ユネスコ世界遺産の街、ストラスブールへ【フランス】
1.ストラスブールとは
→ストラスブールは、歴史とモダニズムが調和した魅力的な都市です。中世の風情が残る旧市街はユネスコ世界遺産に登録されており、運河や木組みの家々が美しい風景を作り出しています。フランスとドイツの文化が交錯するこの街は、国際的な政治の舞台としても知られています。
2.歴史と文化
➀歴史
~古代から中世~
・紀元前12世紀: この地域にはケルト人が住んでいました。ストラスブールの名前は「ストラテスブルゴス」として初めて文献に登場し、意味は「道路の要塞」です。
・紀元前58年: ローマ帝国がこの地域を征服し、アーガス・マグヌス(Argentoratum)という名の軍事拠点を築きました。
・5世紀: 西ローマ帝国の崩壊後、アレマン人やフランク人などゲルマン民族がこの地を支配しました。
~中世~
・9世紀: カロリング朝の時代には、ストラスブールはフランク王国の重要な都市となりました。842年には、ストラスブールの誓い(Serments de Strasbourg)が交わされ、フランス語とドイツ語の起源とされる重要な文書が残されています。
・12世紀: 神聖ローマ帝国の一部となり、市は自治を獲得しました。
・13世紀: ストラスブール大聖堂の建設が始まり、1439年に完成しました。この大聖堂は当時、世界で最も高い建物でした。
~近世から現代~
・17世紀: 30年戦争の後、1648年のウェストファリア条約でアルザス地方の一部がフランスに割譲されましたが、ストラスブール自体は神聖ローマ帝国のままでした。
・1681年: ルイ14世の時代にストラスブールはフランスに併合されました。
・1871年: 普仏戦争の結果、ストラスブールはドイツ帝国に併合されましたが、第一次世界大戦後の1918年にフランスに戻りました。
・第二次世界大戦: 1940年から1944年までナチス・ドイツに占領されましたが、戦後再びフランスの一部となりました。
➁文化
・二重の文化遺産
ストラスブールは、フランスとドイツの文化が融合した独自の文化を持っています。街の建築や料理、言語にその影響が色濃く表れています。アルザス地方特有の木組みの家々や、フランスとドイツの料理が混在する美食文化などがその一例です。
・ユネスコ世界遺産
1988年にストラスブールの旧市街(グランド・イル)はユネスコの世界遺産に登録されました。歴史的な建造物や美しい運河、ゴシック様式の大聖堂などが高く評価されています。
・多文化共生
ストラスブールは、ヨーロッパ議会や欧州評議会、欧州人権裁判所などの国際機関の本部がある国際都市です。このため、世界中から多くの人々が訪れ、多文化共生の都市としての側面も持っています。
3.観光スポット
➀ストラスブール大聖堂(カテドラル・ノートルダム)
概要: ゴシック建築の傑作であり、142メートルの高さを誇る大聖堂は、街のシンボルです。内部には美しいステンドグラスや、15世紀に作られた天文時計があります。
見どころ: 大聖堂の塔に登ると、ストラスブール市内を一望できる素晴らしい景色が広がります。天文時計の動く人形劇も見逃せません。
➁プティット・フランス地区
概要: ストラスブール旧市街に位置する風情あるエリアで、運河沿いに木組みの家々が並びます。
見どころ: 美しい運河や橋、石畳の道が特徴で、散策や写真撮影に最適です。特に夜にはライトアップされ、ロマンチックな雰囲気が楽しめます。
➂ヨーロッパ議会
概要: ストラスブールはヨーロッパ議会の本部がある都市としても有名です。モダンな建築が特徴の議会議事堂は見学可能です。
見どころ: 見学ツアーに参加すると、議会の仕組みや欧州統合の歴史について学ぶことができます。欧州議会の本会議場も見学できます。
④オランジュリー公園(Parc de l'Orangerie)
概要: 市内で最も古い公園で、広大な敷地と美しい自然が広がります。
見どころ: 公園内には動物園、湖、ボート乗り場、遊具などがあり、家族連れやカップルに人気です。ピクニックや散策にも最適です。
➄ストラスブール歴史博物館(Musée historique de Strasbourg)
概要: 中世から現代までのストラスブールの歴史を紹介する博物館です。
見どころ: 貴重な展示物やインタラクティブな展示が豊富に揃っています。ストラスブールの歴史を深く学ぶことができる貴重なスポットです。
⑥ロアン宮(Palais Rohan)
概要: 18世紀に建てられたバロック様式の宮殿で、現在は三つの博物館が入っています。
見どころ: 美術館、考古学博物館、装飾美術館があり、それぞれ貴重なコレクションを展示しています。宮殿自体の建築も見応えがあります。
⑦アルザス博物館(Musée Alsacien)
概要: アルザス地方の伝統的な生活様式や文化を紹介する博物館です。
見どころ: 民族衣装、家具、工芸品など、アルザスの豊かな文化遺産を展示しています。伝統的なアルザスの家屋を再現した展示も魅力的です。
⑧ストラスブール植物園(Jardin botanique de l'Université de Strasbourg)
概要: ストラスブール大学によって運営されている植物園で、約6000種の植物が栽培されています。
見どころ: 四季折々の花々が楽しめる他、温室や池などもあります。自然愛好家や散策好きにはぴったりのスポットです。
⑨オペラ・ナショナル・デュ・ライン(Opéra National du Rhin)
概要: フランスとドイツのオペラ文化が融合した劇場で、クラシック音楽やバレエの公演が行われます。
見どころ: 豪華な内装と音響が素晴らしく、訪れる価値があります。プログラムによっては世界的に有名なアーティストの公演も楽しめます。
4.アクセス方法
→ストラスブールは、フランスとドイツの国境に近い便利な位置にあり、様々な交通手段でアクセスすることができます。以下に、ストラスブールへの主なアクセス方法を紹介します。
➀飛行機
ストラスブール国際空港(Aéroport de Strasbourg-Entzheim)
概要: ストラスブール市中心部から約10km南西に位置する国際空港です。主要なヨーロッパの都市と結ばれています。
アクセス: 空港から市内中心部へは、電車またはタクシーで約15~20分です。空港駅(Gare d'Entzheim-Aéroport)からストラスブール中央駅(Gare de Strasbourg-Ville)までの電車が便利です。
~近隣の主要空港~
・バーゼル=ミュルーズ空港(EuroAirport Basel-Mulhouse-Freiburg): ストラスブールから約130km。国際線の便が多く、フランス、ドイツ、スイスの3カ国にまたがる空港です。ストラスブールへのアクセスは、電車またはバスで可能です。
・フランクフルト国際空港(Frankfurt Airport): ストラスブールから約200km。世界各地からの便が多く、ストラスブールへのアクセスにはICE(ドイツの高速鉄道)やバスが利用できます。
➁電車
~TGV(高速鉄道)~
・パリから: パリ東駅(Gare de l'Est)からストラスブール中央駅(Gare de Strasbourg-Ville)までTGVで約1時間45分。
・リヨンから: リヨン・パールデュー駅(Gare de Lyon Part-Dieu)からTGVで約3時間30分。
・マルセイユから: マルセイユ・サン・シャルル駅(Gare de Marseille-Saint-Charles)からTGVで約5時間30分。
~ドイツの鉄道(Deutsche Bahn)~
・フランクフルトから: フランクフルト中央駅(Frankfurt Hauptbahnhof)からICEで約2時間。
~その他の国際線~
ストラスブールはルクセンブルク、ベルギー、スイス、イタリアなどの主要都市と鉄道で結ばれています。
➂バス
~国際バス~
FlixBus: ヨーロッパ各地からストラスブールへの直行バスがあります。パリ、ベルリン、ミュンヘン、チューリッヒなどからの便があります。
Eurolines: ヨーロッパ各地からの長距離バスが利用できます。
~国内バス~
Ouibus: フランス国内の主要都市からストラスブールへのバスサービスを提供しています。
④車
~高速道路~
・ストラスブールはフランスの高速道路ネットワークに接続しています。主要な高速道路はA4(パリ方面)、A35(ミュルーズ方面)です。パリから車で約5時間、リヨンから約4時間30分、フランクフルトから約2時間30分。
~駐車場~
・市内中心部には多数の駐車場がありますが、旧市街周辺は混雑することが多いため、事前に駐車場を予約することをお勧めします。
5.まとめ
ストラスブールは、フランスとドイツの文化が交錯する魅力的な都市です。歴史的な建造物や美しい旧市街、豊かな自然、美食など、訪れる人々を飽きさせない多彩な魅力に溢れています。ストラスブール大聖堂やプティット・フランス地区、ヨーロッパ議会などの観光スポットはもちろん、アルザス地方の伝統料理も堪能できます。また、国際的なアクセスが良好で、市内の交通も充実しており、初めて訪れる人でも安心して楽しめます。この記事を参考にして、ストラスブールでの素晴らしい旅を計画してみてください。
6.写真
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