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【笑恥スペシャル】小さいかぼちゃん②-「正義の小学生」

【笑恥スペシャル】「小さいかぼちゃん」の物語です。

母から聞いた話と、押し入れの中のセピア色の写真と、おばあちゃんになった「かぼちゃ」のかすかな記憶を頼りに、小さかったころのかぼちゃ(かぼちゃん)のほぼ創作物語を作ってみようという「自己満企画」😆

かぼちゃんは小さい子なので、指さして笑うのはやめておいて、優しく見守ろうと思います😊


※ この物語はほとんどフィクションです。登場する人物は実在しません🙏

小さいかぼちゃん②-「正義の小学生」

かぼちゃんは小学校に入学しました。

「背筋をピンっとのばして、両手はおひざにおいて、先生の顔をじっと見て一生懸命に話を聞くのですよ」と教えられたので、ず~っとそうしていました。

「ルールを守る」「叱られることをしない」
それがかぼちゃんの「正義」なのでした。

先生によく、「かぼちゃんは姿勢が良いですね。みなさんマネをしましょう」と、みんなの前でほめてもらいました。先生にほめてもらうとお母さんが喜ぶので、かぼちゃんはますます良い姿勢で先生の話を聞くようにがんばりました。毎日肩が凝っていました。

ある日、トイレで同じクラスの女の子から手紙をもらいました。
「はたしじょう」「ほうかご、たいくかんのうらにこい」と書いてありました。

かぼちゃんは、手紙にかいてあるとおりにしました。
行くと、その女の子の他にも2人の女の子がいました。
そして、「おまえはナマイキやねん。先生にひいきされて。けっとうだ」と言いました。

かぼちゃんは正義の小学生なので、「いいよ」と返事をしました。
悪い子をこらしめるのはほめられることだ、と思っていたのです。

でも、「はたしじょう」をくれた女の子も、かぼちゃんも、「けっとう」の仕方を知らなかったので、そっと肩を小突いたり、相手の身体にあたらないようにキックしたりしているうちに、「もう遅いからやめよ」ということになりました。

かぼちゃんは、「先生にほめられると、はたしじょうがくる」ということを学びました。

小学2年生になると、はじめて仲良しの友だちができました。サクラちゃんです。サクラちゃんには2歳下の妹のハルちゃんがいました。ハルちゃんは、重度の知的障害と自閉症がありました。

私とサクラちゃんは、たいていサクラちゃんの家で遊びました。ときどきハルちゃんも来ましたが、だいたいはお母さんが、「ハルはお母さんとお散歩行こうね」と散歩に連れていきました。

サクラちゃんが「ハルちゃんもいっしょに遊ぶのに」というと、お母さんは、「サクラはいっつもハルと遊んでくれているから、かぼちゃんが来ているときぐらいは友だちとふたりで遊んで欲しいのよ」と言いました。

かぼちゃんとサクラちゃんが3年生になると、ハルちゃんは同じ小学校の「なかよし学級」の1年生になりました。ハルちゃんのお母さんがいつも送り迎えをしていました。

小学校では、2時間目と3時間目の間に全員で運動場のトラックの回りを走る「業間ランニング」がありました。

事件はある日の「業間ランニング」のときに起きました。
かぼちゃんの足が、ハルちゃんの足にひっかかって、かぼちゃんが転んだのです。

先生があわてて寄ってきて、「かぼちゃん、大丈夫?ハルちゃん、かぼちゃんを蹴ったらダメでしょ!」とハルちゃんを叱りました。

かぼちゃんは、「自分の方がハルちゃんの足に引っかかって勝手にこけた」ということを、先生に言えませんでした。「先生に叱られる」と思ったからでした。

ハルちゃんは「私は蹴ってない」と言えません。それなのに、かぼちゃんは何も言えませんでした。

サクラちゃんにも、サクラちゃんのお母さんにも言えませんでした。

かぼちゃんはそのことをずっと忘れることができません。

「ハルちゃん事件」はほぼ実話です。

後日談があります。

かぼちゃが支援学校に転勤することになったとき、ハルちゃんとサクラちゃんのお母さんが電話をくださいました。

「かぼちゃんが支援学校の先生になるって聞いて、おばちゃん嬉しかった~!嬉しくて嬉しくて電話しちゃったよ~!かぼちゃんは絶対いい先生になる。おばちゃんが保証するわ!」

そのときにも、あのことを謝れませんでした。
信じてくださっているのに、と思うと余計に謝れませんでした。
ずっと謝れないままです。

叱られるとしても、障がいのあるお子さんたちの気持ちを第一に考えたい、と思うのは、「そうできなかった自分」を忘れられずにいるからだと思います。(続く)


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