ハモりの音合わせ
生徒さんの重唱レッスン、自分の舞台、ア・カペラ ヴォーカル アンサンブルグループの練習や舞台、いろいろな場面で日常的に、いろいろな種類の「ハモる」ということをします。
ぴったりハモれた時だけの「倍音」がその空間に生まれるので、上手くいった瞬間はすぐ判り、最高に気持ちイイ。
どこで、誰と、何が目的でそのハモりを歌うのか(聴くのか)によって、求める完成度はかわりますが、大切なことはいつも同じなのかなと思います。
自分が変わろう
当たり前ですが、自分の声と同じくらい、またはもっとしっかり相手の声を聴くこと。
お互いに、相手に合わせて自分を変えようという気持ちで臨む。
ひとつの音の音高というのは、誰にとってもその人なりに少し幅があります。
「これで正しいはず」と思っていても、場面によっては、相手によっては、その幅の中で上げたり下げたりして合わせていくことが必要になります。
これはもちろん、客観的に聴いて正しい方の音高にそうでない人が合わせるのですが、そんなことばかりでもありません。
どちらかが良くない音高で歌っているということではなく、響き方の違いによってユニゾンや完全音程がハマらないことなどもあるのです。
アンサンブルでよくある、ソプラノとアルトの声質の違いなどもそのひとつです。
音階の感覚
そして意外と疎かになりがちなのが、和音の知識だけではなく、音階の知識と感覚をも磨いておくこと。
現代の当たり前な長調または短調の作品であれば、第3音と第7音の音高を調節出来る歌い手は、上手くハモれます。
第3音は、長調なら高めに短調なら低めに。
第7音は、ドミナントのトライトーン(主音の半音下)なら高めに、自然短音階の第7音(主音の全音下)なら低めに。
ゴスペルなどのブルー・ノートは、鍵盤では弾けないくらいの微妙な中途半端な低さが、あのカッコよさには必要不可欠です。
中世やルネサンスの歌のアンサンブル作品は、教会旋法で作られているので、ドミナントはありませんし、主音の捉え方も現代とはまったく違うので、かなりコツが必要です。
そもそも平均律ではないので。
ですが、一般の音楽愛好家がその時代の音楽を楽しむ際には、そこまで詳しくお勉強しないことも多いでしょう。
お互いに「この音は少し高めに、低めに」と何となくアドバイスし合って、気持ちの良い響きに近づけていくという感じでしょうか。
最近生徒さんの重唱やヴォーカルアンサンブルのレッスンをすることが多く、そして自分がメンバーであるア・カペラ グループの舞台も近いということで、こんなことを考えています。