応を見ながらファシリテート出来たらなって思っています。

自分でもうまく説明はできず、それは最終ゴールがまだまだ未知数だからであって、これをやったら絶対にこうなりますなんて言えない。

でもやらなかったら何も芽さえ出ないわけだから、芽が出るかわからなくても種まきはやらなければいけなくて、芽が出るかを考えて動き出せないよりは、まずは種を蒔き始めて経過観察をしていけばいいんじゃないかなと思っていて。

今までは、植える種を見極めていた感じでした。どの種を植えても芽が出るかはわからなくても、何となくの植えたほうがいい種まではしぼれたかなと。それがこの10か月でした。

そしてこれは前のカウンタパートが放任だったのもあり、また同僚からの理解もなかなか得られず、一人で練ったものでありました。


3、ピンチをチャンスに変えたい、について

そんなこんなで過ぎた10か月。ようやくワークショップが始められそうな予感。来週の水曜日に日にちを決めて、とある農業組織にて初めてのワークショップを行う予定でした。

内容は、私のプレゼンテーション(どういう人間で、何を考えているのか、今後何をしようとしているか)と、幸せワークショップ。初回なので挨拶的な感じです。

私のプレゼンは、自己紹介から入って外部者としてタンボグランデがどうみえるのか、どれだけのポテンシャルがこの町にあると感じているのか、そして今後みんなとどんなことをしていきたいと考えているかなど。

幸せワークショップは、ある意味挨拶的なワークショップで、それ自体が直接的なエンパワーメントにつながるとは思っていませんが、

彼らが何を大切にしているのか、仲間とどのようにグループワークをするのか、グループワークを通してどのようなリアクションがあるのか、参加度合いはいかほどか、などを見るために行おうと思っています。彼ら自身もこのワークショップを通じて頭を使って考えてもらったり、自分についての幸せって何だろうと考えるきっかけを作ってもらったりとメリットがあります。


そんな予定のワークショップ、今日カウンターパートでもある上司に伝えたら、許可が下りませんでした。

理由は、もっと役場のやっていることと結び付けたいから内容を教えてくれ、そして目的とかをもっと揃えないと、ということ。

彼のいうことはわかります、役場に属している身として、あまりに場違いなことをされたら困るのだろうし、やるなら役場の仕事の一部としてやってほしいということ。見方によっては、喜ぶべき反応なのかもしれません。

ただ私は正直彼に私がやろうとしていることを誤解なく伝えられる気がしていなくて、さらに予定していたワークショップも延期ということで、残念だし気が重いです。

ファシリテートやエンパワーメントという言葉や概念がこの町に馴染んでいるとは到底思えなく、そこから説明しなければいけないこと、

また少しつず初めて行って軌道修正はところどころで行っていきたい自分と、最初からゴールまでをぴしっときめてから始めたい上司とで、折り合いがつくのかもわからず、というかこの状態で始めていいよって言うOKが出るかがきわどく、

じゃあこのワークショップを複数回実施したら本当に住民がやる気になって主体性をもって生活改善や収入改善をしていけるの?その結果は必ずでるの?という目的への達成度も、正直未知数です。やってみなきゃわかんないじゃんて感じなので。

話を最後まで聞いてくれる人ならまだしも、自分が知っている範囲で私の行っていることを解釈して、勝手に誤解して納得されちゃうと(そういうことが常なので)、たぶん私が言いたいことは伝わらないので、なかなかピンチだなあとも思います。

私がやろうとしてるのは国際開発の文脈では当たり前のことだし良くある話だけれど、私の任地的には結構馴染んでいないし、ほとんどの人にとって新しい概念だからです。それを第一言語で説明するのも難しいのにスペイン語で説明して説得する、難しいなあと。


一方で、その上司に納得してもらえてGOがでれば、役場の仕事の一つとして認識もされるし、そうなれば、私が帰った後もそのノウハウを誰かに伝えることもできるかもしれないし、そういう意味ではチャンスだなと思います。


ピンチをチャンスに出来るのか。したいけれど。


そういう最近の活動の話でした。1年目があと1か月ちょっとで終わります。

いい形で2年目にバトンを渡せるように、少し今が頑張りどきな気がする。


少し練って、上司や同僚や農家にちゃんと説明できるように、ファイトしようと思います。


それでは。


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いくみ 
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