線から面へ、そして立体へ
「点と点を繋げば線になり、線と線を繋げば面になる」
このフレーズは、人と人が出会う時の表現に使われたり、考え方が繋がった時に使われることが多い言葉だと思います。
私の場合、言葉の通りに線を引いて絵を描いています。
写真のように、線を引いて面にした絵のことを私は「設計図のような絵画」と呼んでいます。
なぜ設計図なのかー
設計図は「デザイン」の意味があります。
私にとって線を引いて描いた絵は「図案」になります。
考えてることの洗い出しだったり、構想を練るものだったり、ここから立体にするプランだったりします。
設計図のような絵画の執着地点は「線から面へ、そして立体へ」を最終形態としています。
設計図ような絵画(以下「設計画」とします)は、建物を意識して描いてるいるので定規を使ってまっすぐ線を引いています。
重力を意識して垂直水平に、そして下に行けば行くほど重たくなるような絵になるように描いています。
そして、この設計画ができれば、模型作りへ。
一本の線を一本の棒と見立て一本一本で組んでいきます。
それをどんどん組んでいくと面になり立体になります。
線を繋いで面にして、縦に棒を挿していったら立体になった。ただこれだけです。
「線から面へ、そして立体へ」
ただ、言葉を忠実に再現しただけです。
そして棒と棒を麻紐で結んで模型から実寸サイズに作りあげました。
このように、木ではできました。
では、他の素材では?
木以外の素材になった時、どのように繋げていくかを素材に合わせて考えていかなければなりません。
先日、チタン合金の棒をトライアングル型にアルゴン溶接しました。
一見簡単そうに見えるのですが、接着面が狭くチタンを溶かす量も少ないため非常に難しかったです。
竹串とグルーガンで接着する作業とは大違いだし、溶接する機材と場所が必要でした。
でも考え方は間違っていない。
難しいトライアングル型に施したアルゴン溶接は初日でできました。
最初の手ほどきをしてもらえばあとは工夫を凝らせばできるんです。
今回、この溶接の体験をさせていただいた彫刻家の西野さんの言葉の中で
「今までできないって言われていたことを僕はできた。僕ができたんだから貴方もできる」
と、言葉をいただきました。
そう。できるんです。
きっと、この方の頭の中ではすでに一本の線でゴールまで繋がれているのだなと思いました。ただ、この方の作品を私が作れるかと言われると作れないです。長年の知識と技術と獲得してきた場所があるからこの作品ができるからです。
でもそれに近いことはできる。
教えていただいた溶接方法でトライアングル型ができた。
だから、できる。
できるかな。できないかな。
新しいことをする時にその感情が揺れ動きます。
想像のしにくい作業はとても辛いです。
でも、線と線はいつか繋がって面になる。
社会人一日目より、社会人一年目。
できないことなんて、本当はないんです。
私自身、立体の知識も建築の知識も何もないままただ衝動だけを突き動かしてできた160cmの大きな作品「空中建築」を作り上げ時、とてつもない高揚感を感じ
「ああ、まだできる。」
その言葉が出てきました。
だから、私がしないといけないことは、どの素材の棒を使っても面になり立体になることを形として作っていくことだと、アルゴン溶接をしながら思いました。できるという証明を作っていくこと。
一本の線は必ず繋がり面になり、横にも縦にも広がり立体になる。