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イロハとABC


Chère Musique

イントロダクション

今日は初歩的なちょっとしたお話です。

音楽用語や音楽の話の中で使われる言葉は、いくつかの言語を使います。
ピアノ、フォルテ、クレッシェンド、モデラート、、、用語はイタリア語が圧倒的に多く、これには音楽の歴史に理由があります。

そう難しく考えなくても、調の名前を言うときや和音の話をするときなど、イタリア語や英語やそのほか、いろいろ無意識に使う方が多いと思います。

その中でも一番基本である「音の名前」も、きっといくつかの言語で習うでしょう。
そこで「あれ?」と気がついて、自分で調べたり先生に教わったりしたかもしれないこと。

イタリア語(ラテン語系と覚えた方が良いのですが)の「ドレミファソラシド」は、日本語では「ハニホヘト‘イ’ロハ」、英語では「CDEFG‘A’BC」。
そう、どちらもドレミファソラシドのラが、言語としては始まりの文字になっているのです。
ドレミファソラシド、ハニホヘトイロハ、CDEFGABC。

440ヘルツ

これはなぜかというと。。。
詳しく書くと小難しくなってしまうので、書き方に迷うのですが。。。

音楽には「標準音」というのがあります。
演奏するときの「この音の高さを基準に他の音の高さをそこからの差で測っていこう」という意味の言葉です。
これが世界的に440Hzと決められています。
この440Hzの音がドレミファソラシドのラなのです。
この標準音を英語のABCのA、日本語のいろはのイとした、というわけです。

ラジオの時報の「ポ ポ ポ ポ〜ン!」という、あの初めの「ポ ポ ポ 」が440ヘルツのラの音。
最後の「ポ〜ン!」はその1オクターヴ上です。

流行りのラ

音楽の演奏では、ラの音を必ず440Hzに正確にしなくてはならないというわけではなく、演奏する人の好み、その楽器の特性、その土地のその時の気候、その時代の流行りなどで、少しずらしたり、自然とずれていることもあります。

例えばピアノのチューニングは、もちろん好みによりますが、今は442が流行り。
だいたいこれくらいの440前後ですが、バロック時代くらいの昔は、430台が流行りだったこともありました。

だからその頃の音楽を演奏する人の中でもマニアックな演奏家は、わざわざそのくらいに下げてチューニングする人もいるみたい。
今の私たちの耳には、とっても変わった音に聴こえるはずです。

舞台でのチューニング

オーケストラや室内楽などの演奏では、全員が舞台に出てきてから、曲を演奏する直前に、必ずみんなでチューニングをしますが、そういう時は例えば管楽器ならオーボエ、ピアノがあればピアノなど、その時に出演する楽器たちの中ですぐに微調整するのが一番難しい楽器に、他の楽器が合わせます。
その時に、その基準になる楽器の人が鳴らしてみる初めの音は、必ずラの音なのです。

オーケストラじゃなくもっと少人数のアンサンブルなどで、手軽に調整できる楽器の演奏家が、リハーサルなどでよくピアニストさんに「Aをください」って言っているのを聞いたことがあるかも知れません。
あれは「ピアノに合わせてチューニングしたいからラの音を弾いてください」という意味です。

電子楽器のチューニング

電子楽器のチューニングは昔から、買った時の元々の設定は、ラが440Hzになっています。
他の楽器とアンサンブルする時には、その電子楽器を他のアコースティック楽器に合わせて微調整します。
電源を切るとまた440に戻るものも多いので、毎回その時の状況に合わせて調整します。
面倒なようですが、その都度周りの楽器が違うので、オーケストラがコンサートのたびにやるのと同じなので、当たり前ですね。

私の主催する生徒さんの演奏会では、グランドピアノと電子楽器とのアンサンブル演奏のプログラムもあるので、リハーサルの直前に、すべての電子楽器をその会場のグランドピアノの調律に合わせて調整します。

「ハ長調」で覚える

そんな標準音だから、音名では、日本語でも英語でも、イロハやABCの始まりの文字が当てはめられたのでしょうか。

ドはイロハのハ、ABCのC、と習っても、この音を日本語で言うと?英語で言うと?と質問されて、ドから「イロハ、、」「ABC、、、」と数えてしまい、「あ!?違う、そうじゃないよね?」となって、数え直し。
「え~っと、、どれがAなんだっけ?」。。。
皆さん慣れるまでは、しばらくそんな状態が続きます。

そこで、「ハ長調」と言う言葉、割と耳馴染みのある言葉なのではないでしょうか。
あれは、ドから始まるドレミファソラシドという音階の日本語の名前なので、そのことを思い出すと、ドは日本語でハ、そこから逆算するとイロハのイはドレミの中のラ、だから英語でもラがAだから、ドはC、、、というふうにつながって覚えられるかも知れません。



いかがでしたか?
日本語と英語で、ついでにドイツ語などでもドレミファソラシドを言えるようになったら、音楽を習うことはもっと楽しくなると思います。



Musique, Elle a des ailes.

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