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アレルギーと社交界、育児のレシピ

 息子のアレルギーテストの日は、少々小説のような一日である。いや、小説よりも現実が骨太で、それはそれで何か美味しそうなストーリーが繰り広げられる。"牛乳はダメだが、卵はOK"というのは、まるで人生の岐路で「左へ行け」とだけ指示された気分だ。息子よ、牛乳の道は封じられたが、鶏の王国への扉はまだ開いているぞ。

 しかし便の検査で、ヘモグロビンの数値が若干だが出血があるかもとのこと。これが人生でいう「でも」である。いわゆる、小さい字で書かれた契約書の裏面だ。最近始めた卵黄は量を増やさずに様子を見ようということになった。

 僕たちは離乳食を慎重に選びながら進めているが、進捗はイマイチ。それは、僕が20歳の頃に納豆とごはんだけで生活していた日々を想起させる。息子よ、豊かな食生活はこれから待っている。今は我慢だ。

 さて、夜になって妻からおもしろい報告があった。息子は病院で見知らぬお母さんたちに愛想を振りまいていたという。これは何かの前兆か?もうすぐ社交界デビューか、外交官の卵か、プレイボーイの種か?

 ともかく、今の最大のテーマはアレルギーとの微妙な距離感。これが現実の「冒険の地図」であり、僕たちはその地図を描いていくのだ。息子よ、君が何者になるかはまだ未知だ。しかし、君がどの道を選ぶかで、君自身が形作られる。それを僕たちは見守る。そう、それが親子の美しい関係であり、この冒険はまだまだ続く。

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