阪大 大学院社会人枠過去問①
●まず、教育人間学・教育哲学・教育思想史のうち1つ以上の領域に関するあなたのこれまでの学習・ 研究経験について具体的に述べなさい
教育人間学、教育哲学、教育思想史の領域に関する学習や研究経験を述べるにあたり、
私はシングルエイジ期のSTEAM教育、フリースクール教育の企画運営、プロ家庭教師としての活動、さらに正規小学校教諭としてユニバーサルデザインに基づく授業実践など、教育に対するさまざまな経験を通じて、多角的に教育理念や方法論を学び、実践してきました。
これらの経験を通して、教育における多様性や個別化の重要性を深く理解し、教育が持つ社会的意義についても考察してきました。
●シングルエイジ期のSTEAM教育と科学教室の運営
私がシングルエイジ期のSTEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学)の科学教室を運営した経験は、教育人間学の領域に強く関連しています。
STEAM教育は、子どもたちが創造的かつ批判的に思考し、問題解決能力を高めることを目的としています。この教育方法は、単に学問的な知識を伝えるのではなく、子どもたちが日常的な問題を解決する力を養うことを重視しています。
科学教室では、子どもたちが興味を持ちやすい実験や工作を取り入れ、楽しみながら学ぶことを目指しました。たとえば、電池を作る実験や、簡単な化学反応を使った遊びを通じて、科学や技術の基礎を理解させるだけでなく、失敗を恐れずに挑戦し続ける重要性も伝えました。
この活動を通じて、教育における「学びの楽しさ」を実感し、教育人間学の視点から、子ども一人ひとりが持っている潜在的な能力を引き出すことの大切さを再認識しました。
また、STEAM教育の運営は、子どもたちに自分のペースで学ぶことの重要性を教える機会でもありました。私は、子どもたちが自分で考え、創造し、成果を出す過程を重視しました。教育哲学の観点からも、このアプローチは「個人の自立」と「社会における役割」の重要性を訴えるものであり、子どもたちが自分の能力に自信を持ち、社会的な問題解決に貢献できる人材に成長する手助けとなりました。
●フリースクール教育企画運営
次に、私が関わった小中高生向けのフリースクール教育企画運営の経験は、教育哲学および教育思想史に関連しています。フリースクールは、伝統的な学校教育における画一的なアプローチに対する一つの代替として、自由で個別化された教育を提供する場です。
教育思想史の観点から見ると、フリースクールは、教育の自由や多様性を尊重する哲学に基づいており、特に20世紀の進歩的教育運動やデューイの教育哲学に通じるものがあります。
フリースクールでは、子どもたちが自分のペースで学ぶことができる環境を整え、個々の興味や関心に合わせた学習プランを提供しました。例えば、学習の進度や方法を子どもたち自身に選ばせることで、自主性と責任感を育むことを目指しました。これは、教育の目的として「全人的な成長」や「自立した市民の育成」を重視したものであり、教育哲学の中でも特に「自由教育」や「非強制的教育」の考え方を実践する一環でした。
このフリースクールの運営を通じて、教育が単に知識を伝えるものではなく、子どもたちが自分の人生をどのように築いていくかという点で、重要な役割を果たすことを強く感じました。
また、社会的背景や個々のニーズに応じた教育の必要性を再認識し、教育人間学の観点から、すべての子どもに対する適切な支援が重要であることを学びました。
●プロ家庭教師としての経験
また、プロ家庭教師としての活動も、教育人間学と教育哲学において重要な役割を果たしています。家庭教師として、私は個別指導を通じて、子ども一人ひとりの学習スタイルに合わせた指導法を実践してきました。特に、個々の理解度やペースを尊重し、強みを活かした学びを提供することに重点を置きました。この経験は、教育哲学における「個別化教育」の重要性を強く認識させてくれました。
家庭教師として、私は単に学問的な知識を教えるだけでなく、子どもが自己肯定感を持ち、学ぶ意欲を引き出す方法に注力しました。このアプローチは、教育人間学の視点から、学びの意義や価値を個々の生徒に対して見出し、彼らが自信を持って学び続けられるようにサポートすることを目的としています。
●ユニバーサルデザインに基づく授業実践
最後に、私は正規小学校教諭として、ユニバーサルデザインに基づく授業の実践を行い、すべての子どもが学びやすい環境を提供することの重要性を学びました。ユニバーサルデザインは、物理的、感覚的、認知的な違いを持つすべての子どもに対して、学習のアクセスを平等に提供することを目的としています。私はこの理念に基づき、授業の内容や進め方を柔軟に調整し、特別な支援が必要な子どもたちに対しても効果的な支援を行いました。
ユニバーサルデザインの授業を通じて、教育が単に知識を伝える場ではなく、すべての子どもが自己のペースで学び、成長できる場であるべきだということを強く実感しました。この経験は、教育哲学の中でも「すべての子どもに等しい学びの機会を提供する」という理念に基づいており、私の教育観に大きな影響を与えました。
結論
以上のように、私は幼児のSTEAM教育、小中高生のフリースクール教育、家庭教師としての個別指導、そしてユニバーサルデザインに基づく授業実践を通じて、教育人間学、教育哲学、教育思想史の領域に関連する多くの学びと実践を行ってきました。これらの経験を通じて、教育が持つ多様性や個別化の重要性、そしてすべての子どもが平等に学べる環境を提供する意義を深く理解することができました。教育は単なる知識の伝達ではなく、子どもたちの成長を支える社会的な役割を果たすものであり、今後もその実現に向けて貢献していきたいと考えています。